Sebadoh / The Freed Man (1989)

ついでのついでにSebadohの『The Freed Man』(1989)を取り上げてみましょう。
Dinosaur Jr.に在籍中の1980年代中頃からLou BarlowがEric Gaffneyと組んでいた宅録グループの最初のアルバムです。
現在のLou Barlowの原点とも言える作品集でして、やはり最初はカセット・テープの形で販売されていたのが何年か前に52曲入りという無茶な豪華リマスター仕様CDで再発売されたのです。
CD1枚に52曲(!)ですから当然、楽曲自体は短くアイディア段階の素描のようなものですし、音質も荒いままです。
いくらLou Barlowに歌心が溢れているからと言っても、ほとんどテープ操作のお遊びに終始していたり「Yellow Submarine」The Beatlesをドシャメシャにカヴァーしてみせたりとダイヤモンドの原石と呼ぶには程遠い代物も転がっています。
数打ちゃ当たるということでもなく、それでもやはりその断片にはきらりと輝くものが散らばっていまして、その単純で朴訥としたギターの弾き語りが他所では味わうことの出来ない唯一無二の魅力であると断言します。
それに各曲が細切れ故に最後までサクッと聴き通すのも苦ではありませんよ。
日常のひとコマをさり気なく切り取っては淡々と歌い続けるLou Barlowが、その最初から才能に恵まれたミュージシャンだと再確認させてくれるアルバムですね、これは。
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