U2 / War (1983)

U2の3枚目のアルバム、『War』(1983)です。
ジャケット写真に再び友人の弟を引っ張り出して来ましたが、そのまっすぐな眼差しが印象的ですよね。同様に『War』という直球の表題からはグループのただならぬ覚悟を感じさせます。
『War Deluxe Edition』(2008)については例によって別エントリを立てるとしまして。その2枚目に当たる内容が何とも薄いんですよね。がっかりしてしまいましたよ。
言うまでもなくM1「Sunday Bloody Sunday」にM3「New Year's Day」、M7「Two Hearts Beat As One」、そしてM10「40」といった代表曲が居並ぶ肝心の本作につきましては手短かに言いまして、その政治的な姿勢に対して鼻白む向きもおありでしょう。白旗を掲げてみたところでいったいどうなると。
また、全編に渡って広がるヒリヒリとした感触のせいで聴いていて肩が凝るような音楽、なのかも知れませんし。今思えば不格好でしかない音にも聴こえて来ます。
ただし、17歳から19歳にかけて、特に暗黒の浪人生時代には骨休みに何かを聴くとなればほとんどU2を選んでいました。20年以上の空白期間があるとは言えそれはもうとっくに血肉化されて骨の髄まで染み込んでいる訳ですよ。
相変わらず感情を剥き出しにするBonoの歌。ぶっきらぼうにというか軋みっ放しのリズムに反比例するかのように芸の細かいThe Edgeのギターには思わず惹き付けられます。こうなりますと名作とか名盤とか金字塔だとか無関係なんです。その鮮烈さは永久です。
この歳になってもM10「40」がつい口をついて出て来ることもしょっちゅうです。
The Greatest Johnny Otis Show / The Greatest Johnny Otis Show (1998)

先日、お亡くなりになられたJohnny Otisが大活躍の『The Greatest Johnny Otis Show』(1998)というCDです。
同じAce Recordsからは新しい編集盤も発売されるんですよね。
1940年代後半から1950年代いっぱいまでが全盛期と言って良いのでしょうか。歌い手であり演奏者であるだけでなく、作曲や編曲もこなしながら本盤のように自身の一座を率いてまとめたりと当時のR&B芸人としても最高位に君臨していた訳なんですね。才能というは恐ろしいものです。
実際に聴いてみましてもとても猥雑で生命力が溢れんばかりのR&Bの雨あられ。この躍動感を浴びせられたらひとたまりもありません。
それに加えてR&Bの音楽としての楽しさは勿論のことなんですが、芸能としてのブラック・ミュージックの本懐を思う存分に味わうことが出来ると言っても過言ではありません。想像以上に奥深いものがあるんですよ。
1週間前にエントリしたEtta Jamesを見い出したのが Johnny Otisだったという話ではありませんか。何とも数奇な運命ですね。
U2 / October Deluxe Edition (2008)

前回に引き継ぎましてU2の『October Deluxe Edition』(2008)です。
本編についてはコチラの通りです。
本盤の場合はほとんがライヴ音源とBBCセッションで構成されていまして、一連の拡大版の中でもいちばんお買い得感が強いのではないでしょうか。ライヴ音源の前半は『Fire』(1981)のB面に収録されていたものと同じではありますが、こうやって手軽に聴くことが出来る訳ですし。
そんな貴重な音源の数々に肩を並べて収録されているのが1982年のシングル曲のM9「A Celebration」なんですよ、これが。B面曲のM11「Trash, Trampoline And The Party Girl」が辛うじて『Under A Blood Red Sky』(1983)にも収録されていますが、今回が初CD化のはずです。嬉しいですね、これは。
やはり、かつて海賊盤に手を出してライヴ音源を密かに聴き入っていた1曲でして、余計に気に入ってしまっていたんです。それが正規音源として聴き放題なんですから感慨無量です。
そう言えばM6「With A Shout 」とM7「Scarlet」とM8「I Threw A Brick Through A Window」というたったの3曲だけではありますが、U2のBBC音源というのはお初なんじゃないでしょうか。
また、M14「The Cry/Electric Co.」などは聴き慣れたライヴ音源なんですが、胸の空くような際どさは未だに新鮮ですね。
U2 / October (1981)

