The Famous Ward Singers / Surely God Is Able (1996)

The Famous Ward Singersの『Surely God Is Able』(1996)を聴いてみました。久しぶりのゴスペル、The Famous Davis Sistersの『The Famous Davis Sisters』(1966)以来のエントリです。
『Surely God Is Able』というアルバムを基にして1940年代末から1950年代にSavoy Recordsに録音した24曲分を収録した編集盤です。
件のThe Famous Davis Sistersなどと同時にP-Vine Recordsが国内盤CD化を行った中の1枚です。
大御所、Mahalia Jacksonと並び称されるClara Wardを中心としたグループに変わりはないんですけれども、本盤の場合にはClara Ward & The Ward Singers名義ではないんですね。
純粋な信仰心が歌へと向かわせる姿は何よりも崇高ですね。力強い歌声が聴衆の心の奥底を揺さぶりさらに鼓舞するという、ある意味で特別な磁場が生み出されいる訳ですよ。ピアノ伴奏のみによる表題曲、「Surely God Is Able」をはじめ敬虔さと熾烈さが混ぜ合わさった尋常ではない状況ですね。
巧みなバック・コーラスと相俟ってあまりにも迫力のある歌唱を轟かせているだけありまして思わず痺れてしまいますよ。
そんなClara Wardに比肩するMarion Williamsの実力も圧倒的ですよね。もの凄い馬力の持ち主です。何という存在感でしょう。
また、M7「Packing Up」やM16「I Know It Was The Lord」などを聴いてみれば一目瞭然、元祖ロックンローラーのひとりでもあるLittle Richardに大きな影響を与えている訳ですよ。(←受け売りです)その張りのある高音の雄叫びはまさしく魂の叫びではないでしょうか。
名演揃いの本盤ではありますが、M12「Great Judgment Morning」だけが1962年録音だそうです。鈴木哲志氏による詳細な解説によればSavoy Records移籍前の音源を再演したものでその出来上がりは足元にも及ばないとのこと。
そんな極上の原曲を聴く術はなさそうですが、それでもこれ以上の高揚感はないですね。早急なリズムや絶妙な合いの手、熱い手拍子にも煽られることのない強靭な歌声は素晴らしいのひと言に尽きます。