春の紅白歌合戦 「白組編」 (2001)

本作は幻の名盤解放歌集*ワーナーミュージック『春の紅白歌合戦 「白組編」』(2001)です。
前回の『春の紅白歌合戦 「紅組編」』(2001)に負けず劣らず密度の濃い1枚です。
“すべての音盤はすべからくターンテーブル上(CDプレーヤー内)で平等に再生表現される権利を有する”
この宣言通り、この世の果てに打ち捨てられた特異な歌謡曲の亡骸を掬い取るべく活動に勤しむ幻の名盤解放同盟。
夏に向けて気になるVラインなどよりも業が深い歌謡曲の一大絵巻として彼らが丹精込めてまとめ上げた編集盤シリーズを取り上げて行きます。
前回の「紅組編」と同様に“夜のワーグナー”こと藤本卓也による作・編曲から始まります。
M1「闇夜のブルース」という表題もさることながら、このどす黒い恨み節。さすがに情念の燃え上がり方が違います。
次いでM2「さすらいの旅」で以て勝新太郎が醸し出すこの侘しさ、その枯れ具合、すべてを包み込むような器の大きさ。
もう何も言いますまい。
一転、ネオン街に引き込まれてしまうM3「新盛り場ブルース」と言いますと、やはり里見洋と一番星の上手さが光りますね。
阿久悠による歌詞も鍵を握っております。
解説によりますとハード・ファンク・ロック演歌とでも呼ぶべき2曲が収録されたこのグループは、GSのレオ・ビーツが前身ということからもその実力は折り紙付きですよ。
M4「慕情~天草の女~」共々、息の合ったバック・コーラスも奏功したファンキーな仕上がりには舌を巻いてしまいます。
一揆でも起こしそうな勢いをひっそりと内に秘めたM5「若き百姓よ」とM6「休耕田に佇つ百姓」を挟みまして再びネオン街へと誘い込むのがM7「歌舞伎町ブルース」を歌う北九州男です。
その名をきたくすおと読むこの丸坊主の男性、熱い九州男児の喉を振り絞ってくれるのかと思いきや、意外とあっさり味でした。
逆にM9「ウエブロ(なぜ呼ぶの)」にて塩辛い歌声を披露する広瀬友剛の方が内容が内容だけに余程、印象に残る苦味がありますね。
後半に入りまして、ささくれ立った歌声を聴かせてくれる新城健とブルー・シャンデリーのM13「さいはての女」における慕情には心に染み入るものがありますよ。
そして、山川登とベストセラーズのM16「ガッカリしてるの」につきまして。
“ガッカリ ガッカリ ガッカリしちゃって”と執拗にがっかりしてしまっているのですけれども、これはもうがっかりするどころかM3「新盛り場ブルース」と並ぶ本作における最大の聴きどころです。
実際のところ、M15「世間知らず」では頭ごなしに“駄目 駄目 駄目 駄目 駄目 駄目 駄目になるわよ貴方”としつこく叱ってくれたりします。
続くM17「熱いおくりもの」がまたもや阿久悠による作詞の1曲でして、趣向はまったく異なるもののこの辺りの流れは選曲の妙ですね。尻上がりに盛り上がって行く訳ですよ。
トリを飾る勝新太郎のM20「波止場町ふたり町」のひとつ手前、寺内タケシによるM19「望郷の唄」が内包する雄大な調べと来ましたら。
ギターの神様、寺内タケシ自身が故郷に想いを馳せて歌う名唱であります。
この紅白歌合戦に勝ち負けがないことは勿論のことなのですけれど、歌合戦という前提のためでしょうか各曲が万遍なく粒揃いでもあり選曲にも目を見張るものがあります。
収録曲は以下の通りです。
M1「闇夜のブルース」長谷二郎(藤本卓也)(1976)
M2「さすらいの旅」勝新太郎(1975)
M3「新盛り場ブルース」里見洋と一番星(1971)
M4「慕情~天草の女~」里見洋と一番星(1971)
M5「若き百姓よ」角石(1979)
M6「休耕田に佇つ百姓」角石(1979)
M7「歌舞伎町ブルース」北九州男(1983)
M8「粋な年輪」北九州男(1983)
M9「ウエブロ(なぜ呼ぶの)」広瀬友剛(1979)
M10「何も変わっちゃいないさ」広瀬友剛(1979)
M11「Oh Yah!ラッシー!」野口正見(1976)
M12「社長さんは涙だ溜息だ」毛利大作(1978)
M13「さいはての女」新城健とブルー・シャンデリー(1971)
M14「赤い自転車」俵健一郎(1981)
M15「世間知らず」山川登とベストセラーズ(1980)
M16「ガッカリしてるの」山川登とベストセラーズ(1980)
M17「熱いおくりもの」フレンズ(1974)
M18「平和の誓い」根来ジョージ(1982)
M19「望郷の唄」寺内タケシ(1982)
M20「波止場町ふたり町」勝新太郎(1975)
M1「闇夜のブルース」長谷二郎(藤本卓也)(1976)
M2「さすらいの旅」勝新太郎(1975)
M3「新盛り場ブルース」里見洋と一番星(1971)
M4「慕情~天草の女~」里見洋と一番星(1971)
M5「若き百姓よ」角石(1979)
M6「休耕田に佇つ百姓」角石(1979)
M7「歌舞伎町ブルース」北九州男(1983)
M8「粋な年輪」北九州男(1983)
M9「ウエブロ(なぜ呼ぶの)」広瀬友剛(1979)
M10「何も変わっちゃいないさ」広瀬友剛(1979)
M11「Oh Yah!ラッシー!」野口正見(1976)
M12「社長さんは涙だ溜息だ」毛利大作(1978)
M13「さいはての女」新城健とブルー・シャンデリー(1971)
M14「赤い自転車」俵健一郎(1981)
M15「世間知らず」山川登とベストセラーズ(1980)
M16「ガッカリしてるの」山川登とベストセラーズ(1980)
M17「熱いおくりもの」フレンズ(1974)
M18「平和の誓い」根来ジョージ(1982)
M19「望郷の唄」寺内タケシ(1982)
M20「波止場町ふたり町」勝新太郎(1975)
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