Ride / Twisterella EP (1992)

ついでにRideのEPを。結局のところ、編集盤の類いを除きますとこの『Twisterella EP』(1992)が最後に購入したRideのアナログ盤となってしまいましたね。
こちらもまた旧ブログからの転載です。
これまた、まんまとジャケット写真に釣られてしまった1枚です。
彼らにとって2枚目のアルバム『Going Blank Again』(1992)から切られた4曲入りのEPです。このEP、実際には無題なのですが便宜上、『Twisterella EP』と呼ぶしかないでしょう。
A面のリード・トラックM1「Twisterella」は、ハイハット・シンバルが小気味良く刻まれる大変ポップな1曲です。
ギターの音はしっかり鋭角的ではありますが、従来のグループが見せる蒼く沈鬱な表情とは明らかにひと味違う新たな一面が弾け飛んでいます。
その他の収録曲として、件のアルバムの表題曲でもあるM2「Going Blank Again」やB面のM3「Howard Hughes」、M4「Stampede」の3曲が収録されていますが、どれもメランコリックながら印象が薄いというアウト・テイクの典型的なものと言えそうな出来です。
本当に素敵なジャケット写真です。こういう写真をEPのジャケットに選ぶRideだから好きだった訳なんですが、実際の内容は理想とするところからどんどん乖離して行ってしまっていたんですよね。今でも複雑な気持ちにさせられます。
Ride / Going Blank Again (1992)

映画、『Upside Down -The Creation Records Story-』(2010)の中でそれなりに出演しているRide。中心人物のひとりでもあるMark Gardenerが急遽、Primal Screamの一員としてテレビ出演していたなんてことを初めて知りましたよ。「Come Together」でのキーボード捌きが適当過ぎます。
今回は『Going Blank Again』(1992)です。旧ブログからの転載です。
『Going Blank Again』(1992)を久々に棚から引っ張り出してみました。Rideにとって2枚目のアルバムに当たります。
ジャケット・デザインからして気に入らず、発売当時には馴染めずにいたので個人的には以降、彼らの作品に触れる一切の機会を失う引き金となったものでした。
彼らにとって最大の売りであり、それ故にデビュー当時から大変な注目を浴びることとなった要因である轟音ギターと奔流するフィードバック・ノイズをうっちゃり、普通にポップなギターバンドへと傾斜して行った1枚です。もっとも以前からこうした資質を持ち合わせていた節があったようにも感じます。
収録曲の出来についてはそれなりに粒揃いと言えるのかも知れませんが、これまでのような衝撃波を期待することもお門違いなことでしょう、きっと。
輪郭のくっきりした楽曲が並べられていまして、これまでの作風と比較して格段に明るく幅が広がったことは明白です。
しかしながら、醒めた歌い方故に甘ったるさは勿論、甘酸っぱさすら微塵も感じさせません。
厳しいことを言ってしまえば、シングル曲のM1「Leave Them All Behind」とM2「Twisterella」の他にはM5「Mouse Trap」くらいしか引っ掛かって来ないのは現在でも変わりありません。
青臭さと少なからず大人に成長した痕跡との微妙な均衡には心を動かされてしまいますけれど。
改めて聴き直してみましてもたいしてその印象は変わらず。大好きだったあのRideはいずこへ。ほろ苦い青春の味わいも変わらず、です。
Idha / Troublemaker (1997)

前回のエントリに続きましてIdhaの2枚目のアルバム、『Troublemaker』(1997)です。この魅惑的なジャケット写真に惑わされてしまうのも無理はありません。
前作、『Melody Inn』(1994)の可憐なカントリー調からはかけ離れた要素が散見されるこの『Troublemaker』にも夫君のAndy Bellが全面的に関わっているとのこと。Rideの解散前後の時期なんですね。
以前よりも予算が割り当てられているでしょうに、残念ながら平たく言ってしまいますとたいして面白くない内容です。どうしてこうなったというよりもそもそも各曲の魅力に欠けるところもあるのではないでしょうか。期待は禁物ですね。
優雅なストリングスが被せられたM1「Sorry Sorry」やM10「Just Moved In」、ホーンが添えられたM3「Going Down South」にワルツの「Sweet September Rain」までもがシングル曲とのことです。ほかの収録曲ともなりますとさらに印象が薄い訳なんです。
何の変哲のなさにもそれなりの良さというものがあるはずなんですが、今回ばかりは何とも中途半端なポップ・ミュージックでしかないようです。
そうは言いましても、いちばん気に入っているのは前作の路線を引き継いでいるM9「Fields Of Avalon」ですね。この辺りの艶っぽい感触とともに従来の素朴なゆったり感を持ち味としてもらうとしっくりと来そうです。
Idha / Melody Inn (1994)

