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Ruthann Friedman / Constant Companion (1969)

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今度はRuthann Friedmanの『Constant Companion』(1969)というアルバムです。先のエントリJudee Sillと相通じる音楽であると感じるんですよね。
旧ブログからの転載です。

The Associationがヒットさせた「Windy」(1967)の作者として知られるRuthann Friedmanが奏でる、実に素晴らしいアコースティック・ギターの弾き語り作品でもある唯一のアルバムです。


一見、大変地味に感じられるのかも知れませんが、収録曲のほとんどが彼女自身の芯の通った清々しいギターと瑞々しくも儚い歌声のみで形作られているために、その存在感が輪をかけて際立っています。
また、微かに漂うサイケデリックな風味に鼻腔が刺激されます。


じっくりと耳を傾けてみますとソングライターとしての資質は言うまでもなく、純粋にフォークシンガーとしての並々ならぬ実力を存分に味わうことが出来る初CD化作品です。


何かにつけてVashti Bunyanの名が引き合いに出されるようですが、それはお門違いな物言いなのではと感じます。それならばJoni Mitchellか、Judee Sill辺りの系譜の一端を成しているというのが妥当な線でしょう。


Van Dyke Parks編曲というシングル曲M13「Carry On (Glittering Dancer)」が追加収録されています。
Van Dyke Parks愛好家にとっては興味を大いにそそられるような奇天烈サイケデリック・ポップのため、本作からは明らかに浮き上がっていまして、個人的には蛇足にしか思えません。


時たま、のっぴきならない復刻作品を発売するレーベル、Waterから今後も目が離せません。



という訳で取り急ぎ勢い余って取り上げてみました。この手合いの女流シンガー・ソングライターにつきましては『Wayfaring Strangers: Ladies From The Canyon』(2006)というオムニバス盤にも注目なんですよね。


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Judee Sill / Judee Sill (1971)

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Judee Sillの最初のアルバム、『Judee Sill』(1971)を聴いています。
2作目の『Heart Food』(1973)が11代目リハウスガールの夏帆さんが選ぶ“ずっと聴き続けたい名盤5選”の1枚ということで局地的に大騒ぎになったんですが、ことの次第や詳細につきましてはあのヴァイナル☆ヂャンキー趣味地獄篇のV.J.さんのこちらのエントリを是非ともどうぞ。


今回の『Judee Sill』につきましては名盤探検隊によるCD化の際にはまったく気に留めていなかったというか知らないままでいまして。Rhino Handmadeからの増強版発売によってJudee Sillというシンガー・ソングライターの存在を知ったはずですのでまったくの周回遅れなんです。


実際に耳にした時には素直に驚いてしまいました。儚くも透明感を備えた歌声が柔らかな旋律に寄り添うような。そして、簡潔を極めた演奏。弦や管を入れてもそれはあくまで引き立て役、決して歌の邪魔をしない訳ですよね。M1「Crayon Angels」から感動ものです。アコースティック・ギターの響きもおだやかこの上ないです。


それにしてもこの歌声は天上のものとしか思えないですね。M5「Lady-O」からシングル曲のM6「Jesus Was A Cross Maker」の流れなどは絶妙です。奇跡的ですね。
最後のM11「Abracadabra」の場合には2分弱のその後半にオーケストレーションをふんだんに取り入れつつ盛り上げて行く様子が本当に素晴らしいんですよ。


傍目から見れば波乱に満ちた短い人生を送ったと言えるのでしょうね。ただし、そんな不遇で荒んだ暮らしぶりを不憫に思うのは間違っているのかも知れませんよ。もしも、この音楽にまだ出会っていないのだとしたら、そのことの方が不幸なのではないでしょうか。という周回遅れの戯言でした。


Belle And Sebastian / If You're Feeling Sinister (1996)

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以前の『Tigermilk』(1996)に引き続きましてBelle And Sebastianの『If You're Feeling Sinister』(1996)を聴いています。


