The King Of Luxembourg / Royal Bastard (1987)

リンク先さまであるAntenna.blogのパイクマンさんの快方を祈願いたしまして、今回はこの『Royal Bastard』(1987)を取り上げてみましょう。
The King Of Luxembourgとしてのデビュー・アルバム、と同時にほぼ全編カヴァーという異色作です。
Simon Turner名義でCreation Recordsにも録音しているSimon Fisher Turnerがルクセンブルグ王を名乗り“税金対策”を理由に音楽活動をしているなどという言い草が抜群ですね。
気鋭のEl Recordsでなければどこも引き受けてくれなかったのではないでしょうか。
今回、紙ジャケットCDの解説を読んで初めて知った訳なのですけれども、1954年生まれのSimon Fisher Turnerは子役としてテレビやラジオで活躍、1973年に『The Prettiest Star』というDavid BowieのカヴァーでデビューしつつもSex Pistolsの出現がきっかけでロック・ミュージックへと目覚めたという経緯があるそうです。
実際にM5「Poptonens」のようにPublic Image Ltd.をカヴァーしておりますね。
そのほかの内容について、全体的に鮮やかなスパニッシュ・ギターの味付けが胸をくすぐってくれます。カヴァー曲にあっても本作ではフラメンコの要素が際立ちますね。
その極めつけがM1「Valleri」です。
ご存知の通り、The Monkeesが1968年に大ヒットさせた有名曲ですね。
このアルバム・ヴァージョンではバック・コーラスも分厚く、歯切れの良い編曲が実に痛快無比の仕上がりです。
このほかにもHarpers BizarreのM3「Mad」、The Turtlesのヒット曲のM8「Happy Together (Prelude)」とM10「Happy Together」、The Catawaysの代表曲のM11「Liar Liar」といった数々のカヴァーの通り、原曲を損なわずにばっちりと衣装替えしてみせるというこの手の指標のひとつして確立されている感があります。
また、M7「Baby」などは顕著な狂おしさと気品の良さが匂い立つのを嫌でも嗅ぎ取ることが出来ると同時に、高貴な名とは裏腹の極めて変態的な解釈を存分に堪能することが出来る逸品ですよ。
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