映画、『Upside Down -The Creation Records Story-』(2010)で紹介されなかったミュージシャンたちがまだまだいらして。今回のIdhaの場合も仕方ないかとも思います。
という訳で最近、新機能の追加が著しい旧ブログからIdhaのデビュー・アルバム、『Melody Inn』(1994)の転載です。
Idhaという方は現在、引退状態であり元Ride・現OasisのAndy Bellの奥様です。
1991年7月8日に行われたRideのNHKホール公演を観に行った時のことです。
座席を確認した後、ふとロビーへと向かいました。
当てもなくうろついていたところ、絶世の美女が独り、微笑みを浮かべながら佇んでいるのを見掛けました。
すかさず思いました。「なんでRideなんかのライヴに、こんな綺麗な女性が!?」。
時が経ち、Creation Recordsより突如として本作『Melody Inn』(1994)が発売されました。
果たしてその作風は柔らかな女流カントリーというもので、唐突にして出会い頭の衝撃を受けました。
当然、こう思いました。「なんでCreationからこんなレコードが!?」。
M8「Hickory Wind」がGram Parsons作であることは当時、既に認識してはいました。
一方、ピアノとハモンド・オルガンで力添えしているIan McLaganについて、Small Facesのことなどひとつも知りもしませんでした。
ブックレットに掲載されている写真の1枚、自動車のボンネットの上で彼女と一緒に収まっているのを観て「誰だこの中年は」といった有様でした。
その後、Rideを積極的に聴くこともなくなった頃にとある雑誌でIdhaとAndy Bellの仲を報じる記事を遅ればせながら目にしました。
雷に撃たれたかのような衝撃を受けました。
「世の中、うまいこと出来てるなぁ~」。
実はひとつ年下なのですね、彼女・・・。
ちょっとした昔話です。そんな訳で甘酸っぱい記憶を辿るお時間でした。
The Boo Radleys / Wake Up! (1995)

映画、『Upside Down -The Creation Records Story-』(2010)の中でそれなりに紹介されていましたThe Boo Radleys。今回は『Wake Up!』(1995)というアルバムです。
M1「Wake Up Boo!」がヒットしたことからもお馴染みのグループ、そしてアルバムです。とか何とか言うことが出来るほど聴いていませんでした、活動当時から。この手のギターバンドであれば必ずと言って良いほどに守備範囲のはずなんですが、見向きもしませんでしたね。
見かけに惑わされては損ですね、教育的指導が必要です。
全体的にとても明快で素直なポップさのおかげでCreation Recordsらしい音ですよね、ある意味で。健やかなシングル曲のM3「It's Lulu」は勿論のこと、物憂げなM6「Reaching Out From Here」も秀逸なことに変わりはないですし。
久しぶりに聴いてみまして裏表のない清く正しいギター・ポップてな印象がますます強まります。まさに優等生のような音ではないかと。まさに表題の通りに目の覚めるようなポップ・ミュージックが満載ですね。
ただし、本盤の場合には結局はM1「Wake Up Boo!」という1曲に尽きる訳ですよ。もう本当に眩しいくらいです。そして、甚だしく爽やかです。弾けるブラスや透明感が溢れるコーラスなどが名曲度をさらに押し上げているといった具合の名曲中に大名曲。
一緒に歌って踊る、それが正解です。
Momus / Circus Maximums (1986)

