The Kinks / The Kinks Present A Soap Opera (1975)

今回のThe Kinksは『The Kinks Present A Soap Opera』(1975)です。世間ではほとんど顧みられていないようですね。
『Preservation: Act 1』(1973)と『Preservation: Act 2』(1974)を未だに聴いたことがありませんし、これからも聴く予定がありませんので前回の『Everybody's in Show-Biz』(1972)からの続きです。
曲目を眺めているだけで少しは見えて来るものがありますし、実際に収録曲に連続性があるので単純に音楽として聴く以上に歌の内容やその背景を判っていますと理解がより深まるはずですよね。その内容も一般庶民の日常生活に根差したものですから無理なく身近に感じられると思います。
その辺に転がっている平凡さに留まらず妙な不条理やらおかしみやらを掬い取る手腕もRay Daviesのずば抜けたところでもありますしね。
手持ちのCDにはM1「Everybody's A Star (Starmaker)」のシングル・ヴァージョンやM2「Ordinary People」とM7「Underneath The Neon Sign」のライヴ音源も追加収録されている訳ですが、これはやはりアルバム本編にこそこの『Soap Opera』の面白さが詰められていることに違いはないでしょうしRay Daviesの意図を汲んでやらないと果たして『The Kinks Are The Village Green Preservation Society』(1968)や『Muswell Hillbillies』(1971)などで積み上げて来ましたThe Kinksの持つ価値が目減りするどころではないんじゃないかと。
女性コーラスまで取り入れてかつてのビート・バンドの面影はどこへやらと思いつつも盤石な演奏と作り込まれた各曲と練りに練られた物語については充分、評価に値するのではないでしょうか。裏名盤であるとかおこがましいことを言うつもりは毛頭ないんですが、もっともっと広く聴かれて当然のアルバムではないかと思わずにはいられません。
実際のところM9「You Make It All Worthwhile」なんてとても感動的なんですよ。身に沁みるんですよねこれが、我ながら単純なんですけれども。それが次のM10「Ducks On The Wall」で混ぜ返されるのも非常に面白いところな訳ですよ。
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