O.V. Wright / Into Something (Can't Shake Loose) (1977)

前回のDon Bryantの『I'll Go Crazy』(1993)に続きましてO.V. Wrightの『Into Something (Can't Shake Loose)』(1977)をやっとヒーターを引っ張り出して来ましてぬくぬくとした中で聴いております。
今回も旧ブログからの引用エントリでございます。
サザン・ソウルの重鎮というよりもサザン・ソウルそのものを体現する孤高のシンガー、O.V. WrightがHi Recordsから放った1枚目がこの『Into Something (Can't Shake Loose)』(1977)です。
1977年発売ということで新しめの音を苦手とする身には厳しいのではと思ったのも束の間、深みのある歌心が溢れるのと同時に泥臭いサザン・ソウルの香りが立ち籠める素晴らしい作品です。
表題曲のM1「Into Something (Can't Shake Loose)」については、時節柄でしょうかモダンな曲調を難なく歌い切ったファンキーな1曲です。
鮮やかなまでの切れの良さがアルバムの冒頭にぴたりとはまります。
M3「Precious, Precious」とM6「Trying To Live My Life」の2曲はソウル・ファンの心の故郷、Otis Clayの名唱で知られるものです。
どちらもO.V. Wright流に料理され、これ以上にないほどの絶品に仕上げられています。
カヴァー曲以外にも勿論聞きどころはありまして、M4「The Time We Have」でのじっくりコトコト煮込んで行くような様子などには堪らないものがあります。
アルバムの最後には圧巻のメドレーが待ち構えております。咽び泣くようなバラードというよりも聴いているこちらが泣けて来るM7「Medley」の内訳がこれまた怒濤の3連発なのです。
「God Blessed Our Love」Al Greenに「When A Man Loves A Woman」Percy Sledgeと来て、Otis ReddingやThe Rolling Stonesも歌った「That's How Strong My Love Is」には心底参ってしまいます。
もともとは1964年に吹き込んだという「That's How Strong My Love Is」を本家本元であるO.V. Wright自身が激唱するとなれば、やはり涙なくしては聞けません。
素晴らしいですね、心が震えてしまいます。
深まる秋から冬にかけて聴くディープ・ソウルがまた格別なんですよね。
♪「Precious, Precious」O.V. Wright
♪「That's How Strong My Love Is」O.V. Wright