映画、『Upside Down -The Creation Records Story-』(2010)で触れられなかったと記憶しているMomus。1990年前後にCreation Recordsからアルバムを何枚も発売されているんですけども。
今回はデビュー・アルバムの『Circus Maximums』(1986)です。
本作はEl Recordsから発売されたんですが、そう言えばSimon Turnerも同じような境遇なんですよね、奇遇なことに。Alan McGeeの鼻が利くとも言えるのかも知れませんが、一般的には両者ともにCreation Recordsを連想させることが少ないところも共通していますね。
特にSimon Turnerの場合にはThe King Of Luxembourgとして、ある意味で好きなように演っているところがありますし。
それにしても、個性的な音楽です。あたかも砂上の楼閣を築くかのような完成度の高いポップ・ミュージック。凝りに凝った大胆な音使いの一方でこんなに丁寧に歌われてしまうと、これまたぐうの音も出ない訳なんです。
聴けば聴くほどに懐の深さを感じさせると言いましょうか、何とも一筋縄ではいきませんね。貫徹された美意識も手伝いまして、こうなると局地的に人気があったというか好事家に受けたということにとても合点がいくんです。
CD版だと12曲入りでそれに慣れ切っていましたが、もともとは9曲入りなんですね。Momusのことをたいして知らないことがばれてしまいます。歌詞の内容も面白そうなので、もっと聴き込んで行かないと損ですね。
The Groovy Little Numbers / The 53rd & 3rd Singles (1998)

先日のSuperstarのエントリのついでにThe Groovy Little Numbersを。中心人物のJoe McAlindenが1980年代後半に組んでいたグループの『The 53rd & 3rd Singles』(1998)という編集盤です。
5年前のエントリを旧ブログから転載します。
Joe McAlindenとCatherineの2人きりのグループ、The Groovy Little Numbersが残したたった2枚の12インチ・シングルを併せたCDです。
The Groovy Little Numbersと並行してBMX Banditsのベーシストとしても活躍した恰幅の良いJoe Mcalindenはサックスやヴァイオリン、ピアノにコーラスまでをも操りグラスゴーのギターポップ界隈で多才ぶりを発揮。その上作曲能力にも長けているため、収録曲はどれも水準(←何のでしょう)を軽く超えています。
『You Make My Head Explode』(1987)からのM1「You Make My Head Explode」では可愛らしいパーカッションが印象的です。ただし、盤起こしのためなのか手持ちのCDには大きめの針音が入っており残念です。
M3「Windy」は、Teenage Fanclubが『Thirteen』(1993)のM1「Hang On」の終盤で採り入れたThe Associationのカヴァー曲でもあります。
BMX BanditsのFrancis MacDonaldがドラムを務めた『Happy Like Yesterday』(1988)ではボサノヴァ風味のM6「A Place So Hard To Find」が出色の出来です。
そして、彼らの一世一代の名曲がM4「Happy Like Yesterday」です。サックス・ソロが蛇足なのがこれまた残念ですが、それを差し引いても珠玉のギターポップ・アンセムです。
この初々しさと瑞々しさ。何よりもこれは永遠ですね。
それにこうしたBMX Bandits周辺の音に触れていますと、1990年代始めに興った新しい潮流の裏にはAztec CameraやOrange Juiceなどの1980年代前半からの影響が綿々と受け継がれて来たからこそだと感じずにはいられません。
Superstar / Greatest Hits Vol. One (1992)

映画、『Upside Down -The Creation Records Story-』(2010)に登場したSuperstar。今回は彼らの『Greatest Hits Vol. One』(1992)です。
Creation Recordsとの関わりは件の映画の内容と本エントリの一部が被る通りです。そして、旧ブログからの転載です。
BMX Banditsでの活動と平行してJoe Mcalindenが録り溜めたデモ・テープをTeenage FanclubのNorman BlakeがCreation RecordsのAlan McGeeに渡したことから作品化が実現したという全6曲のミニ・アルバムです。
グループ名がSuperstarにして表題が『Greatest Hits Vol. One』という挑発的な処女作ですが、その内容はまったく名前負けしておりません。
M1「Barfly」や必殺の泣きのメロディーが炸裂するM2「The Reason Why」、Paul McCartney直系の美しいピアノ弾き語りのM4「Let's Get Lost」は後のメジャー・デビュー盤にて再録音されました。
M5「Taste」とM6「After Taste」の合わせ技は当社比20%増の味わいです。
何と言っても白眉はM3「She's Got Everything I Own」です。爽快感とほろ苦さが同居するギターポップの鑑のような1曲です。
こうして20年近く経た現在でも錆び付くことのない音楽なので、とても新鮮な気持ちで聴くことが出来る逸品です。結局はここに戻って来るんだなという意味でも気持ち良く聴くことが出来ます。
The House Of Love / 1986-88 The Creation Recordings (2001)

