U2 / Rattle And Hum (1988)

U2の『Rattle And Hum』(1988)です。
『The Joshua Tree』(1987)時のツアーの模様を収めた映画、『Rattle And Hum』(1988)のサウンドトラックでもあります。
M1『Helter Skelter 』The Beatlesのカヴァーから始まるのも大胆なんですが、ほかにもM5「All Along The Watchtower」Bob Dylanなどのライヴ音源も含まれていますのでね、何でもありの様相とも言えます。
The Edgeのソロ作にして箸休めのようなM2「Van Diemen's Land」に続いてBo Diddley Beatを取り入れたシングル曲のM3「Desire」、先のM5「All Along The Watchtower」にゴスペル隊と共演したM6「I Still Haven't Found What I'm Looking For 」などなど前半から詰め込み過ぎの展開も企画盤ならではですよね。
どちらもどうにも大袈裟なM8「Silver And Gold」とM9「Pride (In The Name Of Love)」のライヴ音源を挟んでアメリカ録音の成果であろうM10「Angel Of Harlem」、M11「Love Rescue Me」、そしてM12「When Love Comes To Town」という流れは狙い過ぎであってもU2とっては外せないところでしょう、きっと。
M12「When Love Comes To Town」でのB.B. Kingとの共演は最大の見せ場のひとつですし。
意外と好きなM13「Heartland」とJohn Lennonへの献辞と言えるM14「God Part II」が対照的です。いつもと違って柔らかな温もりを感じさせる前者といつもと違って珍しく無機質な後者。こんなところも面白いものです。
M15「The Star Spangled Banner」Jimi Hendrixに導かれて迫力満点に轟く「Bullet The Blue Sky」のライヴ版について、この流れの中では少し唐突ですが本作の大詰めとしてはぴったりですね。
そして、いちばん最後を締めくくるのがM17「All I Want Is You」。染みますね、胸にぐっと来ます。Van Dyke Parksをストリングス編曲に引っ張り出したりしていますが、そのむせ返るような熱気を嫌いになることは出来ないようです。
島国から寄せるアメリカへの憧憬というものがいくらでも透けて見えるところなんかは身近に感じます。焦ったりもがいたりGracelandを訪れてはしゃいだりする姿を映画にしてしまうのもある意味でU2らしくてよろしいんじゃないかと。
そして、アメリカというものに拘りに拘った本作を区切りに次の道を目指すことにも納得です。
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