U2の2枚目のアルバム、『October』(1981)です。
この手のジャケット写真はもうこれきりではないでしょうか。
まったくの後追いで聴き始めた10代後半、その当時にはこの『October』を熱心には聴いていませんでした。
変幻自在に煌めくThe Edgeのギターが聴きもののシングル曲、M1「Gloria」が神々しさまでに感じられる素晴らしいものなのでこの1曲ばかりに注目していたのは無理もないとして、鮮烈な『Boy』(1980)の後にしてはやはり、おとなしい作りなんですよね。
一聴して地味な印象を拭うことは難しい内容ですし、次作の『War』(1983)がこれまた強烈なので余計にそういった先入観で凝り固まってしまうんです。
具体的には中盤の異色作、M6「Tomorrow」やピアノを導入した表題曲のM7「October」と後味がいまひとつのM10「Scarlet」辺りの影響でしょうか。
それでも、改めて耳をすませて聴いてみますとThe Edgeは自分がギターで出来ることを最大限にやってのけているようですしぎこちないリズムに関してもだんだんとましなものになって来たと感じさせますので、実際には想像以上に野心的な1枚だったりするかも知れないですね。Bonoの強固な意志を感じさせる歌声も相変わらずです。
そんなことに気が付かされました。
一見して焦点が定まっていないようでいてM5「Fire」に象徴されるように静かに熱いアルバムだと言えそうです。
Etta James / Tell Mama (1968)

先日、お亡くなりなられたEtta Jamesを。
1967年のマッスル・ショールズ録音、『Tell Mama』(1968)です。
当ブログではKent RecordsがChess Records及びその傘下の音源を利用したい放題の編集盤CDを4種類ほどエントリしておりまして。イギリスで呼ばれるノーザン・ソウルの中にありまして迫力たっぷりの歌いっぷりに圧倒されっ放しという訳です。
ミス・ピーチなどどこ吹く風、姉御肌を通り越して鬼神のようなソウル・シンガーですね。
本作については時期外れのFame Studios詣でだったそうですが、当然のことながら極上のサザン・ソウルに仕上げられています。ゆったりとしつつ厚みのあるリズムとまろやかなホーンに囲まれてその歌声もこれまで以上に伸びやかというかここでもまったくの余裕綽々ではないですか。
という訳で表題曲のM1「Tell Mama」も勿論、最高なんですが次のM2「I'd Rather Go Blind」での重みと来ましたら。泣きたくなったら泣いても良い展開です。
Otis ReddingのM7「Security」やjimmy HughesのM8「Steal Away」といったカヴァー曲も秀逸揃い。名作、名盤としか言いようがありません。
結局は映画、『Cadillac Records』(2008)を観に行かなかったんですが、どうやらそのお陰でグラミー賞を獲得したとかロックの殿堂入りしたとか。最近では引退、闘病と辛い時期だったようで。何とも業が深い・・・。
合掌。
Xīyóu Jì
万籟鳴と万古蟾の生誕112周年というのはピンと来ませんけどもGoogleの遊び心は相変わらずです。
U2 / Boy Deluxe Edition (2008)

U2です。前回に引き続きまして『Boy Deluxe Edition』(2008)です。コチラの通り、一連の拡大盤が発売されて3年以上が経ちました。ようやく揃えることが出来まして。
本編につきましてはコチラです。
本盤には想像以上の価値がありますね。後追いの身には完全に幻の存在だったデビュー・シングルの『Three』(1979)がしっかりと収録されているんです。失神ものですね。
その内容はM7「Out Of Control」とM8「Boy/Girl」、M9「Stories For Boys」の3曲です。本当に感慨深いものがありますよ。やむなく海賊盤に手を出してしまったこともあったんですが、きちんとした音質で聴くことの喜びを存分に味わっています。
『Boy』(1980)直前のシングル、『Another Day』(1980)と『11 O'Clock Tick Tock』(1980)は勿論のこと未発表曲だというM4「Speed Of Life」とM5「Saturday Night」や未発表ライヴ音源のM12「Boy/Girl」、M13「11 O'Clock Tick Tock」、M14「Cartoon World 」が収録されているんですから、そりゃもう堪りませんよね。
特にライヴ音源ではステージに立つたびに腕前を上げて行く様子が見て取れますし。
文字通りの駆け出し、デビュー直後の荒削りにもほどがあるU2の姿をようやく確かめることが出来た訳です。
生成りです、れっきとした半人前未満の半端者。しかも生意気盛りと来ています。そんな時期のU2が汗まみれになって鳴らす音に再び抗うことが出来ない自分が居ます。20年近くもかかってしまいましたよ。
U2 / Boy (1980)

