The Kinks / Arthur (Or The Decline And Fall Of The British Empire) (1969)

今回のThe Kinksは『Arthur (Or The Decline And Fall Of The British Empire)』(1969)というアルバムです。
楽しい仕掛けの再現が期待された紙ジャケット仕様豪華拡大版CDの発売もやはり見込みが立たないままのようで如何ともしがたい状況ですね。
あの傑作、『The Kinks Are The Village Green Preservation Society』(1968)に続くアルバムな訳ですけれども、紆余曲折を経た1枚だそうで。テレビ・ドラマ用に作り始めたのに計画が流れてしまったものの何とかアルバムとしての発売に漕ぎ着けたとか。
先日、亡くなってしまったPete Quaifeの代わりにJohn Daltonが加入するなどもあったんですね。
『The Kinks Are The Village Green Preservation Society』が当時、コケてしまったのはともかく、本作も相変わらず物語性が色濃いのが興味深いですよね。今回はRay Daviesの姉夫婦の暮らしぶりを題材にしつつ、音楽的にはさらに多様性が増した印象です。M6「Australia」なんていう因縁浅からぬ1曲もありますし。
それにこれまでが悪過ぎたとも言えそうですが、音に色艶がありながらすっきりと整理整頓されていまして音質も良くなったような気さえします。
シングル曲のM1「Victoria」にM4「Drivin'」、M7「Shangri-La」といったもののほかにもそれぞれ個性的な楽曲が並んでいまして思いもよらない気付きがたくさんありますね。今までは抜群にノリの良いM1「Victoria」ばかり繰り返し聴いていたこともありましたので凄く新鮮に感じられ訳なんですよ。
フォーク・ロック風味はすでに感じられずホーン類がふんだんに使われていますのでこれまでない高級感、のようなものまで。
おまけに現行版CDにはDave Davies作を中心に10曲も追加収録されていますし、もうしばらく拡大版CD発売を待ちながらこの『Arthur (Or The Decline And Fall Of The British Empire)』を堪能することとしましょう。
♪「Victoria」
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