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L.A. Guns / L.A. Guns (1988)

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L.A. Gunsのデビュー・アルバムを初めて聴いています。『L.A. Guns』(1988)ですね。興味半分とは言え、これは・・・。


中心人物のTracii Gunsが組んでいたもともとのL.A. GunsW. Axl RoseHollywood Roseとが合体してGuns N' Rosesが生まれまして。その後に結局、袂を分かった両者は別々の道を進むこととなりまして、今回のは新生L.A. Gunsによるアルバムであると。


こんな風に通り一遍のことを書いているのもですね、正直に申しまして胸に響くものがないからなんですね。まるでノルことが出来ません。
ここにはどうしようもないほどの断絶があります、Guns N' Rosesとの。単調なハード・ロックとしか受け取ることが出来ませんでしたよ。いえ、誰が悪いということではなく。いかにGuns N' Rosesがロックン・ロール・バンドとして素晴らしいかが際立ちます、否応なく、間違いなく、限りなく。


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Guns N' Roses / Appetite For Destruction (1987)

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Guns N' Rosesのデビュー・アルバムを久しぶりに聴いてみました。『Appetite For Destruction』(1987)ですね。
M6「Paradise City」とM9「Sweet Child O' Mine」なら、たまに通勤電車の中で耳栓代わりに聴いているんですけどね。


発売当時は高校1年生でした。金銭的な余裕がなかったので友人に頼んでダビングしてもらったカセット・テープを聴いていました。その時にはM3「Nightrain」がお気に入りでしたよ。
ヨコノリのハード・ロックという内容もさることながら、派手な見た目のせいもありまして随分と話題を呼んでいましたよね。新人としては破格の扱いだったと思いますし、それに相応しかったですね。


公序良俗に反するもともとのジャケット・デザインやらグループの危ない雰囲気などを抜きにしても、懐かしさを感じさせることなく面白く聴くことが出来る音ですね。
M1「Welcome To The Jungle」なんかは初っ端のW. Axl Roseの咆哮にゾクゾクするものが未だにありますよ。そして、あの歌。どうやったって人を惹き付ける力を持っていますよね。


2本のギターの絡みというか役割分担も上手く練られていまして心地良いですね。本当なのかどうか、Slashがピックの代わりに十円硬貨を使っていて、来日公演の際に大量に両替えしたとか何とかという話もあったり。
いずれにしても、M6「Paradise City」を始めとするそのロックン・ロールなノリの良さが抜群なんです。何だか爽快感さえ残ります。


やはり、Guns N' Rosesは1980年代を代表するグループだと思わせてくれますし、この『Appetite For Destruction』は記憶に残り続ける1枚ですね。


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和田アキ子 / 和田アキ子リサイタル ~日劇に於ける実況録音 (1973)

和田アキ子リサイタル
思い立ったが吉日、和田アキ子のライヴ盤でありますところの『和田アキ子リサイタル ~日劇に於ける実況録音』(1973)を聴いてみました。2002年にCD化された代物です。
デビュー5周年を記念して行われた初の有楽町日劇ワンマンショー、4日目のステージのようです。1973年秋の録音ということで石油危機の最中だったんでしょうか。


幕開けのM1「夏の夜のサンバ」とM9「スピニング・ホイール」、M13「黒い炎」とが先だってエントリしました『ダイナマイト ソウル ワダ アキコ』(1996)という編集盤にも収録されていますね。
ほかにもM10「好きにならずにいられない」、M11「プラウド・メアリー」にM12「ユー・アー・マイ・サンシャイン」などなど、後半戦ではさまざまなカヴァー曲が目白押しなんですが、それはもう真っ黒です。
デビュー曲でこけて不安になったと笑い話にしておりますが、その後の自身のヒット曲や発売直前の新曲のM14「この命奪って」も含めてR&B魂が炸裂、どす黒いです。


熱いステージの大詰めにはやはり、M15「あの鐘を鳴らすのはあなた」の絶唱ですね。
前年の日本レコード大賞で最優秀歌唱賞を獲得したばかりの大名曲とありまして果てしない器の大きさを嫌というほどに感じさせてくれますよ。


何にせよリサイタルですよ、リサイタル。時代を感じさせますよね。その晴れ舞台、喉の方も絶好調の様子。さすがにプロですね。ただ、きっちりとパッケージ化されているせいもありましてあまりにも破綻がないんですよね。
そうは言いましても生バンドによる矢継ぎ早の演奏が巧さは勿論なんですが、さすがに迫力があるんですよ。そして、和田アキ子自身のMCが流暢、実に滑らかです。もう、この頃から人心を掴むのに非常に長けていたことが充分に判りますね。


Teenage Fanclub (1997)

tfcdemo
今月のTeenage Fanclubはスペインの見知らぬレーベルから発売された7インチ・シングルです。困ったことに表題が特にはないようですね。


謎だらけのシングル盤ではありますが。実際には『Grand Prix』(1995)の限定アナログ盤に同梱されていましたボーナス・シングルとほとんど同じ内容です。ところどころ編集済みのようですよ。


