Pale Saints / The Comfort Of Madness (1990)

久しぶりにPale Saintsの『The Comfort Of Madness』(1990)を聴いてみました。
犬派の北沢オーストラリアでも見蕩れてしまう美しいジャケット・デザインです。
音楽自体もとても美しいですよね。もの凄く耽美的です。冒頭のM1「Way The World Is」から何か物語が始まる予感をさせる雰囲気が丸出し、ですよ。そして奇怪で残酷にも聴こえて来るインストゥルメンタルの数々が曲間を繋いで行くという無駄に高い構成力が物を言い過ぎています。
早速、M2「You Tear The World In Two」で聴き手の胸ぐらを鷲掴みです。Ian Mastersの儚い歌声とツボを押さえたギター・ソロが高揚感を煽りに煽ります。そうかと思えばM3「Sea Of Sound」の本当に海底深くで鳴らされているような音の心地良さと言ったら、もう最高です。
これまた、まるでお伽噺を音像化したかのようなM5「Little Hammer」の可愛らしさ。そしてThe Byrdsによるフォーク・ロックをさらに色鮮やかに盛りつけたM6「Insubstantial」とM8「Language Of Flowers」の鮮烈さ。
極めつけはやはり、シングル曲のM10「Sight Of You」とM11「Time Thief」の流れでしょう。ここでも空間を切り裂くようなギターの音色にきりきり舞い。つんのめるドラムスのビートに胸を焦がし、全身骨抜きの状態へとまっしぐら。そして、いちばん最後には女性の悲鳴のようなものが。どこまで行ってもこの『The Comfort Of Madness』は完璧です。完全無欠なんです。
堪りません、ある意味でこれ以上の辱めもありませんよ。たかがロック・ミュージックによってこれほどまでに心を打たれるなんて。許すことの出来ないくらいの美しさです。
全11曲、その一切の妥協のなさに思わずほの字です。
これだけ演ってくれますと4ADからの発売に納得というか順当というかとても理に適っているんですよね。ただし、このデビュー・アルバムのみで消え去ってくれたのなら文句なしなんですけれどもね。
スポンサーサイト