U2のデビュー・アルバム、『Boy』(1980)です。
手持ちのCDは実際には『Boy Deluxe Edition』(2008)なんですが、それについては別エントリにて。
かつて何度もしつこく聴いていたCDもジャケット・デザインが異なるアナログ盤もとうの昔に手放してしまいましたし1990年代から2000年代のほとんど素通りしていたところに一連の拡大版の登場です。そして、2009年の暮れ頃から「Bad」に対する思いが再燃したのはコチラの通りです。
本作は『Another Day』(1980)と『11 O'Clock Tick Tock』(1980)という2枚のシングルに続くいちばん最初のアルバムな訳です。どちらもこの『Boy』に未収録であることに男気を感じますね。
その代わりにシングル曲のM1「I Will Follow」とM8「A Day Without Me」が収録れていましてアルバムとしての体裁が整っています。
実はM5「Out Of Control」とM6「Stories For Boys」も既発曲ですね。Island Recordsへ移籍するより前、何でもレコード・デビューが懸かったコンテストの結果、CBS Recordsより発売と相成ったデビューEPの『Three』(1979)にもともとは収録されていたと。その再録音ですね。
ながら聴きであっても若気の至り、そして終始、血気盛んなことが判りますがそれだけではないんですよね。雄々しい歌もリズムも乱雑なものの前へ前へと、上へ上へと突き進む姿勢だけははっきりしていまして、尚かつシングル曲がこれだけあるんですから。
アイルランドはダブリン出身ということが関係あるのかないのか、4人で演りたいことを演るしかない遅れて来たパンクという側面も濃厚に感じられます。そこに微かに煌めくのがThe Edgeによるギターなんですね。まさにどこの馬の骨かと思われるU2というグループの決定的な個性を確立するのにひと役買った訳です。
以降、幾度となく起用されるあどけない少年のジャケット写真にも表れているかも知れませんが、Bonoを中心にこの時期には少年時代に経験するさまざな事柄、つまりはまだまだ身近な問題について歌われています。およそ20年ぶりに聴き耽っていますが、その青臭さ、もうすでに嫌いではなくなりました。
Harlem River Drive / Harlem River Drive (1971)

Harlem River Driveの『Harlem River Drive』(1971)。40年前の音です。
たまにはラテンものをいつもの旧ブログからの転載で。
ある種、異様なジャケット・デザイン同様に妖しさ満点のグルーヴを身上としたニューヨークのラテン・ジャズ・ファンク集団、Harlem River Driveを採り上げてみます。
手持ちの日本盤CDは“Free Soul Collection”の一環として発売されたということで、なかなかに興味深くもあります。
ニューヨーク・ラテンの巨匠、Eddie Palmieriのピアノを軸に猥雑な生命力が宿り、そして逆上せあがる極上のレア・グルーヴ作品です。
兄であるCharlie Palmieriが奏でるオルガンもさることながら、こみ上げるように熱気溢れるJimmy Normanの歌も実に味わい深いものがあります。
のっけからじわじわと責め立てる“テーマ・ソング”、M1「Harlem River Drive(Theme Song)」に続くM2「If(We Had Peace Today)」が醸し出す甘くもありほろ苦くもある洗練され具合には堪らないものがあります。
腰が重く、十分に抑制の効いた長尺曲のM3「Idle Hands」から一転、厳かな精神世界を堪能することが出来るM4「Broken Home」という流れも見事なものです。
最後を締めるM5「Seeds Of Life」の場合、手に汗握るどころの話ではなく、血湧き肉踊り汗が飛び散らんが如く躍動感漲るグルーヴに身をよじるほか術がありません。
「Seeds Of Life」という表題が実に象徴的です。
人間、40年も生きれば人生の曲がり角を迎えて精神的にも肉体的にも無理がだんだんと利かなくなって来る訳なんですが、音楽の持つ輝きは永遠ですね。特にこの『Harlem River Drive』の場合は黒光りですけれども。
ステノ管
17世紀の科学者ということでさっぱりなんですが、今回のロゴのように化石の研究をしていたというのには興味をそそられますね。化石から太古の昔を辿るだとかの憧れだけは少なからずあるものですから。
木村カエラ / 8EIGHT8 (2011)

木村カエラの最新アルバム、『8EIGHT8』(2011)です。
もう6枚目になるそうです。
全13曲なんですが既発が多いですよね。シングル曲は勿論のこと、カップリング曲まで入れ込んでいますしM10「deep beep」も確か、ダウンロード販売されているものですし。
タイアップを持ちかけられることは大きいなことですが、それが奏功して露出が増え過ぎることで食傷にもなり得る訳です。
今回は制作陣を統一させているとのことなんですが、実際に聴いてみますと相変わらずとっちらかっているとも多種多様故に飽きさせないとも呼ぶことの出来る内容です。
これはこれで木村カエラらしさと捉えるべきなんでしょう。四の五の言いましてもおの歌声が好みではありますので。
最後のM13「チョコレート」、しっとり感がこれまたよろしいですね。
Emerson, Lake & Palmer / Tarkus (1971)

