閏年
いくらオペラに疎くても「ウィリアム・テル」、の序曲くらいならば慣れ親しんだものがありますよね。私、北沢オーストラリアの場合には世代的にも『オレたちひょうきん族』で馴染み深い訳です。
ぱんややーん〜!
未だ現役で活躍中のRosa Passosによるデビュー・アルバム、『Recriação』を採り上げてみます。
月並みですが、収録曲はどれもこれも優れたMBPの連続です。そして、何よりも彼女の可憐で初々しい歌声が最大の魅力でして、それがいかんなく発揮されています。
ただし、1979年というと個人的には音の作りが中途半端に新しく感じることが多々あるのです。果たしてキーボードの導入が若干の違和感を与えてくれます。
と、当たり障りのないこと申し上げておりますが。
先月、タワーレコード新宿店にて本作を試聴した上で購入に至っています。実際にここ1ヶ月ほど繰り返し耳を傾けた結果、上記のような印象を受けたものの我ながら馴染んで来る様子がありません。
ずっと以前からこういうことがあったと思い当たる節がない訳でもありません。
10代も後半になると書店で周囲の視線をかいくぐりながら、大人向けの雑誌を高速でチェック。清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入した後、自宅にて満を持して吟味しようとすると・・・。
大抵の場合、大きな肩すかしを喰らい、募る徒労感に苛まれるのがオチでした。
逸る気持ちを抑えながら、店頭で必死にページを繰っていることそれ自体が胸を高鳴らさせていたのかも知れません。
翻って今現在、やっていることは大して変わらず、徒に試聴を重ねては勝手にときめいて散財経験値を上げているのだと自分を納得させることとしましょう。
本作の場合も相性が良くなかったでは残念極まりないことですから、しつこく聴き倒して夏を満喫したいところです。
Bomba Recordsから興味深い復刻が開始されています。その名も『ボンバ・レコードのラテン・スペシャル・セレクション』です。
“オリジナルLPを忠実に再現した初回限定生産紙ジャケット仕様”に留まらず“本シリーズのための新マスタリング”は勿論、“世界初CD化、国内初CD化作品多数”という風に照準を絞った選盤ですから、厳しい懐具合を無駄に刺激するとは言え購買意欲を大変にそそられます。
安易な乱発ならば各メーカー側には控えてもらいたいものですが、こうして“紙ジャケット仕様”に釣られる者がここに居ます。当方のような門外漢にとって、清く正しい丁寧な復刻作業を期待したいものです。
件のシリーズの内から1940年代から活躍する偉大なるニューヨリカン、Charlie Palmieriのピアノが冴えるAtlantic Records原盤の『Latin Bugalu』を聴いてみました。
激しくチャカポカと煽り立てるティンバレスを始めとする多種多様な打楽器で盛り上げる、熱血NYラテンの白眉です。
鋭く切り込むラテン・ジャズのM1「Mambo Show」とM8「Clusters」がとにかく恐ろしく格好良い、としか言いようがありません。
Stevie WonderのカヴァーのM2「Uptight (Everythin's Alright)」あり、『オールナイト・ニッポン』のテーマをブーガルーに料理したM4「Bitter Sweet」で深夜ラジオ世代を直撃するなど、痒いところに手が届く嬉しい構成でもあります。
甘く淑女に迫る歌入りのM8「A Night To Remember」が熱を冷ますように最後を締めくくります。