Belle And Sebastianという名前を知ってはいました、グラスゴー出身ですしね。ジャケット写真もこんなに素敵なのに飛びつかなかったのはやはり、ギター・ポップなどに飽きていたからでしょう。1990年代後半と言えばソウル・ミュージックに興味が向き始めていた頃でしたので。
それがですね、デビュー・アルバムに当たる『Tigermilk』にあっという間に魅せられてしまいまして。今のところ本作と『The Boy With The Arab Strap』(1998)を鋭意、聴取中であります。最新作の『Belle And Sebastian Write About Love』(2010)についてはもう少々、お預けといった格好ですね。


初っ端のM1「The Stars Of Track And Field」やM2「Seeing Other People」、表題曲のM7「If You're Feeling Sinister」の静かな盛り上がりと繊細な調べに思わず夢中にならずにはいられません。素敵ですね、本当に素敵です。素敵な音楽です。素敵な方々です。
その溢れ出るあまりにも無垢な音に驚いてしまいました。凄く肌触りが良くて温かくて、大所帯だけありまして生楽器も存分に取り入れた手作り感覚が大変に好ましいではありませんか。


世の中にこんなに清々しくて爽やかな音楽があるのかと今になって後悔しきりですね。ただし、単純に清らかな音だけではなくてその物憂げなジャケット写真同様に何だか言葉にならないというか抜き差しならないものを抱えているようにも聴こえて来ますね。
そんな裏腹さがそうさせるのでしょうか、M4「Like Dylan In The Movies」や「Get Me Away From Here, I'm Dying」にしっとりとしたM9「The Boy Done Wrong Again」なんかを聴いていますと何故だか胸を締め付けられてしまいます。そう、無性にです。


最後のM10「Judy And The Dream Of Horses」がまた絶品ですよね。聴き手の心の琴線に触れるのに長けていると言いましょうか痒いところに手が届くと言いましょうか。
それでもStuart Murdochの目論見だとか狙い通りかと穿った見方も無駄ですね。そこに素晴らしい音楽があるというその事実だけで充分だと感じさせてくれますので。


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Stereolab / Fab Four Suture (2006)

FabFourSuture
今月のStereolabは『Fab Four Suture』(2006)です。
2005年から2006年にかけて発売された合計6枚の7インチ・シングルをまとめた編集盤とのことです。実はすでに完全に後追いなので今回のために初めて聴いています。このジャケット・デザインはゆらゆら帝国の『空洞です』(2007)に通じるものがありますね。


2000年代半ばと言いますとブログを始めた時期に当たりまして、7インチ・シングルの発売を連発していたことを知ってはいましたが、この頃になるとStereolabのことをほとんど気にかけていませんでした。まさか6枚にも及んだとも知らなかったですし、わざわざ追いかける気力もなかったんですよ。


やはり、物足りなさを感じてしまいます。録って出しの量産体制も1枚の編集盤としてまとめみたのも成り行き任せだったのかどうか判りませんが、どれもシングル曲の割には手応えが薄い訳ですよ。とりわけM1「Kyberneticka Babicka Pt.1」とM12「Kyberneticka Babicka Pt.2」の2曲は結果的にアルバムの幕開けと締めくくりにはしっくりと来るんですが、シングル盤としてはこれらが両面に配されているなんていうのは厳しいですよね。
大好きなStereolabがこんな程度で良いのだろうかという思いが頭をよぎりますね。


とびきりにポップなM6「Visionary Road Maps」やM7「Vodiak」なんてのもあるにはあるんですけれどもね。抽象的のようでいて音数が多く凝った作りなんですが、やっつけとは言わないまでもまだまだ手の入れようがあるのではと強く思いますよ。


今週のスポットライト (46)

socialnetwork
今年も北沢オーストラリアが非常に気になることを取り上げてみる『今週のスポットライト』のお時間です。


まだFacebookしたことはありませんが映画、『ソーシャル・ネットワーク』を観てみました。億万長者となった若者が抱えるふたつの訴訟を巡る場面と世界最大のSNSを起こすことになる学生時代の様子を行きつ戻りつ、“実話をもとに脚色したドラマ”ということではありますがとても面白いです。


ハッカー、幼稚、好奇心、未練、友情。そして体育会、伝統、守旧、自尊心、利害。物語を通していろいろと連想させられるものがありますし、これがアメリカという国なんだなと何度も思わされました。


