Across The Tracks Volume 2: More Nashville R&B And Doo Wop (1997)

前回の『Across The Tracks: Nashville R&B And Rock'N'Roll』(1996)に引き続きまして『Across The Tracks Volume 2: More Nashville R&B And Doo Wop』(1997)という続編です。
件の『Across The Tracks: Nashville R&B And Rock'N'Roll』と同様にナッシュヴィルでのブラック・ミュージックの興隆をChampion Records系列の音源を利用することで光りを当てようという編集盤ですね。そんな基本路線はそのままに今回は表題通りにヴォーカル・グループにも重きを置く趣向のようですよ。
盤起こしされた本当に貴重な音源がぎっしりと30曲ですからね、覚悟して臨まなくてなりませんね。
歌の巧さが光るLarry Birdsongの2曲、M1「Three Times Seven」とM2「Live The Life I Sing About」から幕が上がります。さすがですね、ハイ・テナーが冴え渡っております。
一方でM10「Real Good Man」とM11「」とでいかがわしさが募るMurfreesboro (Al Garner)がそれでいてとても楽しくて個性的ですので要注目なんです。
The Kingletsやはち切れんばかりの勢いがあるCharles Walker & The Daffodilsしてもいかにも典型的なヴォーカル・グループ然とした風情のM15「Kiss Away」とM16「Let Me Get Close To You Baby」のThe Clipsにしましても土臭い部分が濃厚なのは否めませんので当然、都会のヴォーカル・グループのような洗練さを望むべくもありませんが良い味を出している訳なんですよね。
M7「If Things Don't Change」のGene AllisonもM8「Sittin' Here Drinkin'」のEarl Gainesもすでに『Across The Tracks: Nashville R&B And Rock'N'Roll』にてお馴染みの面々。変わらず渋い喉を披露しております。
貫禄も地力もあるGene AllisonがM30「You Can Make It If You Try / Have Faith」という2曲で本盤の最後を締めくくっていますよ。
M19「Hallelujah」Don Q & Clenest GantからM20「Rent's Too High」Cliff Butler、業界の仕掛人とその仲間らしいTed Jarrett With Daddy Dean OrchestraによるM21「Love Me A Long Long Time」の流れはちょっとした剽軽路線、和みますね。
そんな和やかな雰囲気をLittle Shy Guy (Douglas)によるM22「My Little Baby」という臭みたっぷりのブルースが切り裂きます。容赦ないですよ、これは。ジャンプ・ブルースとも言えるんでしょうか、割と好きなんです。
M26「The Same Thing」のArthur K Adamsも重くて実に味のある歌い手ではありますが、終盤にまたしてもどっしりと控えるRoscoe SheltonがM29「It's Almost Sundown」で絶唱を届けてくれます。もの凄い迫力ですよ、本当に。圧倒されます。
ブルース、R&B、ドゥワップ、ソウルにファンクと黒くて太いブラック・ミュージックの大いなる流れの裏に息づいた活力が漲る地方の存在を見過ごすことが出来ませんね。
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