Imperial Easter Egg
1890年前後、時の皇帝の命を受けて作製したイースター・エッグで有名です。身につけるものや調度品だけが宝飾品ではなく、また違った楽しみ方がありますよね。
ぱんややーん〜!
アルゼンチン出身のギタリスト、Agustin Pereyra Lucenaのデビュー・アルバムをお送りしましょう。
アルゼンチンと言えば条件反射でタンゴを連想するしかないのが関の山なのですけれど、このAgustin Pereyra Lucenaの場合にはさにあらず。れっきとしたアルゼンチン・ボッサです。
そもそもの始まりは少年時代に兄からブラジル旅行の土産としてもらったBaden Powellのレコードだったそうです。それをきっかけにすっかりブラジル音楽に魅了されてしまったということです。
実際に本作にはBaden Powellの作品をカヴァーした楽曲が4曲も収録されています。
ただ、そこから“アルゼンチンのBaden Powell”と呼ばれるギタリストまでになるのは本人による弛まぬ努力の結果なのか、はたまた天賦の才なのか知る由もないのではありますが本作が格好の判断材料なのかも知れません。
肝心のその腕前はと言えば、宙を駆けるが如く1本1本の弦を力強く弾き飛ばす大胆さの一方で繊細かつ優雅に紡がれるギターの音色の心地良さと来たら何ものにも代え難いという訳です。
稚拙ではあるものの女性によるスキャットが入るM2「Tristeza De Nos Dois」、M4「Tema Para Martin」やM7「Pro Forma」とM9「Nina No Divagues」にはその美しさに思わず骨抜きにされてしまいます。
それ以上にいちばん強烈な印象を与えてくれるのがM6「Canto De Ossanha」です。目の覚めるような鮮やかさ、これに尽きます。
Sonia Rosa、18歳の時の処女録音であるそうです。
Bomba Recordsの“ブラジル音楽の名盤セレクション③”で以て紙ジャケットCD化されたものです。
年末進行のせいもあってか最近、めっきり店頭に出向く機会を逸してはいます。そんな現状が嘘のように今年の春から夏にかけては、ふと手にしたCDを片っ端から買い求めていたものです。
本CDもそんな中にあって、殊更ジャケット・デザインに一目惚れ→即刻、購入に至った1枚です。
家路に着き、まじまじと紙ジャケットを眺めていましたら訳もなく興醒めの心持ちに陥り、最近までほとんど放置しておりました。
先月のことでしたでしょうか、正午前後にJ-WAVEのナヴィゲートを務めるDJ TAROの口から衝撃の事実が告げられました。
母親であるSonia Rosaを番組に迎えると言うのです。果たしてそれは日本語を流暢に話すSonia Rosa本人でありました。
ご存知の方には当然のことでしょうけれど、作業の手が止まるほどに驚きました。
そんなこともあってほとんど初めて耳にするかのような気持ちで臨んでみました。
改めまして想像を遥かに超える可愛らしい歌声を聞かせるボサノヴァがこれまた可憐に佇んでいます。
おまけに収録曲の半数が自作曲と来ています。編曲や制作陣にも助けられている面があるとは言え、弱冠18歳にしてその輝かしい才能が披露されています。
解説には彼女自身の言葉で録音当時の裏話が語られています。
久し振りにロック・ミュージック以外の音楽に身体を預けてみました。Sambalanço Trioのデビュー盤、『Vol.1』(1964)です。
以前に採り上げたTenório Jr.の『Embalo』(1964)とは異なりましてRge Clássicosからの復刻が為されていないのですけれどもBomba Records盤を楽しむことが出来ます。
最近、そのBomba Recordsからジャケット・デザイン違いの紙ジャケットCDが発売されたのですね。
このSambalanço Trioの奏でる音楽がジャズ・サンバなのかサンバ・ジャズであるのか呼び方はともかく、数あるピアノ・トリオ作品と毛色が違うと感じさせてくれるのが、ここ数日の肌寒い気候と符合するかのような落ち着いた雰囲気と言えそうです。
ブックレット中の解説によりますと、ピアノ担当のCesar Camargo MarianoがBill Evansから影響を受けたとのことですので納得ですね。
冒頭のM1「Samblues」の熱い演奏以外は案外と内なる想いを秘めたような抑制の効いた楽曲が並んでいます。
最後に置かれたM12「Sambinha」には3人の流暢なスキャットが挿し込まれているという素敵な1曲です。
最終曲だけに大変に印象深いものとなりますよ。
思わず胸が弾むサンバ・ジャズを聞かせてくれるTenório Jr.が唯一残した『Embalo』(1964)について書いてみましょう。
当ブログでも何枚か採り上げていますSom Livre Mastersのシリーズと平行する形でRge Clássicosという復刻シリーズが開始されまして。これまた嬉しいような困ったような。
本作は昨年、Bomba Recordsの名盤1500シリーズ第1弾としても発売された訳ですけれども、ここでは件のRge Clássicosから選んでみました。
基本を貫いていますのはピアノ・トリオという形態ではありますけれど、ものによってはホーン隊のお陰で色とりどりな賑やかさも手伝いまして。
例えば表題曲のM1「Embalo」やM9「Consolação」などはTenório Jr.自身のピアノも勿論なのですけれど、ホーン隊による大車輪の活躍が見事なまでに奏功しております。
本場のハードバップ顔負けとも言える熱気を感じ取ることが出来ますよ。
打って変わって2分にも満たないM3「Nebulosa」で聴くことの出来るけれんみのない演奏が実に爽やかです。
折り返しのM6「Fim De Semana Em Eldorado」などは音数は少ないながらも緩急織り交ぜたその演奏にこそピアノ・トリオならではの醍醐味というものがありますね。
正直に申し上げてこれほどまでに素晴らしいとは思ってもみませんでした。
ラウンジ感覚溢れるお洒落なピアノ・トリオ作品、『José Roberto Trio』(1965)を聴いてしっぽりとしてみましょうか。
ポップで可愛らしいジャケット・デザインからは想像することの出来ないほど小気味よく端正で切れのある演奏ながら、鬼気迫る緊張感などからはほど遠い非常にゆったりとした雰囲気を楽しむことが出来ますよ。
まさしく気品溢れるピアノ演奏が際立つJosé Roberto Bertramiのことをちょいと調べてみましたら。
“街も深い眠りに入り、今日もまた1日が終わろうとしています”というFM番組『クロスオーバーイレブン』のテーマ、「Fly Over The Horizon」でお馴染みのAzymuthというグループで後に名を上げたとのことです。
何とはなしに聞き流してしまうことも出来ますので、ともすれば気が付かないでいたとしても不思議ではないのですけれど、Manfredo Fest作のM3「Impulso」などでは目まぐるしくテンポを変えては駆け抜ける好曲なのです。
これはただ者ではないなと即座に感じさせます。
一方、M2「Dá-Me」やM10「Flor Da Manhã」などではヴィブラフォンの音色も鮮やかなのですけれども、こうなりますと一体誰が演奏しているのだろうという疑問も浮かび上がって来ますけれどね。
本盤も“Paradise Masters”という復刻シリーズからの1枚なのでして、相変わらず毎度のように嬉しい驚きをもたらしてくれますよ。