In This Place Called Nowhere (1992)

『In This Place Called Nowhere』(1992)というSarah Recordsのオムニバスです。日本独自企画の編集盤CDですね。発売から20年が経ってしまいました。
だいたい同じくらいの時期に発売されたHeavenlyの『Le Jardin de Heavenly』(1992)とともに夢中になって聴いていました。実際のところHeavenlyも含めて本盤で初めて聴くグループばかりでしたので。
まずは冒頭に配置されたSt. ChristopherのM1「Say Yes To Everything」がこれまたしっくりと来るんですよね。これ以上にないというくらいの最高の爽やかさ。その歌声はどちらかと言えばくどかったりするんですが、透明感が溢れる音の作りのお陰で良い塩梅で中和されています。
次のThe Orchidsはグラスゴー出身だそうです。曲自体はしっかりしているものの、繊細というよりはとにかく頼りない歌と音なんです。そんなところがこのグループの良さとも言えそうですけれども何だか惜しいですね。
3曲目はBlueboyのデビュー曲でもあるM3「Clearer」。これがいかにもSarah Recordsを象徴するような途轍もない軟弱さ。ある意味でいちばん堪りませんよね。
以下、大好きなHeavenlyから昨年にエントリしたThe WakeのM5「Carbrain」、握手をしたこともあるHarvey WilliamsのAnother Sunny DayにそのHarvey Williamsも一員だったThe Field MiceとThe Hit Paradeなどなど、地味なんだか豪華なんだか判らないところも素晴らしいですね。
毛色が変わったところでオーストラリア出身のEven As We Speakも充分にポップですし、大好きなVelvet Crushの前身グループとも言えるThe Springfields、そしてSarah Recordsそのものの始まりでもあるM11「Pristine Christine」The Sea Urchinsは絶対に欠かせない1曲です。
意外と好きななのがBrighterとThe Sweetest Acheなんですよ。
ここでそれぞれ選ばれている2曲が青臭くてとても素敵で。単純ながらも切なく響くM8「Noah's Ark」、何かが始まるんじゃないかと期待させてくれるようなM16「If I Could Shine」といった具合で決して侮ることが出来ません。
本家のSarah Recordsが発売するオムニバス盤にはどうしても味気なさを感じてしまうんですが、『In This Place Called Nowhere』の場合にはSarah Recordsの真髄がこの1枚にたっぷりと凝縮されている訳ですので、好事家にとっては本当に垂涎の内容でしょう。
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