最後の場面で未練がましくF5を押し続ける姿に続いて「Baby, You're A Rich Man」The Beatlesが流れるのは判り易いんですが、渦巻く欲望や猜疑心、焦燥感に絡めとられて行く周囲をよそに世界を変えてやろう、新しい価値を創り出そうというひとりの若者の気概を羨ましくも思いました。
そうかと言ってFacebookをやり始めたいという気持ちにもまったくならないんですよ。


今週のビックリドッキリメカ (46)

GRD
今年も北沢オーストラリアが非常に気になるブツを取り上げてみる『今週のビックリドッキリメカ』のお時間です。


年初から幸先良いようですよ。ついに手に入れました、GR DEGITAL IIIを。頑張った自分への褒美代わりにという典型的な言い訳で。
同じRICHO製品のCaplio R7に不満はありませんが、以前からエントリして来た通りに男前なGRDの魅力には抗うことが出来ませんでしたね、やはり。


下手の横好きのままでは本機も可哀想ですので、先輩オーナーでもあるヴァイナル☆ヂャンキーの趣味地獄篇のV.J.さんにご教示いただきながら腕を磨く次第です。


Grant Green / First Session (2001)

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ユニクロがBlue Note Recordsを引っ張り込んでジャケット・デザインをあしらったTシャツを販売するそうです。記念に編集盤CDも企画されているとか。
なんてことをきっかけにここではGrant Greenの『First Session』(2001)をエントリ。Blue Note Recordsを代表するギタリストですね、と言いつつ旧ブログからの転載でございます。


文字通り、Grant GreenBlue Note Recordsに初めて録音した楽曲を軸に据えた編集盤がこの『First Session』(2001)です。


その内の5曲が1960年11月録音でありまして、1961年10月録音のテイク違い2曲分のM6「Woody 'N' You」のみバックを入れ替え、ピアノにSonny Clarkを迎えています。
これら全7曲は2001年に本盤が発売されるまで未発表だった訳です。


彼のBlue Note Recordsからの最初のアルバム作品が『Grant's First Stand』(1961)なのですけれど、その表題曲であり本盤にも収録されているM4「Grant's First Stand」は当然、これまでお蔵入りにされていたということです。


せっかくの録音を没にしたのも、ひとえにAlfred Lionのお眼鏡に敵わなかったためでしょうけれど、つくづく厳しい判断を下す人物であると兜を脱ぐほかありません。


ブルース色が強いのはその初めから変わらないところなのですが、収録曲にはオルガンが入らないために彼に対するおおよその印象とはまた違う一面が窺い知れます。


例えば真夜中が似合い過ぎる、もしくは真夜中に聴くという行為がしっくり来る『Idle Moments』(1963)とは異にしてギターの音色が埋もれることはありませんし、1960年録音の5曲にはWynton Kelly(p)とPhilly Joe Jones(ds)が参加しているだけあって粋なジャズ・ギター作品に仕上げられているくらいです。


これと言ってギタリストのリーダー作を聴き込んで来た訳ではないのですけれど、本盤のような飾り気のない、ごくごく簡潔な作りも好ましく感じられます。


それはそうと、執拗にリフレインを奏でるGrant Greenの代名詞とも言える奏法がここでは聞こえて来ません。



そんな訳でBlue Note Records×UTの販売開始は目前です。限定とは明記されていませんが売り切れ必至の場合も当然、あると思います。果報は寝て待てとは言え焦ってみた方が精神衛生上はよろしいことを経験済みですので思い切ってみますよ。


TELEVISION

本日、1月20日はテレビの父と呼ばれています高柳健次郎さんの誕生日だそうです。


映像機器としてのテレビの成り立ちにおきまして、ブラウン管に最初に映し出されたのがいろはの“イ”であったというエピソードを知ってはいましたが、その張本人が高柳さんだったとは。
そんなテレビも放送方式が地上デジタルへと移行するということで、とにもかくにも時代ですね。


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静物

本日は近代絵画の父と呼ばれるPaul Cézanneの誕生日なんですね。


昨年、観に行った『オルセー美術館展2010-ポスト印象派-』にも出品されていまして。
今回のGoogleロゴのモチーフに多少なりともなっているであろうかの有名な『台所のテーブル(篭のある静物)』をはじめ、何とも印象深い作品群に圧倒されたものでした。


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Belle And Sebastian / Tigermilk (1996)

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Belle And Sebastianの『Tigermilk』(1996)を今頃になってのエントリ。きっかけはヴァイナル☆ヂャンキーの趣味地獄篇のV.J.さんです。ブログが徐々に更新されていますので皆さん、読みに行きましょう!