映画、『Upside Down -The Creation Records Story-』(2010)の中でそれなりに時間が割かれていましたThe House Of Love。10年前に発売された編集盤の『1986-88 The Creation Recordings』(2001)です。文字通りにCreation Records時代を総括した内容です。
今も当時もそれほど馴染みのないグループです、実は。入手困難な本盤にしても昨年になってからようやく購入しました。
このThe House Of Loveと言えばやはりM11「Shine On」ではないですか。大ヒット曲ですよね。誰もが名曲だと認めるところですよね。ただし、これまで耳にしていたのがFontana Records版なのかと気付いたのできちんとCreation Records版の方を押さえておきたくなりまして。
さすがに飛び抜けて素晴らしいですよね、そのM11「Shine On」が。音の質感がずっと生々しく感じますし、深みもあるように思います。これはまさに丼飯、何杯でもいけるという類いの1曲ですね。
逆にほかの収録曲がまったく言って良いほどに印象に残らないんです。しっくりと来ないんです。仕方がないことですが、高値で入手した甲斐が損なわれるような気持ちになります。それに女性ヴォーカルも期待したほどでもなかったりしまして。
辛うじてM21「Destroy The Heart」が面白いくらいですね。
そんな訳でもともと聴いて来なかったことも災いしまして、こうしてこの『1986-88 The Creation Recordings』に接してみましても何の感慨もあるはずがなく、改めてのめり込むということもないんですね、はい。あえてCreation Recordsらしくもないなとも思ったりします。
Art Claw Key
そんな番組作品を生み出したアート・クローキーの生誕90周年だそうですよ。
The Telescopes / The Telescopes (1992)

The Telescopesの『The Telescopes』(1992)です。Creation Recordsからの最初で最後のアルバムです。
発売当時のことをまったく憶えていなくて、映画の『Upside Down -The Creation Records Story-』(2010)を観たことをきっかけとしての一連のエントリ、そして本作を取り寄せて初めて聴いてみたという具合です。確かにこのジャケット・デザインには見覚えがありましたが今までその存在に半信半疑だったんです、何故だか。
肝心のその内容なんですが、地味のひと言ですね。一聴して各曲を聴き分けることが難しいです。困りました。約20年の時を越えているだけに期待をし過ぎた面もありますが、想像を遥かに下回る印象です。
無鉄砲な歌い方も強烈なサイケデリック感もすっかりと影を潜めてしまいまして、何とも控えめな音のさざ波だけが漂っています。
直前のシングル盤の『Flying』(1991)からM2「High On Fire」とM7「Flying」が収録されているんですが、それらが極端に浮き上がってしまっています。これまでの4枚分のシングルが何だったんだろうというくらいに明後日の方向へ進んでしまったようです。
地味であっても滋味深いという側面もあるように思えないこともないんですが。これはもう手の施しようがなさそうです。ぱっと聴いてぐっと来るものがほとんどありません。何度も聴いてみないと判らないのもまた音楽でしょうけども。
The Telescopes / Flying (1991)

The Telescopesの『Flying』(1991)。前年から立て続けに発売されて来ましたがCreation Recordsからは最後のシングル盤です。ジャケット・デザインももの凄く格好良いです。
さらにサイケデリックに、さらに浮遊感を増大させて時空を歪めるような音像の照射が眩いばかりです。
『Taste』(1989)とはすっかりと様変わりしてしまいましたが、これはこれでとても好印象です。
M1「Flying」もM3「High On Fire」もアルバム、『The Telescopes』(1992)に収録されることになるくらいですので素晴らしい出来なんです。これまで以上にポップですし。しつこいのは承知のうえですが、この辺でMy Bloody Valentineからの呪縛からも逃れつつあるのかも知れないと感じさせます。
M4「The Sleepwalk」でさえ万華鏡のような煌めきを持っていますね。
M2「Soul Full Of Tears」ではインド古典音楽の香りがむせ返るほどに充満していまして雰囲気もばっちりと決まっています。思わず音酔いしそうになりますよ、これには。
サイケデリック臭が強烈なはずにもかかわらず各曲とも意外なまでに淡白な部分があるのがこのThe Telescopesの特徴なんですが、Creation Recordsからの4枚のシングル盤の中でいちばん内容が濃い1枚であることは確かです。
The Telescopes / Celeste (1991)

