My Bloody Valentine / Things Left Behind... (2001)

映画、『Upside Down -The Creation Records Story-』(2010)の中で無駄に大物ぶりを漂わせているKevin Shieldsを観てからはここで何度となくエントリしたボックス・セットのことなどどうでも良くなって来るのでした。そんな訳でまたまたMy Bloody Valentineの登場です。
今回の『Things Left Behind...』(2001)という編集盤CDは海賊盤です。
学生時代には高価と感じて購入することが出来なかった『Retrospective』とまったく同じ内容でして、『Geek!』(1986)と『The New Record By My Bloody Valentine』(1986)と『Sunny Sundae Smile』(1987)、そして『Strawberry Wine』(1987)という初期の4枚のEPから成ります。
℗&©2001とありますが、実際に購入したのは2006年頃だと記憶しています。
『Geek!』からベーシストとしてDebbie Googeが加入していますが、依然として『This Is Your Bloody Valentine』(1985)の延長線上にあるような音なので取っ付き難いことに変わりありません。この辺までの印象はやはり、良くはないですね。
後先はともかく、The Jesus And Mary Chainに影響されて始めてみましたといった音です。
ところが『The New Record By My Bloody Valentine』で様相が一変します。NME企画の『C86』などによる影響なのかは判りませんが甘ったるいギター・ポップを奏でているんです。M5「Lovelee Sweet Darlene」なんて最高にポップです。何がどうなっているんだか
おまけにThe Jesus And Mary Chain顔負けのギター・ノイズを塗り込めるという罪作りな音なんですから。
『Sunny Sundae Smile』でも同様にポップな路線で突っ走っています。不思議なことにDave Conwayの歌声も以前よりかはまともに聴こえて来ますよ。すでに完成度が高いんです。この時点でThe Jesus And Mary Chain(『Darklands』(1987)発売の年ですね)を超えていると言ってしまいたいくらいです。ギター・ポップとしては限りなく完璧に近いのではないでしょうか。
奇跡の4曲です。
その絶品なM9「Sunny Sundae Smile」などとは異なる境地へと至ったのが次の『Strawberry Wine』です。中心人物のDave Conwayがようやく抜けてここからBilinda Butcherが加入しています。また、仕方なくかは判りませんがKevin Shieldsも歌い出していまして儚さも倍増、荒れ狂う轟音ギターを背に幽玄な印象も強まっているんです。甘美なポップさはそのままに更にギター・ポップを極めております。最強ですね。
輪郭のぼやけ方が限りなく美しい表題曲のM13「Strawberry Wine」に負けず劣らず素敵なM14「Never Say Goodbye」、これがいちばんのお気に入りです。
以前にエントリした『Ecstasy And Wine』(1989)としてまとめられた『Ecstasy』(1987)というミニ・アルバムと同様にCreation Recordsに拾われる直前の音源なんですがここまで化けるとは想像も出来ないでしょう。遡って聴いて来たのでそれはそれで驚きではあります。
My Bloody Valentineは本当に素晴らしいグループなんですよ。それだけは確かです。
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