繊細な歌声から始まるM1「The State I Am In」。まっすぐ過ぎる表題の割にはやはり、静謐感に溢れているんですね。
続く端正ながら勇ましささえ感じるM2「Expectations」からM3「She's Losing It」と聴き進めてみますとどこかしらのどかで牧歌的、柔らかい日射しのような感触なので思わず朗らかな気持ちにさせてくれますね。一聴して何てことはないアコースティックな側面を打ち出したギター・ポップなだけかも知れませんが、意外と芯がしっかりと通っている思いますよ。


唐突に飛び出して来る打ち込みのM5「Electronic Renaissance」。明らかに異質の1曲、ご愛嬌といったところなのでしょうか。と思ったらNew Orderを素材にしているのだとか。微笑ましいことですね。


骨っぽいM6「I Could Be Dreaming」を経ましてM7「We Rule The School」の美しい調べにM8「My Wandering Days Are Ove」やM10「Mary Jo」の初々しさや瑞々しさ。この流れは素敵ですね。実際にはそんな音楽体験がないくせにここは1980年代なのかと錯覚してしまいそうです。
そうなんですよ、10代がそのまま重なる1980年代にはDuran DuranやらU2やらに熱心だったのでBelle And Sebastianを聴いて何かしらの郷愁に浸るということはあり得ないんです。


本盤は1,000枚限定という曰く付きのデビュー・アルバムなんですね。しかも、そもそもが講義の課題だったとか。それはもう、改めて発売されるのも納得ですね。どこの馬の自主制作盤と思いきや、ある意味でこんなに野心的な音楽を放っておく手はない訳なんですから。
となるとより一層、後悔の念が胸の内を去来しますね、どうして今の今まで気が付かなかったんだと。どうして当時、ほんの少しでも耳を貸そうとしなかったんだと。


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おとな

本日は成人の日。
法改正によって1月の第2月曜日であることに違和感があったり、そもそも中学生になったら電車に乗れば大人料金で、でも選挙権はやはり20歳でと大人の階段とはいかなるものかと思ふ四十路前。


私、北沢オーストラリアの場合には『桃尻娘』橋本治著が通過儀礼として大きかったです。


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Ann Peebles / This Is Ann Peebles (1969)

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Ann Peeblesのデビュー・アルバム、『This Is Ann Peebles』(1969)を聴いています。
手持ちのCDはM13「Part Time Love」など5曲も追加収録された再発盤です。もともとの大胆な構図のジャケット・デザインが大胆に変更されています。


Hi Recordsが誇る歌姫、Ann Peeblesが22歳の時の録音だそうでその声は若く瑞々しくもあるんですが、まだまだ硬さも感じられますね。
それでも決して臆することなく完全無欠なハイ・サウンドと堂々と渡り合っています、頼もしいですね。特に初っ端のM1「Give Me Some Credit」などはとても艶っぽくいので思わずはっとさせられますよ。


夫君のDon BryantによるものはM5「Solid Foundation」のみで有名曲のカヴァーが多いという無難な内容です、1枚目ですしね。そこを何とか自分のものにしようと奮闘している姿がありありと目に浮かびますね。力任せに押し切るというか少し無理があるかなと思わせるものではありますけれども、それも健気と言えるものではないでしょうか。


それにしてもM1「Crazy About You Baby」、M4「My Man」にシングル曲のM13「Part Time Love」などの切れ味の鋭い歌声には背筋がぞくぞくしていまうんですからたいしたものですね。
ほかの追加収録曲もやはり、シングル絡みなんでしょうか意気込みというか凄みというかとにかく迫力が違いますね。