The Telescopesの『Celeste』(1991)です、Creation Recordsからとうとう3枚目のシングルです。
前年には古巣のWhat Goes On Recordsからもシングル盤、『To Kill A Slow Girl Walking』(1990)が発売されているようですが、最近まで知りませんでしたし持っていないんです。
こうしてM1「Celeste」を聴いていますと良い意味ですっかりと角が取れましてThe Telescopesならではのサイケデリック感覚が気持ち良いものになっています。
この頃は同じCreation RecordsであればRideなどの人気もとても高まっている時期だったりするのでThe Telescopesもそんな波に乗りつつ自分たちの方向性を固めて行ったんだろうなと思う訳です。
とは言えこれもMy Bloody Valentineからの影響が明白なくらいなので、もうどこまで行っても逃れられそうにありませんね。尚かつたいして注目もされていなかったという哀しい過去が。
例えば、メジャー移籍を果たして大化けしたThe Flaming Lipsのような存在にはなり得なかったということなんですね、残念ながら、つまりは、やはり。
M2「All A Dreams」については肩透かしを食らったような印象の薄さなんですが、M3「Celestial」は9分弱もありましてM1「Celeste」が延長線に突入したインストゥルメンタル版といった具合なのでかなりの聴き応えがありますよ。
The Telescopes / Everso (1990)

The Telescopesの『Everso(1990)』、『Precious Little』(1990)に続くCreation Recordsからの2枚目のシングル盤です。今回は3曲入りです。
まずはM1「Everso」。とても雰囲気も良くて女性ヴォーカルも活かされていますのでますますMy Bloody Valentineを連想させるものがありますが、こういう部類が大好物なので20年以上も経ってもやめられませんね。
サイケデリック度数がさらに高まり、色鮮やかで幻想的な音が無防備なまでに鳴らされております。
残りの2曲に関しまして。M2「Never Learn Not To Love You」の中途半端な冗長さに反してM3「Wish Of You」が1分半に満たないことからも食い足りなさを感じてしまいます。このThe Telescopesというグループがどうもぱっとしなかった理由が判るようなシングル盤ですね。
当時はこの手の音も流行したので来日公演も盛況でしたよね。Swervedriverのライヴでさえ観に行ったことがありますもん。ところがThe Telescopesの場合、Creation Recordsからアルバムも発売されていたことも記憶があやふやなままでしたよ。そんな訳でここでは少しでも光りを当ててあげようという所存です。
The Telescopes / Precious Little (1990)

The Telescopesの『Precious Little』(1990)です。Creation Recordsからの第1弾シングルです。
これまでのThe Telescopes、例えば『Taste』(1989)というアルバムの頃と比べて成長の跡が確実に見て取れます。粗野な音の作りだったところが整理整頓され、ひと皮剥けつつサイケデリックな要素が倍増。聴いていて心地良さをとても感じます。
M1「Precious Little」にはまだまだ若干の凶暴性が宿っていますね。このくらいの絶妙なさじ加減が良いのかも知れません。
実際には後追いで聴き始めた訳なんですが、大好きなCreation Recordsへと移って来てから本盤も含めて4枚もシングルを連発させたので凄く期待させられたもんです、アルバムに対して。結局は直前の『Flying』(1991)から2曲が『The Telescopes』(1992)に収録されたんですが、音像の激しさと煌めきがまるっきり異なるので納得ですね。
ぶっきら棒な歌は相変わらずですがM2「Deep Hole Ends」やM3「Never Hurt You」での静謐感も好みです。一直線に突き立てられるギターの荒々しい音色にも思わずぐっと来てしまいますし。
M4「I Sense」も含めて割とあっさりと終わってしまうように全体的に聴こえるのが難点でしょうか。あとは遠くの方でMy Bloody Valentineがちらついて見えてしまうことはどうしようもないことですよね。
今週のビックリドッキリメカ (49)

北沢オーストラリアが非常に気になるブツを取り上げてみる『今週のビックリドッキリメカ』のお時間です。
AppleからiPhone 4Sが発表されましたね。Steve Jobsの夭逝の折り、惜しくも忘れ形見のようになってしまいました。
この最新型、iPhone 4と外観がほとんど変わらないもののA5チップ搭載、カメラ機能の改善、Twitterをも統合させたiOS 5といった具合に中身がだいぶ刷新されていると。
iPhone 3Gユーザーとして3GSを見送ったことは仕方ないこととしまして、iPhone 4についてはホワイト・モデルを待っていたら年が明けてしまったんですよね。もうこれ以上は待つことが出来そうにないので今回ばかりは必ず購入するつもりです。
そこで最大の問題が携帯電話キャリア選びとなる訳です。またまたたっぷりと悩んでみます。
今週のスポットライト (49)

