The Carousel / I Forgot To Remember To Forget (1993)

みんな大好きHeavenly!しつこいのは判っています。
今月も引き続きThe Carouselの出番です。『I Forgot To Remember To Forget』(1993)というアルバムです。
RazorcutsのGregory WebsterとTalulah Goshを抜けたElizabeth Priceとの夫婦(?)グループによる愛の結晶というのは言い過ぎでしょうか。
これまでの12インチ・シングルの『Strawberry Fayre』(1989)と『Sorrow Is The Way To Love』(1990)と7インチ・シングルの『Will You Wear Love?』(1991)もそっくり収録されています。
HeavenlyがSarah Recordsを選んだのは仕方のないことだとして、その代わりと言ったら何なんですが、既発音源ばかりであってもアルバムの形にして発売したVinyl Japanの気概を感じますね。
およそM1「Strawberry Fayre」の路線で統一感がありまして。チェロ、ヴァイオリン、ハープシコード、そしてオルガンなどといった装飾を最小限に抑えつつ、破綻もなく淡々と儚くも美しいThe Carouselの世界が完成しています。清楚で静謐で。
シングル曲のM7「Sorrow Is The Way To Love」なんてのはこれはもう名曲、大名曲ですね。冒頭から胸に刺さりまくる展開なんですが、終盤には目の前がパッと開ける瞬間が訪れるんです。後光でも差しているのが見える、ような気がしますよ。
一聴してプログレッシヴ・フォークとの近似を連想するとしても、実際にはそれぞれの違いは歴然としていますね。ジャケット・デザインからも想像がつく通り、The Carouselの場合には宗教色を多少なりとも感じさせるものがあります。
声量のなさと息継ぎの乱れさえ目立たなければ文句なしなんです。とか言つつ、これは割と致命的ですよね。
せっかくのHeavenlyのAmelia FletcherとPeter Momtchiloffの助太刀やGregory Websterによる流麗な弦捌き霞んでしまうことはないですが、非常に勿体ないことは確かです。
いずれにしても、密かに大切にしておきたくなるのがThe Carouselの音楽なんです。
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