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Mac App Store

macappstore
あっという間にMac App Storeが開店しております。
自分にはそんなに関係ないやくらいに考えていたんですけれども。iPhone/iPod touch/iPadのアプリケーションと同じような感覚でMacのアプリケーションを手に入れることが出来るということはさりげなく凄いことなのではないでしょうか。


早速、Twitterの公式版をインストールしてみました。これまでTweetieを利用するなどして来ましたが、さすがに快適ですね。機能も便利さも段違いです。


Appleとしては将来的にはもうこの路線で通して行く訳ですよね、思わず武者震いです。App Storeの中をつらつらと眺めているだけでもわくわくしてしまいます。


John Simon / John Simon's Album (1971)

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新年の抱負は健康第一、です。それはそれとしましてJohn Simonのアルバム、その名も『John Simon's Album』(1971)を聴いています。
手持ちはのCDは痒いところに手が届くような再発を続けるWaterというレーベルのものです。


The CyrkleやらThe Bandやらを手掛けたことがとても知られている大物である訳なんですが。裏方が趣味で作ってみましたでは済まされない内容なんですよね。加えて、紳士的な物腰の柔らかさというか品の良ささえ感じます。
その反面、一聴して一筋縄では行かないことを理解することは出来ますね。John Simon自身の歌も決して上手い訳ではありませんしメロディーもどこか歪な具合なので馴染み難い音なのかも知れません。


ただ、演奏面では盤石過ぎるほどですね。件のThe Bandの面々などが参加しているということなので。
何回か聴いていますと次第に伝わって来るものがありますね。理知的な印象はそのままに人肌の温かさと言いますか音楽が本来的に持つ豊穣さや温もりでしょうか。


冒頭のM1「The Song Of The Elves」でいきなりおどけて見せているものの、明らかにシングル向けの楽曲が存在しないという意味では地味アルバムだとも言えるんですが、ジャズの要素に効き目があるということからも通して聴くことが苦になりませんし、どんどん味わい深い1枚になって行くんだと感じさせてくれるんですよ。


The Famous Davis Sisters (1996)

famousdavissisters
新年早々、ゴスペルも聴いてみたくなりましてThe Famous Davis Sistersの編集盤、『The Famous Davis Sisters』(1966)を選んでみました。


たっぷり24曲と物量的にも圧倒されてしまいますが、内容も非常に濃密このうえない1枚。Savoy Records時代の1955年から1962年の録音だそうです。
P-Vine Recordsにはお世話になりっぱなしですね。


簡潔なリズムとピアノ、さらりとしたオルガンの音色のみを背に歌いまくるは煽りまくるは烈火の如しです。どっしりと踏ん張り、力強く叫び吼え続ける。圧巻ですね。リードを取るのはふたり、バック・コーラスとの絡みも絶妙ですし、これはもう熱風を浴びせられているかのようですよ。
従兄弟のピアニストも歌うので表現の幅もより広がるというものですね。


序盤で計らずも震えを覚えてしまうのはM6「Shine On Me」なんです。明らかに漂う空気が違うんです。オルガンとピアノを伴いつつ息の合った姉妹たちの声の重なりを突き破るリードの迫力。
言葉を失ってしまいますね。


神への一途な思いが昇華された挙げ句、これほどまでに加速して行く様相を音だけを通してでも目の当たりすることはとにかく得難いことです。その尋常ではない高揚感は神を強く求める願いの表れでしかないんですよね。
宗教観と言いましても人それぞれですし骨抜きの状態のこちらとしても敬虔な気持ちを少しは持ち合わせてつもりではありますが、単に音楽として接するしかないので何だかむず痒い距離感を保ったまま、というところなんです。


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Axe / Music (1969)

axe
お屠蘇気分もどこへやら、幻のグループとしか言いようのないAxeのCDを聴いています。Kissing Spellから再発された『Music』(1969)です。


ジャケット写真に女性が写っている通り、最初はCryatallineという名で結成された女性ヴォーカル主体のイギリスのグループでして、FreeThe Whoの前座を務めたこともあったと略歴が記されています。代わりに曲名が一切、掲載されていなんですよ。調べれば判るものの不備としか言いようがないですね。


