Joe Quijano / La Pachanga Se Baila Asi (1962)

景気付けにラテン音楽を。Joe Quijanoの『La Pachanga Se Baila Asi』(1962)というアルバムです。
例によって旧ブログからの引用です。
『CBSラテン名盤シリーズ』と銘打たれた中からこの『La Pachanga Se Baila Asi』を選んでみました。
まったく何の予備知識も持ち合わせていませんが、世界初CD化にしてナイスプライス定価、24bitDSDマスタリングと来た日には好奇心が疼きます。
これは間違いなく掛け値なしのダンス・ミュージックです。正真正銘、陽性のラテン気質が全面展開する盛夏に相応しい“パチャンガの踊り方”です。
A面に当たるM1「Amor」からM6「Dona Pepa」まで息もつかせぬパチャンガの連打に血湧き肉踊り身をくねらせてしまいます。
悪く言えば金太郎飴の嫌いがあるにせよ、研ぎすまされた2本のトランペットと数々のパーカッションが抜群の切れ味の良さを誇っています。
B面に当たる後半には、一転してチャチャを基軸にしそこにダンソンやボレロをそれぞれ溶かし込んだという変化に富んだ6曲が収録されています。
何という豊穣な音楽でしょう。また、その優雅さの要因として、フルートを大幅に導入したことが画期的だとか。確かに強烈な存在感を放ちつつも、それはもう溜め息ものの麗しさです。
パチャンガという踊りがいかなるものかも含め、ニューヨーク・ラテンの真髄やサルサ前夜の様子、Joe Quijano自身について例によって解説文によって知ることとなります。
ニューヨーク・ラテン史の詳細についてやその中で本盤がいかに歴史的に意義の深い作品であるかを読ませるこの解説が個人的に貴重なものではあります。
それ以上に、理屈抜きで身も心も解き放たれる時間をたっぷりと楽しむことが出来ます。Joe Quijanoと彼のPachanga - Cha Cha Orchestraが四の五の言わせず魅せます、乗せます、煽ります。
騒々しくも血気盛んで情熱的。
音楽にもいろいろとありますし、こんな時期ですので音楽が持つ力だとか役割について考えさせられます。