Paul Williams / Someday Man (1970)

今更ですけれどもPaul Williamsによる珠玉の名作、『Someday Man』(1970)のご紹介です。
あのRoger Nicholsの相棒として幾多の名曲を世に送り出したPaul Williamsがこのデビュー・アルバムの全曲をまたしても彼との共作で作り上げたという大車輪の活躍を見せています。
そうです。デビュー・アルバムにして全編、哀愁が一面に漂う涙なくしては聴くことの出来ない1枚。これほどまでに哀しく切ない音をほかに知りません。(←無知蒙昧)
例えばPaul McCartneyとは違って(失礼っ)あざとさが感じられないのが吉、でしょうか。
決して上手くはない歌ではあるのですけれども 苦み走った声で感情を巧みに抑えながら歌い上げる様子には堪らないものがありますね。
表題曲のM1「Someday Man」で主導権を握るベース・ギターと胸躍るスネア・ドラム。この出だしだけでもう厭が応にも盛り上がります。
鮮やかに転調を繰り返してみせるところなども絶品ですね。魔法でもかけられているのに違いありません。
そしてM3「She's Too Good To Me」と来ましたら、素晴らしいメロディーが紡がれながらも2分余りであっさりと終了。
そんなこともあってか、なおさら胸が張り裂ける思いに駆られます。
後半におきましては中でもM7「To Put Up With You」が出色の出来映えでしょう。
駆け出しの時分に組んでいたグループ、The Holy Mackerel時代のシングルB面曲なのですけれど、ここで引っ張り出して来ただけありまして名曲度数も満点。非の打ちどころがありません。
The Monkeesになることが出来なかった男による一世一代の晴れ舞台は、ほろ苦い中にも甘さが広がる切ない瞬間の連続です。
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