アルバム録音のためだったのかアセテート盤が残されほかにはライブ音源が同じKissing SpellからCD化されている以外にはその後にどうなったかは謎、の模様です。
本盤収録の8曲分については、6枚だけ作られた件のアセテート盤のうちの唯一の12インチ盤が1994年に日本人蒐集家に買い取られた末にCD化と相成ったとも記されています。


内容は最高ですよ、典型的なサイケデリック・ロックなので。類型的とも言えますが。以前、Iron Rosaryのevergreenさんがエントリされていましたね。その時には聴き込んでいなかったのでコメントを差し控えていたんですが、後悔先に立たずです。
聴いたことのない件のライヴ盤、『Live 1969』に「Somebody To Love」のカヴァーが収録されているようにJefferson Airplaneのからの強い影響下にあるこのAxe、強烈に轟くギターが聴きものではあるんですがVivienneの歌がずっと清楚なので凄く好印象なんですよ。


8曲と言いましても冒頭のM1「Here To There」はほんのさわりに過ぎず、それはM4「The Child Dreams」のいち部分でもあるんですが、追加収録されたライヴ音源のM9「Here To There (Live)」によってその全貌を楽しむことが出来ますよ。フルートの音色からして幽玄の佇まいを醸し出していますし、音質の面で問題があるにせよ8分を超える迫力ある1曲でもありますね。
M2「Ahinam (Take 2)」はM5「A House Is Not A Motel」のギター・ソロ部分を抽出、加工したと思しき別テイクなんですね。途方もなく格好良いんですが、この辺は音盤化に際した取り計らいなのかも知れません。ちなみにこのカヴァー曲はLoveからの影響なんでしょうね。


M6「Peace Of Mind」などは健やかなフォーク・ロックと思わせておいても決してサイケデリック風味を拭い切れないですし、続くインストゥルメンタルのM7「Dark Vision」が魅せる歪み具合も気持ちの良いものです。
M8「Strange Sights And Crimson Nights」にしても6分に渡って静と動、強弱を上手く出していまして、きちんとしたアルバムを作ることが出来なかったことが本当に悔やまれるほどの仕上がりなんです。
このようにわざわざCD化までされるくらいですから、無名とは言え、やはり図抜けた存在であることは確かなんですよね。


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Teenage Fanclub / I Need Direction (2000)

needdirection
新年、明けましておめでとうございます。今、このブログに必要なのは更新ですのでちまちまと始めてみます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
そんな訳で今年の初エントリはTeenage Fanclubの『I Need Direction』(2000)です。手持ちは3曲入りのCDシングルです


表題曲のM1「I Need Direction」が恐ろしくポップなんですよね。若干の既視感があるんですがパパパ・コーラスも映えていまして、さすがにGerald Love作。素晴らしい1曲ですね。
Creation Recordsの閉鎖に伴いまして、Columbia Records / Sony Music Entertainmentへと移籍しましてこの表題ですからね、何やら想像以上に示唆的ではないですか。


次のM2「I Lied」の場合には気怠いながらもややポップな印象ではありますが、やはり楽曲自体の力が弱いいつものRaymond McGinley節です。


M3「Here Comes Your Man」はPixiesの傑作、『Doolittle』(1989)からのカヴァー曲、なんですがNorman Blakeが歌う粗い出来映えでして一発録りのような感触ですね。
狙っているのかはたまた余裕がなかったのか、本盤にそのNorman Blake作品が収録されていないことからも推測することが出来そうですね。


来日公演のついでに撮影したであろう東京無線のタクシーをジャケット・デザインに利用してしまう、そういうおかしみの感覚は健在なんですよね。あえて言ってしまえば、それだけに中味の物足りなさが惜しい気がします。


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プロフィール

北沢オーストラリア

Author:北沢オーストラリア
ハンドルネームをchitlinから北沢オーストラリアへと改めました。どうか、よろしくお願いいたします。
ポップ・ソングのことを中心に書こうとして自家中毒を起こしているブログです。
見当違いのことばかりですけれども、どうかご容赦のほどを。

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