Emerson, Lake & Palmerの2枚目のアルバム、『Tarkus』(1971)です。
アルマジロと戦車が合体した怪獣、Tarkusが佇むジャケット・デザインには思わず目を奪われてしまいますね。これだけで聴いてみようかなと思わせるものがあります。
という訳でデビュー・アルバムの『Emerson, Lake & Palmer』(1970)すら聴いたことがありませんが、シンセサイザーがより前面に押し出されているとのことなのでわざわざ遡って手を伸ばすほどでもないかと。
まずは表題曲のM1「Tarkus」については20分以上にも及びA面を費やすほどの壮大な組曲でもあるんですが、そのオーケストラ版が今年のNHK大河ドラマ、『平清盛』の予告に昨年から使われていることで局地的に話題になっていましたよね。
とても大袈裟なところが相性の良い証でしょうか、風雲急を告げるというような場面展開にはこういうプログレッシヴ・ロックが良く似合います。
7曲から成ることで緩急が上手い具合につけられていますし、アルマジロ戦車がすべてを蹴散らして邁進して行くような雰囲気を存分に味わうことが出来るのがよろしいのかと。
それに比べまして、それぞれちんまりとした6曲が収められたB面の印象はどうしても弱いんですよね。M7「Are You Ready Eddy?」なんかは何故だかロックン・ロール丸出しですし、全体的に面白みに欠けるとしか言いようのない内容です。
それだけ素人の耳で聴いてもM1「Tarkus」が強烈極まりないということなんですよ。
Pixies / Complete 'B' Sides (2001)

PixiesのB面曲集、『Complete 'B' Sides』(2001)です。収録曲は発売された順ですし便利な1枚ですね。
M1「River Euphrates」は勿論、『Surfer Rosa』(1988)収録のものとはヴァージョン違いで、こちらの方が好みです。
続くライヴ版のM2「Vamos」では改めて異形のグループなんだと思わされます。これはこれでまた別の迫力がありますよね。
M3「In Heaven (The Lady In The Radiator Song)」につきましてはエントリ済みの『Pixies At The BBC』(1998)でPeter Iversを聴かなくてはならないと言及しているにもかかわらず未だに果たせていません、面目ないです。
またまた別ヴァージョンのM7「Wave Of Mutilation (UK Surf)」も興味深いんですが、M11「I've Been Waiting For You」とM14「Winterlong」の2曲は面白いことにNeil Youngをカヴァーしたものなんですよね。
M14「Winterlong」では紅一点のKim Dealが歌っていることもありまして、尚更に興味津々という訳です。
『Bossanova』(1990)時代の録音で、結局は歌詞が付けられることがなかったM13「Velvety Instrumental Version」。とても引き締まった演奏ですし曲想もとても良いだけに勿体ないですね。
ここまで厚い音圧はPixiesらしくないなと思いつつも意外と好きな最後のM19「Letter To Memphis (Instrumental)」まで引っくるめてたっぷりと堪能することが出来ますからね、本当にお得な編集盤ですよ。
たとえB面曲であっても舐めてかかるなんて迂闊なことは厳禁です。
Otis Clay / The Beginning : Got To Find A Way (1990)

Otis Crayの編集盤、『The Beginning : Got To Find A Way』(1990)です。
今年も例によって旧ブログからの転載を続行いたします。
Hi Recordsを代表するシンガー、Otis Clayがシカゴ時代の1965年から1967年にOne-Derful Recordsに吹き込んだ音源をまとめた編集盤です。
本盤は鈴木啓志氏による監修にして、氏の解説が非常に参考になるCDです。かつてOtis Clay自身が選曲に携わりP-Vine Recordsから発売されたアナログ盤が元になっているとのことです。
M3「I Don't Know What I'd Do」ではビートが強調され重量感溢れるバックの演奏にも圧倒されてしまいます。
また、M10「It's Easer Said Than Done」のように決してごり押しするだけではなく、丁寧に歌い切るM6「Tired Of Falling In And Out Of Love」やM16「That's How It Is (When You're In Love)」でも判るように硬軟使い分ける巧いシンガーでもあります。
この1曲と言うと、冒頭に置かれた表題曲M1「I've Got To Find A Way」です。汗を飛び散らせながら烈火の如く歌い叫ぶ彼の姿が容易に目に浮かびます。
現在では曲順が異なるものの同内容で、尚かつ3曲が追加収録された『Testify!』(2003)の入手が可能です。
その3曲とは「Lasting Love」と「Show Place」、1枚目のシングル曲「Three Is A Crowd」です。いずれも彼の持ち味が活かされたシカゴ流儀の熱血ソウル・ナンバーです。
熱いです。激しいです。
ゆったりとした大らかな歌いっぷりのソウル・シンガーも勿論、魅力的ではありますが、このOtis Clayのような歌手も大切です。
In This Place Called Nowhere (1992)

