Yo La Tengo / And Then Nothing Turned Itself Inside-Out (2000)

今回のYo La Tengoは『And Then Nothing Turned Itself Inside-Out』(2000)というアルバムです。
ジャケット写真がもの凄く好みです。嫌でも想像力を掻き立てられますよね。
のっけから落ち着いているというかとんでもなく地味というか非常におとなしい印象。徹底して抑制が効いているというか、いつも以上に派手さのない音作りなんです。これを20世紀最後の年に世に問うのはいかがなものかと思ったこともありましたが。
一聴していつものギターバンドらしさが出ているのはM9「Cherry Chapstick」くらいでオルガンやシンセサイザーの類いが多用されています。
彼らにとっては必ずしも実験的とも新機軸とも言い切ることが出来ないような、そんなところでしょうか。風変わりなのはいつものことでしょうし。
そういう意味では、ちょいと異色作なのかも知れませんね。だからと言って本作がハズレだとかとは思いませんしね。Yo La Tengoのこれが持ち味、です。変化には貪欲なんですね。
本作では打ち込みも効果的に使われていまして、自然と滋味深くて温かい音像とともに独特のグルーヴ感がもたらされるといった具合です。
じっくりと聴いていますと(実際にじっくりと聴かせる内容ですし)深い海の底かどこかを歩いているような気分になって来ますね。M12「Tired Hippo」なんてのは怪しさ満点です。
最後は恒例の長尺曲です。M13「Night Falls On Hoboken」という表題も良いですね。まさに本作のジャケット写真を想起させるような浮遊感たっぷりの不思議な佇まいを醸し出す決定打ですよ。じんわりと効き目を発揮する気の遠くなるような18分弱ですよ。
♪「Our Way To Fall」Yo La Tengo
♪「Cherry Chapstick」Yo La Tengo
♪「Cherry Chapstick」Yo La Tengo
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