Stereolab / Cybele's Reverie (1996)

今月のStereolabは『Cybele's Reverie』(1996)、大傑作シングルです。
自前のレーベルであるDuophonic Ultra High Frequency Disksからのちょうど10枚目に当たりまして、この盤からレーベルのロゴが一新されました。
何はなくとも表題曲のM1「Cybele's Reverie」に度肝を抜かれてしまいます。ちょっとした事件でしたね。今でも改めて聴いてみますと衝撃的です。
こんなにも優雅なポップ・ソングを聴いたことがありませんよ、まったく。
出だしからストリングスの音色が華麗に舞い上がり、奥ゆかしいメロディー・ラインに飛んだり跳ねたりするスキャットが絡み合います。温もりがあってどこか懐かしいながらもハイカラな音作りが本当に素敵です。美しいです。
これは確実に『Music For The Amorphous Body Study Center』の流れを汲んだものですし、何と言おうと言われようと大名曲だと勝手に決めつけております。
相次いで発売された『Emperor Tomato Ketchup』(1996)収録のアルバム・ヴァージョンを端折ったこぢんまりとしたものにもかかわらず、逆にポップ度が高まっております。
M2「Les Yper-Yper Sound」は件のアルバム、『Emperor Tomato Ketchup』にも収録されている「Les Yper-Sound 」の別ヴァージョンのようなものです。
これはもうほんのさわりですから若干、消化不良なんですけれどエレクトロでトライバルなビート感覚が心地良いですね。
次のM3「Brigitte」なんですけれど、この時期のStereolabらしさが良く出た清楚なポップ・ソングかと思わせておいて実は少し大胆に仕上がっております。
取って付けたような後半の部分も浮遊感がたっぷりなままに、前半の艶かしさと同様に蕩けてしまいそうになるくらいの麗しさなんですよ。
従来路線に近いようで違うようなM4「Young Lungs」にはサックスが導入されていまして、この辺りは今後のStereolabの作風にも繋がって行くところですね。
食い足りなさが残るものの今までにない洗練さが特徴的ですよ。
いつも通りにSean O'Haganの参加があるんですけれど、実はこのシングルからJohn McEntireが制作と演奏に関わっています。これは大きいです。
Tortoiseの中心人物にしてシカゴ音響派の首領なんて認識もあるでしょうし、この組み合わせが時の流れの中で必然だとしてもある種、とても幸福なものだと確信します。
事実、『Emperor Tomato Ketchup』で世界的な成功を手にした訳ですんで。
ただひたすら美しい。
♪「Cybele's Reverie」Stereolab
♪「Cybele's Reverie」Stereolab
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