Pixies / Surfer Rosa (1988)

Pixiesのサマーソニック2010への出演が決定し5年ぶりの来日公演となるそうです。
今ひとつ惹き付けられませんが、良い機会ですので初のフル・アルバムでもある『Surfer Rosa』(1988)を“もういち度”取り上げてみましょう。つまるところが旧ブログのとばすぜ ハイウェイからそっくり引用した手抜きエントリです。
ボストンを根城にするPixiesがひょんなことから4ADに拾われ、豪快にぶちかました最初のフル・アルバムが『Surfer Rosa』です。
ジャケット・デザインの美しさが4ADならではです。
一目見てロック・ミュージシャンには到底思えない4人ですが、逆説的にそんな彼らが最高にロックな存在と言えるのかも知れません。
ハードコア職人、Steve Albiniが録音を手掛けたことによって、空間を活かした独特な音の組み立てが奏功し騒々しくも輪郭が明確です。
それにも増して剥き身の生々しさに溢れた疾走感で聴く者の胸の内を焼き尽くし、凶暴なギターが轟くのはこれ以降も変わらぬ所作です。
また、パンクを通過した奔放な破れかぶれ具合が何とも痛快です。
M1「Bone Machine」から狂乱の咆哮が炸裂する物騒な幕開けに覚悟を決めます。
Mrs. John MurphyことKim Dealがリード・ヴォーカルをとるM5「Gigantic」はと言えば、M3「Something Against You」やM6「River Euphrates」などが居並ぶこれ以上無いほどに殺伐とした雰囲気の中でひと息つける瞬間です。
M7「Where's My Mind」におけるスケール感の大きさは特筆ものです。
今回、本作を聴き直すことによって手持ちの輸入盤CDにはデビュー・ミニ・アルバムの『Come On Pilgrim』(1987)が追加収録されていないことに初めて気が付いたというのは、ここだけの話です。
収録曲数が多いのですっかり勘違いをしていました。彼らのアルバムはどれも平気で15曲くらいは収録していますので。
ちょうど『Come On Pilgrim』が丸々追加された日本盤紙ジャケットCDへと買い替える絶好の機会でした。ジャケット・デザインも美麗極まりないことですし。
『Surfer Rosa』と比較して、演奏や曲想自体は根本的には変わりありません。仕上がりとしては相対的によりパンク色が強く習作の域に留まっているのではと感じる程度です。
M14「Caribou」やM20「I've Been Tired」、M21「Levitate Me」などには端々に猛り狂う様子を窺うことが出来ます。
と、まあ、未だに色褪せることのない音であることには感服せざるを得ませんね。ある意味、そこでは永遠に新しい音塊が鳴らされているとも言えそうですので何とも痛快です。
とは思いつつも再結成ライヴにはちっともそそられないことも事実ではあるんです。