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The Flaming Lips / The Soft Bulletin (1999)

softbulletin
今回のThe Flaming Lipsは『The Soft Bulletin』(1999)というアルバムです。
これまでとはまるで別人になってしまったかのような変わりよう、です。


本盤では何と言ってもM1「Race For The Prize」に尽きますよね。一聴してThe Flaming Lipsがまったく違う段階へと登り詰めて来たんだと判ります。これで、この1曲のお陰で世界が変わりました。
いきなりストリングスを大胆に導入しているかと思えば、ねじ切れそうになる1歩手前の塩梅が心地良さを誘います。そして歌心はそのままに、しかし上滑りして行く歌声もそのままなのが好印象です。


ほかの収録曲も同様に今までのようなギターバンド然とした姿は消し飛んでしまっていまして。極端に図太い処理がなされているスネア・ドラムの音色は相変わらずなんですが、前作の『Clouds Taste Metallic』(1995)からの繋がりをほとんど感じさせない音の作り。
4枚同時に再生させることによってひとつの作品として成立する驚異の異色作、『Zaireeka』(1997)を間に挟んでいったい何があったんでしょうね。


地味ながら地殻変動のように大きな歩幅で展開して行くM3「The Spark That Bled」にこれまた同じく地味に懐の深さをえぐって行くようなM6「What Is The Light?」、さすがにメロディーのしっかりとしたシングル曲でもあるM8「Waitin' For A Superman」。
M10「The Gash」、M11「Feeling Yourself Disintegrate」やインストゥルメンタルのM12「Sleeping On The Roof」なんてのは途方もなく広大で雄大な景色を眼前に提示してくれます。


この10年以上前にはドシャメシャで仄暗いサイケデリックなパンクのようなものを演っていたものの、やはりポップな側面はしっかりと健在なんですよね。その辺りが大化けして、尚かつ商業的にも成功した要因であることは想像に難くないと。
全14曲、思わぬ大作じゃないですか。


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プロフィール

北沢オーストラリア

Author:北沢オーストラリア
ハンドルネームをchitlinから北沢オーストラリアへと改めました。どうか、よろしくお願いいたします。
ポップ・ソングのことを中心に書こうとして自家中毒を起こしているブログです。
見当違いのことばかりですけれども、どうかご容赦のほどを。

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