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Yo La Tengo / Summer Sun (2003)

summersun
久しぶりにYo La Tengoを聴いています。今回は『Summer Sun』(2003)です。ジャケット写真が何とも言えないものですがそこはぐっと我慢です。


ゆらゆらと陽炎のようなM1「Beach Party Tonight」。意外な幕開けですがこの位置でしかあり得ないと言えば話が早いですね。
M3「Nothing But You And Me」は囁くような歌声にポップさの欠片すらない抑えに抑えた演奏は必要最小限の音数が効果的ですね。   
非常に落ち着いた調子で展開されて行きます。


一転して穏やかな表情を見せるM4「Season Of The Shark」はとても優しげで大人の余裕さえ感じさせるギターポップではないですか。決して派手ではありませんが好感度高し、です。この手の何気ない佳曲には否応なしに心惹かれてしまいますね。


シングル曲のM5「Today Is The Day」、水底をゆったり漂うような感覚を覚える気持ちの良い1曲。もはやサイケデリックでもないYo La Tengoならではの浮遊感が堪りません。
このアルバム、全体ではメロディーは概ねしっかりとしつつもそういう輪郭のぼやけた曖昧さやさざ波のような微かな息使いで貫かれていながら、さまざまに彩られています。轟音ギターを避けてゆっくりしたい時にはぴったりですね。


もの静かなM7「How To Make A Baby Elephant Float」とそれとは打って変わって奇天烈な音の羅列が特徴の「Georgia VS. Yo La Tengo」という妙なインストゥルメンタルまで聴き進めてみまして相当な異色作だと思わざるを得ませんね。
それが思いつきでもなさそうですし突拍子もない方向へ転がるでもなくもの凄く心地良い時間を作り出しているという事実がある訳ですよ。


アルバム全体としてはギターの音が唸りを上げる場面はほとんどなくて温かみのあるキーボードの音色が少しくすぐったいくらいですよ。この尋常ではない穏やかさが後追いでYo La Tengoを聴いて来た身にとっては穏やかな事態ではないんですよ。
毎回のように収録される10分以上に渡る大曲も今回はYo La Tengoの面々が緩やかに、そして思うままに動き回ります。フルートの音色が自由に宙を舞うこの混沌とした流れは気持ち良いですね。
そんなM12「Let's Be Still」の後に何とBig Starのカヴァー、M13「Take Care」にて締めくくられます。沁みますね、これ以上ないというほどに。


♪「Little Eyes」Yo La Tengo



♪「Season Of The Shark」Yo La Tengo



♪「Today Is The Day」Yo La Tengo



♪「Take Care」Yo La Tengo



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No title

>そんなM12「Let's Be Still」の後に何とBig Starのカヴァー、M13「Take Care」にて締めくくられます。
>沁みますね、これ以上ないというほどに。

あー、そうだったんですね。(^^ゞ
実はこのアルバム、あまりちゃんと聴いていなかったんです・・・
手に入れたタイミングが悪くって、なんとなく放置してありました。
Yo La Tengoはいつもカヴァーする曲のセレクションが渋いですね。
彼らを知るキッカケになったのは、CD屋で何気なく手に取った"Fake Book"でNRBQとか
John Caleの誰もこんなのカヴァーしねえだろー、という曲をやっていたからでした。
そこからズブズブと・・・

MOREさんへ

MOREさん、毎度のコメントをありがとうございます~。

意外過ぎるアルバムと言ってもかもですね、これって。
でもってカヴァーの選曲が何じゃこりゃという。『I Can Hear The Heart Beating As One』の「My Little Corner Of The World」も大好きなんですが、誰かのカヴァー曲なんだと最近になって気が付いたんでした。

『Yo La Tengo Is Murdering the Classics』という企画盤ではArchie Bell & The Drellsの「Tighten Up」からYesの「Roundabout」とかまで演りたい放題ですもんね~。
素敵な連中っすよね!

No title

My Little Corner Of The Worldは1960年にAnita Bryantがヒットさせました。
まあ、なんという渋い選曲でしょうか・・・
『Yo La Tengo Is Murdering the Classics』はちゃんと彼らのサイトで買いましたよ。
あそこは対応も速いし、値段も手頃ですよね。
RoundaboutではミラクルズのLove Machineのリフがしっかり演奏されていて笑いました。
あー、一度でいいから彼らの年末恒例ハヌカ・コンサートに行きたいもんです。

MOREさんへ

MOREさん、返事が遅くなってしまいまして申し訳ございません。再度のコメントをありがとうございました。

>My Little Corner Of The Worldは1960年にAnita Bryantがヒットさせました
おー、そうだったんですね。情報をありがとうございます。こういう曲こそ意外とハマるもんなんですよね~。
これからも期待を裏切ってくれるような活動を思わず期待しちゃいますね。
プロフィール

北沢オーストラリア

Author:北沢オーストラリア
ハンドルネームをchitlinから北沢オーストラリアへと改めました。どうか、よろしくお願いいたします。
ポップ・ソングのことを中心に書こうとして自家中毒を起こしているブログです。
見当違いのことばかりですけれども、どうかご容赦のほどを。

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