北沢オーストラリアが非常に気になることを久しぶりに取り上げてみる『今週のスポットライト』のお時間です。
映画、『モテキ』を観て参りました。そもそもは原作漫画を知らずにテレビドラマを指をくわえて観ていたんです。出演者に惹かれて観てみたらというだけで。満島ひかりさんとか、ですよ。
そして、今回の映画版の場合だと真木よう子さんとか、ですよ。
1年後に早くもモテキがやって来るのかとかサブカルチャーの敗北云々だとかツンデレS女設定の真木よう子さんにツンデレ感がまったくないだとか腑に落ちないところがあるにせよ。前提としての“金なし夢なし彼女なし”にじたばたしたり長澤まさみさんの笑顔の虜になったり影の主役とも言える麻生久美子さんの最後の吹っ切れ方に溜飲を下げたりと見どころだらけです。
そんな中でいちばんのツボはリリーフランキーさんです。演技だろうが何だろうがそこに居るだけで笑えて来るんですから。あんなにくだらないイラストを描いていたかと思うと平常心ではいられないですね。
劇中ではJ-POPづくしなのでとても新鮮なんですが、やはりドラマ主題歌の「夜明けのBEAT」フジファブリックが耳にこびついて仕方がないです。
The Telescopes / Taste (1989)

映画、『Upside Down -The Creation Records Story-』(2010)の中で少しだけ登場しましたThe Telescopes。意外と好きな方でしたのでCreation Recordsから発売されたシングル盤なら何枚か持っているんですがアルバムについては憶えがないんですよね。
今回はCreation Recordsへ移籍する前の時期に発売された『Taste』(1989)というアルバムです。
The Jesus And Mary Chainや、Spacemen 3、そしてMy Bloody Valentineから強く影響を受けていることは一目瞭然ですよね。所詮は亜流のひと言で片付けられても仕方のないような音なんですが、まだまとな方だと思っています。
冒頭から意味ありげな雰囲気が満点のM1「...And Let Me Drift Away」が効果的です。打って変わりまして怒濤のM2「I Fall, She Screams」、緩急を巧くつけたM3「Oil Seed Rape」へとなだれ込む辺りは何か面白そうだなと期待させるものがあるんですよ。
荒れ狂うワウワウ・ギターと吹きすさぶフィードバック・ノイズの嵐。ささくれ立ってはいますが心地良さがあります。
またまた落差の激しいM5「Threadbare」にも耳を惹き付けられますし先行シングルのM6「The Perfect Needle」はやはり印象的ですね。続くM7「There Is No Floor」でのドシャメシャな感覚もM8「Anticipating Nowhere」の性急さも好みではあります。それでも、また聴いてみたい、もっと聴きたい、ずっと聴いていたいという風にはならないんですよね。
特徴的な投げやりな歌と締まりのないメロディーが逆に響いて来ないのが原因なのかも知れません。女性ヴォーカルもまったく活かされていませんし。
ただし、ただしです。最後の最後にやってくれます、The Telescopesは。奈落の底に突き落とされるかのようなM12「Suicide」。フィードバック・ノイズを垂れ流しながらの7分56秒。最高ではありませんか。ただの亜流であっても、こういうものを投げつけられてしまうと圧巻ですね。これでチャラなんですから。
闇雲な疾走感やら焦燥感が目立ちますが、現在でも活動を続けているそうなのでなかなかにしぶといところがあるんですね。
なかなか嫌いにはなれないものなんですよ、やはり。
The Jesus And Mary Chain / Psychocandy (1985)

