Lowell Fulson / Tramp (1967)

もともとはオクラホマ出身だというファンキーなブルースマン、Lowell Fulsonと来ればまずはChess Records傘下のChecker Records時代のヒット曲、「Reconsider Baby」(1954)で広く知られています。
創業60周年を迎えまして何かと話題のChess Recordsの総花的なオムニバス盤CDであれば漏れなく収録されるような有名曲ですので、知らず知らずに耳にしている方も多いのではないでしょうか。
先日、P-Vine Recordsから発売されました西海岸のKent Records時代の紙ジャケット仕様のCD、4枚の中から何はともあれ『Tramp』(1967)を選んでみました。
ジャケット写真からして怪しい雰囲気が満点なのはご覧の通りですね。
小汚い格好にもかかわらず女性ふたりに挟まれてご満悦、の図です。
追加収録の2曲を含む14曲入りのこのアルバム全体が背脂たっぷり、濃度高めのファンキー・ブルースだらけでございます。
Lowell Fulsonによる歌自体が鷹揚で、それでいて深みがあるのですね。
Otis Reddingもカヴァーした表題曲、M1「Tramp」がこれまた大変に有名でしてその強靭なビートがヒップホップのネタとして使われる、らしいです。
これまたラップの原型のような歌も豪快に響き渡ります。
M9「No Hard Feeling」なんてのはどこかM1「Tramp」のヒットに味をしめて作ってみましたという二番煎じな臭いが充満している一方で、収録曲の曲調は意外とばらけているようないないような感じでして、M11「Goin' Home」ではニューオーリンズR&Bばりの転がるピアノまで飛び出して来ます。
M12「Pico」もまたM1「Tramp」をそのまま持ち出して来たインストゥルメンタル曲です。
あからさまに被せたギターはLowell Fulson自身によるものなのか、やけに虚ろに聞こえてしまうのは気のせいですよね。
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