Hirth Martinez / Hirth From Earth (1975)

Hirth Martinezの『Hirth From Earth』(1975)を聴いてみました。
どういう設定なんだと訝りたくなるようなジャケット写真なんですが許容範囲でしょう。
実際に聴いてみて連想するのは軽妙洒脱だというものです。冒頭のM1「Altogether Alone」から伝わる胡散臭さがただちにある種の快さへと変わって行くんですよ。Hirth Martinez自身がだみ声ではありますしそこは大いに気にかかるところではありますが、全体を通して和やかな曲調と緻密に築き上げられた演奏とが掛け合わさるとなりますと何だかとりとめもなく謎めいた印象もM3「Djinji」を聴く頃にはすっかり彼の虜になってしまうこと請け合いです。
カントリーやジャズ、ブラジル音楽といった何が根っこにあるのかが明白なのに出来上がった音楽は何とも摩訶不思議で個性的。
その辺りはThe BandのRobbie Robertson制作によるものも大きいということは言うまでもない訳でして。加えて、幾何学的なギターの音色も特徴があって目立っていますよね。
シンセサイザーの音色など少し好みから外れる新しさというか洗練さもそれほど気にならなくなりましたし、むしろ普遍的な輝き、独特な魅力がふんだんに備わっていると感じずにはいられません。都会的なんだかそうでないんだか判りかねますけども、磨き抜かれた魅力に溢れていると思いますよ。
M8「Silent Movies」なんかでは訳もなく無我の境地を感じ取ってしまいますね。
蔑ろにされているとは言わないまでもアメリカではそれほど顧みられてはいないようですが、細々とではあっても時代を越えて聴き継がれて来たことに納得のいく内容なんですよね。これからもきっと聴き続けられるでしょうし、聴いて行きたい1枚です。
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