
今回は
The Kelly Brothersの『
The Complete Sims Sessions』(1997)という編集盤を聴いてみました。
先月に取り上げました『
The Heart Of Southern Soul: From Nashville To Memphis And Muscle Shoals』(1994)というオムニバス盤にも収録されているヴォーカル・グループの単独盤です。
未発表だったという後の
Excello Records録音も含む1960年代後半のシングル11枚分の
Sims Records音源集ですね。鈴木啓志氏が全面的に協力して
P-Vine Recordsから発売されたありがたい1枚なんです。実際には
Kent Recordsからの『
Sanctified Southern Soul』(1996)とほとんど同じ内容なんですけれどね。
たっぷりと27曲も収録されているので堪りませんよ、これは。
アメリカ南部を代表するマッスル・ショールズは
Fame Recording Studio録音が中心ということでよろしいのでしょうか、彼の地のセッション・ミュージシャンたちによる一分の隙もない演奏と骨太で熱い歌とががっぷり四つに組みまして極上のサザン・ソウルそのものです。
締まりがあって表情豊かな演奏がこれだけ歌を熱く盛り上げるんだという好例でしょう。それから兄弟グループだけありまして、ヴォーカル・グループとしてのその連携もばっちりですよ。
名曲、M11「
I'm Falling In Love Again」については言うに及ばず、じわじわと胸に迫るディープ・ソウルが目白押しですし意外とファンキーなM6「
Got The Feeling」、M9「
You're That Great Big Feeling」などなど楽しみは尽きない内容でございます。
サザン・ソウル、ディープ・ソウルにしてはゴツゴツとしているというよりも滑らかな印象を持ちますし、その豊穣な音作りには口をあんぐりです。
Dan Pennが関わっている影響が大きいはずですね。
加えてこの時代ならば当たり前と言えば当たり前のゴスペル・グループ出身という訳でありますので、そのゴスペル仕込みの力強い歌唱につきましてはお見事としか言いようがないんですよ。