Tenório Jr. / Embalo (1964)

さてさて、Tenório Jr.の『Embalo』(1964)というアルバムです。
今回も例によって旧ブログからの転載です。
思わず胸が弾むサンバ・ジャズを聞かせてくれるTenório Jr.が唯一残した『Embalo』(1964)について書いてみましょう。
当ブログでも何枚か採り上げていますSom Livre Mastersのシリーズと平行する形でRge Clássicosという復刻シリーズが開始されまして。これまた嬉しいような困ったような。
本作は昨年、Bomba Recordsの名盤1500シリーズ第1弾としても発売された訳ですけれども、ここでは件のRge Clássicosから選んでみました。
基本を貫いていますのはピアノ・トリオという形態ではありますけれど、ものによってはホーン隊のお陰で色とりどりな賑やかさも手伝いまして。
例えば表題曲のM1「Embalo」やM9「Consolação」などはTenório Jr.自身のピアノも勿論なのですけれど、ホーン隊による大車輪の活躍が見事なまでに奏功しております。
本場のハードバップ顔負けとも言える熱気を感じ取ることが出来ますよ。
打って変わって2分にも満たないM3「Nebulosa」で聴くことの出来るけれんみのない演奏が実に爽やかです。
折り返しのM6「Fim De Semana Em Eldorado」などは音数は少ないながらも緩急織り交ぜたその演奏にこそピアノ・トリオならではの醍醐味というものがありますね。
正直に申し上げてこれほどまでに素晴らしいとは思ってもみませんでした。
こうなりゃサンバ・ジャズなのかジャズ・サンバなのか、はたまたジャズ・ボッサなのかいずれでも構わない訳なんですが、とても優れた音楽に間違いはありません。聴いていて極めて満足度が高まりますね。これからもずっと大切にしておきたい1枚です。