Galaxie 500 / On Fire (1989)

今なお多くのファンを魅了してやまない(はずの)Galaxie 500の最高傑作、『On Fire』(1989)のご紹介です。
一応、今回も紙ジャケットCDの発売記念ということで。
同じKramer制作の前作、『Today』(1988)と比較しまして曲作りの面でもより深化していますし、それは次作の『This Is Our Music』(1990)で極まるのですけれど。
本作、『On Fire』での絶妙なさじ加減こそ捨て置けないものなのですよ。
全体的な印象としましてはどうしてもThe Velvet Undergroundの同名アルバム、『The Velvet Underground』(1969)に顕著な静謐感を連想させるでしょう。
それは間違いではありません。
ただし、The Velvet Undergroundから影響を受けた凡百のグループにはない何か特別なものをGalaxie 500が持っていると感じさせてくれます。
意外と高い熱量を放つ、蒼白い炎のようなギターの音色などはその最たるものですね。
The PastelsのStephan Pastelが惚れ込むのにも合点がいきますよ。
ピリッとしないままにたゆたうメロディーを白痴のように歌い流されるというのもどういう訳だか大変に心地よいのです。
例えばM2「Tell Me」やM4「Strange」などは白眉ですね。
その儚くも虚ろな眼差しにはイチコロなのです。
最後を締めくくるのは何とGeorge Harrisonのカヴァー、M10「Isn't It A Pity」です。
醸し出されるその無常観はただごとではありませんよ。
ぐうの音も出ません。
このグループ、カヴァー曲は似合わないと感じるのですけれど『Today』ではJonathan RichmanのThe Modern Loversを、次作の『This Is Our Music』ではYoko Onoの「Listen, The Snow Is Falling」(←美しい!)をカヴァーしているくらいなので自然なことなのですね、きっと。
そして、何よりその本編と同様にRykodisc盤CD収録の追加曲も奮っているのですよ。
嬉しいことです。
M11「Victory Garden」はあの全米サイケデリック・ロック協会南部支部番長、Red Crayolaのカヴァーですよ。
驚きですね。渋いです。
M12「Ceremony」がこれまたJoy Divisionのカヴァー曲。
Radioheadも演っていますよね。
オリジナルやNew Order版を凌駕しています、とはとても言えないのですけれども実に素晴らしい出来映えです。
Dean Warehamの静かな咆哮に涙が出そうです。
これまた名曲のひとつなのです。
♪「Blue Thunder」Galaxie 500
♪「Blue Thunder」Galaxie 500
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