ももいろクローバーZの新しいアルバム、『
5TH DIMENSION』(2013)です。
顔をドリアンマスクで覆い隠したジャケット写真の初回盤限定Aには『
ももいろ夜ばなし第一夜『白秋』第一部 2012年11月17日 @ZEPP TOKYO』というライヴ音源CDが追加されています。未聴ですけれども。
既発シングル曲の4つも含めて、『
ももいろクローバーZ JAPAN TOUR 2013 「5th Dimension」』の一環として行われた
先月の名古屋の日本ガイシホールでのライブ・ビューイングにて全収録曲を体験済みという訳なんですが、これまた
ももいろクローバーZ 春の一大事 2013 西武ドーム大会 〜星をつぐもも vol.1 Peach for the Stars〜を間近に控えて大慌てで聴き込む羽目に。
荘厳な歌声を響かせる
Carmina Buranaの冒頭の部分に導かれて始まるM1「
Neo STARGATE」。逸早くMVが
特設サイトにて公開されました。
その重苦しい雰囲気、そして曲調はアイドル歌謡の枠を軽く飛び越えている訳ですが、唸りを上げるベース・ラインには思わず痺れてしまいますし、抑制の効いた平歌から打って変わってどんどんと上昇気流に乗るようなサビには光るものがあります。曲調と言えば、盛んにダブステップのことが挙げられていますがその辺りについてはちっとも判りません。
次いで『
ももいろクローバーZ 春の一大事 2013 西武ドーム大会 〜星をつぐもも vol.1 Peach for the Stars〜』中にタイアップ決定が発表されたM2「
仮想ディストピア」。とても勢いが良いのでそこには納得ではあるんですが何か決定的なものが不足しているような気がしてなりません。
ラップを取り入れたM4「
5 the Power」は音の鳴りが最高ですしサビでの盛り上がり方が異常です。
軽妙なM6「
ゲッダーン!」はいかにもライヴの場で盛り上がるような作りです。
M8「
月と銀紙飛行船」はですね、何と実機のメロトロンの美しい旋律から始まる壮大な1曲です。ど真ん中に挿し込まれた5人それぞれの独白が徐々にひとつに重なり合うところがとても印象に残ります。
M9「
BIRTH Ø BIRTH」、こちらもMVが特設サイトにて相次いで公開されたシングル向けの1曲です。今までになく大人びた曲調には驚かされますし、突き抜けるようなサビへの繋がりには少なからず違和感がありますね。
浮遊感のあるベース・ラインが隠し味かなとも思いました。
続くM10「
上球物語 -Carpe diem-」。ラテン語の“Carpe Diem”とは “Sieze The Day”、さしずめ“今を生きろ”という意味ですね。曲調にしても
ももいろクローバーZの5人にぴたりと合う明るさ。尻上がりに盛り上がる作りにも感心しきりです。
ひたすら楽しげなM11「
宙飛ぶ!お座敷列車」を聴くと「
完全無欠のロックンローラー」
アラジンや「
ツッパリHigh School Rock'n Roll (登校編)」
横浜銀蝿をどうしても連想してしまうのは世代のためでしょうか。
有終の美を飾るM13「
灰とダイヤモンド」。作曲の
前山田健一による渾身の1曲だと思えるので彼による歌詞がどのようなものだったのか非常に気になったりします。
ももいろクローバーZが置かれた現状を著したじっくりと聴かせる名曲ではないでしょうか。
本作を聴いていつも思うことは全方位的に野心に満ち溢れていること、そして生き急いでいるという印象です。
キングレコードのディレクターが与える“半歩先の課題”が効いているとも感じます。
収録曲によっては
ももいろクローバーZの5人の歌い分けに無理を感じさせる場面が見受けられたり、グループ内での力量の差を感じさせられることも事実です。
また、発売前から考えていたことなんですが、M12「
サラバ、愛しき悲しみたちよ」はまだしも、M3「
猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」にM5「
労働讃歌」、そしてM7「
Z女戦争」についてはそれぞれの印象が強烈過ぎるが故に本作に収録することがそぐわないのではないかと。衣装の面で5色を排するという大変な冒険をやってのけるほどですから、アルバム未収録という英断があっても良かったのではないかと思います。今でも強い違和感が残ったままです。
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