The Kinks / Everyone's In Show-Biz (1972)

今回のThe Kinksは『Everyone's In Show-Biz』(1972)です。
何とも皮肉を利かせた表題ですね。
10曲のスタジオ録音作品と13曲のライヴ音源とを併せた変則的な2枚組のアルバムです。現行CDではライヴ音源の最後の2曲、M22「Till The End Of The Day」とM23「She's Bought a Hat Like Princess Marina」は追加収録されたもので、すべて1枚に収められています。
まずはスタジオ録音につきましてM1「Here Comes Yet Another Day」にM3「Unreal Reality」、M5「Sitting In My Hotel 」と来てM7「You Don't Know My Name 」、M9「Look A Little On The Sunny Side」となりますと目に見えて疲労の度合いが心配になるくらいの有りさまですね。
音としては全体的により一層、アメリカ音楽に傾倒した作りになってはいますが、これは営業的な狙いがどこまであったんでしょうか。前作の『Muswell Hillbillies』(1971)という傑作からRCA Records へと移籍したことも手伝った結果なのか定かではありませんが豊かでまろやかに鳴らされる音群に呼応するかのような物語り性に満ち溢れた詞曲がどれも印象深いです。
6分以上に渡る名曲、M10「Celluloid Heroes」。これがまた切なさ全開ですね。またもやThe Kinks、Ray Daviesによる真骨頂がここに。素晴らしいのひと言です。
打って変わって、重厚で引き締まった演奏のM11「Top Of The Pops」から始まるアメリカ・ツアーの様子はやはり『Muswell Hillbillies』収録曲が中心なんですよね。
しっかりとホーンや鍵盤を含んだ大所帯にやさぐれたRay Daviesの歌声が絡み付くのも妙味です。
M14「Acute Schizophrenia Paranoia Blues」、M15「Holiday」にM16「Muswell Hillbilly」、M17「Alcohol 」の流れにはどうしようもなく盛り上がってしまいますよね。
M18「Banana Boat Song」を挟んでM19「Skin And Bone」で再び盛り返すのも嬉しい限りですし、観客たちに歌わせるだめ押しの名曲のM21「Lola」で大円団。楽しい内容です、良いライヴです。
♪「Celluloid Heroes」The Kinks
スポンサーサイト