『In This Place Called Nowhere』(1992)というSarah Recordsのオムニバスです。日本独自企画の編集盤CDですね。発売から20年が経ってしまいました。
だいたい同じくらいの時期に発売されたHeavenlyの『Le Jardin de Heavenly』(1992)とともに夢中になって聴いていました。実際のところHeavenlyも含めて本盤で初めて聴くグループばかりでしたので。
まずは冒頭に配置されたSt. ChristopherのM1「Say Yes To Everything」がこれまたしっくりと来るんですよね。これ以上にないというくらいの最高の爽やかさ。その歌声はどちらかと言えばくどかったりするんですが、透明感が溢れる音の作りのお陰で良い塩梅で中和されています。
次のThe Orchidsはグラスゴー出身だそうです。曲自体はしっかりしているものの、繊細というよりはとにかく頼りない歌と音なんです。そんなところがこのグループの良さとも言えそうですけれども何だか惜しいですね。
3曲目はBlueboyのデビュー曲でもあるM3「Clearer」。これがいかにもSarah Recordsを象徴するような途轍もない軟弱さ。ある意味でいちばん堪りませんよね。
以下、大好きなHeavenlyから昨年にエントリしたThe WakeのM5「Carbrain」、握手をしたこともあるHarvey WilliamsのAnother Sunny DayにそのHarvey Williamsも一員だったThe Field MiceとThe Hit Paradeなどなど、地味なんだか豪華なんだか判らないところも素晴らしいですね。
毛色が変わったところでオーストラリア出身のEven As We Speakも充分にポップですし、大好きなVelvet Crushの前身グループとも言えるThe Springfields、そしてSarah Recordsそのものの始まりでもあるM11「Pristine Christine」The Sea Urchinsは絶対に欠かせない1曲です。
意外と好きななのがBrighterとThe Sweetest Acheなんですよ。
ここでそれぞれ選ばれている2曲が青臭くてとても素敵で。単純ながらも切なく響くM8「Noah's Ark」、何かが始まるんじゃないかと期待させてくれるようなM16「If I Could Shine」といった具合で決して侮ることが出来ません。
本家のSarah Recordsが発売するオムニバス盤にはどうしても味気なさを感じてしまうんですが、『In This Place Called Nowhere』の場合にはSarah Recordsの真髄がこの1枚にたっぷりと凝縮されている訳ですので、好事家にとっては本当に垂涎の内容でしょう。
Perfume / JPN (2011)

Perfumeが昨年に発売したアルバム、『JPN』(2011)を今頃になって聴いてみました。
全14曲中9曲が既発という大雑把な内容はさながらPrimal Screamの『Screamadelica』(1991)のようではないですか。
下手な冗談はさておきましてM1「The Opening」を別として、M5「MY COLOR」とM6「時の針」、M11「心のスポーツ」、M12「Have a Stroll」の4曲が新曲という訳ですよね。カップリング曲までほぼ総動員して来るとは驚きです。その内訳に対してそれほど目くじらを立てることではないのかどうかは何とも言いようがありませんが、面白くはないです。
きちんとアルバム・ミックスと謳われているM2「レーザービーム 」とM3「GLITTER」のほかにもM13「不自然なガール」もミックス違いですね。
軽やかで明快なM5「MY COLOR」や単純に楽しむことが出来そうなM11「心のスポーツ」などが聴き易いですね。
通しで聴くのはまだ2回目の途中です。軽く聴き流すのには適当かなと思っています。胸騒ぎを起こすこともなくてですね、自分の中で急速にどうでも良くなって行っていることが良く判ります。そろそろ潮時なのかも知れません。
2012年1月1日
忙しさにかまけて土日更新がすっかりと定着してしまった当ブログ。何かしら抱負がある訳でもなく地道に続けて行けたらばと考えております。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。