映画、『Upside Down -The Creation Records Story-』(2010)の中でも出ずっぱりであったThe Jesus And Mary Chain。たった1枚のシングル、『Upside Down』(1984)がAlan McGeeの人生を変えCreation Recordsの礎となり、ポップ・ミュージック界へ多大な影響を及ぼした訳です。
今回は『Psychocandy』(1985)を旧ブログから転載いたしてお茶を濁します。
何やら意味深なグループ名が印象的なThe Jesus And Mary Chain、兄弟喧嘩が解散にまで発展してしまったというグループです。
どれも1985年にCreation RecordsBlanco y Negro Recordsから発売されたシングル曲のM8「Never Understand」やM12「You Trip Me Up」、M1「Just Like Honey」を含む最初のアルバムがこの『Psychocandy』(1985)です。
今から約20年前、CDがロング・ボックス仕様で販売されていた時分に手に入れた訳なのですが、とてもそんなに長い時間が経ってしまったとは思えないほどに新鮮な気持ちで接することが出来ます。
甘く感傷的な旋律とそれに楯つくように耳をつんざくギターのフィードバック・ノイズ。
地の底を這いずり回るかのような低い歌声。
単純極まりないベース・ラインなどお構いなしにズンドコと打ち鳴らされるより一層単調なドラムス。
現在でも珍しくカリスマ性を誇るPrimal ScreamのBobby Girespyがドラマーとして参加しています。
1曲にだけドラム・マシンを使用したとのことですから、残りはすべて彼がスタンディング・ドラムを叩いていることになります。
ひとつひとつの要素は分かり易いのですが、それらが絶妙の混ざり具合を発揮するという完璧な方程式から弾き出される最上級のポップ・ミュージックが輪をかけて官能的かつ暴力的に仕上げられるという稀な例です。
プロモーション・フィルムも合わせて収録されたDual Disc版『Psychocandy』を入手してみました。このDual Discというのは1枚のディスクの両面が鏡面となっていまして、さらには歌詞まで収録されています。
Rhino Recordsからの発売ということで、CDサイドの本編の全14曲については例によってDan HarshとBill Inglotがマスタリングを手掛けています。
この手の作品に限って言えば、“効果は未知数”というかさほどその意義を見出せないのではないかと感じます。
1986年発売のシングル曲「Some Candy Talking」が無理やりに捻じ込まれたCDでは違和感を強く覚えますが、今回のこのリマスター盤では勿論、アルバムの流れを損なうことがありません。
プロモーション・フィルムについてはシングル曲のM1「Just Like Honey」とM8「Never Understand」、M12「You Trip Me Up」の3つがDVDサイドに収められています。
実質的にレコード・デビュー直後の彼らのことですから皆、若いというより幼さの方が目立ちます。
「Never Understand」でのふてぶてしいまでの格好良さとは真逆なのが海辺で寛ぐ姿を捉えた「You Trip Me Up」です。海辺に黒づくめというのはどう見ても不釣り合いこのうえない画面です。
実際のところ、デビュー・シングルの『Upside Down』を発売したきりでCreation Recordsを離れ、最後のアルバムになってしまった『Munki』(1998)で出戻って来たという数奇さ。Alan McGeeとの絆がどれほどのものなのか計りかねるところではありますが、件の映画に限らずその存在自体の大きさには未だに途方もないものがありますよね。
Razorcuts / R Is For... Razorcuts (2002)

映画、『Upside Down -The Creation Records Story-』の中でまったく言及されなかったRazorcuts。Creation Recordsから2枚もアルバムが発売されているのに随分と酷い仕打ちですね。
とか何とか言っている割にSubway OrganizationからのM2「Big Pink Cake」以外は今回の『R Is For... Razorcuts』(2002)という編集盤CDで初めて聴いたのでした。
12弦ギターの音色がこのグループの要なのでどうしても初期のPrimal Screamを連想してしまうのは仕方のないことですし、比較されてしまうと分が悪いことは否めませんね。実際のところ、良く似ていますので。
そう言えば、何の因果か『Creation Soup』(1991)にも1曲も収録されていませんよね。
何はともあれ繊細な肌触りが非常に印象的です。剃刀負けでもしやしないかと心配になりそうなくらいですね。加えてGregory Websterのふやけた歌声はどこまでも気弱なものですので、どれを取っても頼りないことこのうえないというありさまです。
Creation Records以前の音源は意外と荒っぽいところもあるんですが、同期とも言える腐れ縁のTalulah Goshとは似ても似つかない線の細さ。
その代わりにどうしようもなく青臭い音像が描かれつつも甘美なメロディーによってその場が満たされるという極楽状態。きっと、ある一定の需要をも満たしていたことでしょう。そしてまた、思い出したくもない部分もひっくるめた青春の記憶の爪を折っておきたくなるような音です。
少し表現の幅が広がった2枚目のアルバム、『The World Keeps Turning』(1989)からはたいして収録されていませんが、本盤としてはそれはそれでRazorcutsらしさ溢れる内容です。貴重な最初期のフレキシ音源、M19「Sad Kaleidoscope」からM1「I'll Still Be There」、M2「Big Pink Cake」にM5「Sorry To Embarrass You」やM6「A Is For Alphabet」などなどの代表曲までをも網羅した徳用盤でもありますね。