詳細不明の留守番電話らしきメッセージとともに収録されているのは基本的にデモ音源、しかも宅録なので音質も中身も中途半端なんですが、興味深いことには変わりありませんね。
Grand Prix』収録のM1「Discolite (Demo)」の場合、すでにバック・コーラスが入れられていますし骨格がしっかりと出来上がっていまして、例えばですよLou Barlowの宅録ユニット、Sentridohであればこのまま発表しても不思議ではないくらいですね。


以降の楽曲に再利用されているのかも判らないような断片的なインストゥルメンタルもある中で唯一、まともなものがM4「Coffee Morning (Instrumental)」です。スケッチ程度の内容ですけれども、ドラムスもきっちり入っているので4人で集まって手早くズンチャと済ませたんでしょうかね。
残念ながら、これと言ってTeenage Fanclubらしさというのは見受けられませんね。


熱心なファンにとってはとても嬉しいはずなんですが、結局は未だにCD化されていませんし、そもそもCD化される見込みもなそうな音源集ですよ。


The Flaming Lips / Clouds Taste Metallic (1995)

cloudtastemetallic
今回のThe Flaming Lipsは『Clouds Taste Metallic』(1995)というアルバムなんですよ。メジャー移籍から3枚目に当たりますが相変わらずの変態路線ですね。勿論、大好きです。


前作の『Transmissions from the Satellite Heart』(1993)の延長線上にはありますが、はっちゃけぶりは抑えめなのかも知れませんね。
それでも奇天烈で酔狂、ポップな側面はそのままに。
果物は腐りかけが美味しいと言われますが、今にもこの朽ち果ててしまいそうな危うさを内包しているというか滲み出て来るというか。何とも物騒な天然ものですね、こりゃ。


ちょっとの美しさにおかしみはたっぷりと。
シングル曲のM4「This Here Giraffe」のほかにも印象的な1990年代サイケデリアが平気で転がっていますし、ガレージ・バンドらしいはったりも健在です。
M3「Placebo Headwound」やM7「When You Smile」にM9「They Punctured My Yolk」、M11「Christmas At The Zoo」、M12「Evil Will Prevail」といった辺りの鬱蒼とした気怠さにはどうやったって持って行かれてしまいます。


ミニ・アルバムの『Providing Needles For Your Balloons』(1994)には別ヴァージョンが収録されているM13「Bad Days (Aurally Excited Version)」がいちばん最後に置かれているのが蛇足だったような気がしないでもないです。
とても緩くて牧歌的な好曲ではありますよね。和みます。


免疫はありますので多少の病的な歌や痙攣するギター音にも心地良さを感じるところですが、桁外れに歪んでいた音像もだいぶ整理整頓されていますよね。守りに入った訳ではないでしょうに、以前よりもサイケデリックな成分が中和されているのかも知れませんね。
やはり、この時期が転機となったのはギタリストのRonald Jonesが抜けて行ったこともあるんでしょうね。『Zaireeka』(1997)という問題作を経て世界的にも広く知られて行く展開など想像だにしなかった訳ですよ。


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パックンチョ

本日、5月22日でアーケードゲームとして『パックマン』が登場してきっかり30年になるそうです。


この素敵なGoogleロゴ。これがですね、実際に遊ぶことが出来るんですね。この手の遊び心が徹底しているところが好きです。


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Stereolab / Cobra And Phases Group Play Voltage In The Milky Night (1999)

cobra
今月のStereolabはアルバム、『Cobra And Phases Group Play Voltage In The Milky Night』(1999)。
先行シングルの『The Free Design』(1999)も持っているはずだと思い込んでいる割には一向に見つからないのでした。


各国盤で追加収録曲が微妙に異なるようですが、この時期になりますとStereolab自体に対して興味が薄れつつあったので掬い上げる暇もなかったですね。
本作も惰性で購入したことを白状しましょう。


M1「Fuses」から複雑なリズムと重層的で混沌とした音像が跳ね回り、ヴォーカルも控えめでといきなり驚かされますね。
ラウンジ色こそ強いもののM2「People Do It All The Time」とM3「The Free Design」、M4「Blips Drips And Strips」で前作からのStereolabらしさが顔を出すといった具合です。
華やかなバック・コーラスに浮遊感たっぷりの音使い、柔らかなホーンも含めて肌触りの良い音の質感ですね。


ポップで優雅な流れのM6「Infinity Girl」、M7「The Spiracles」にM8「Op Hop Detonation」といったこの辺りは思いのほかに絶好調ですね。
John McEntireJim O'Rourkeの双頭体制が奏功している証でしょう、きっと。音数は多く、随分と派手な印象が残ります。


M9「Puncture In The Radax Permutation」でのリード・ヴォーカルはMary Hansenでしょうか。
M11「Blue Milk」では8分以上も単調なままで引っ張っておきながらその後の3分間でどう展開させるかと思えば、取り立てて何もなかったり。中盤にかけてはだいぶ雲行きが怪しい印象です、
またもやリズム面での工夫が目立ちますし、多少なりとも実験的な試みに意欲的なこと理解可能ですけれども。ある意味、まだまだ演り尽くしていないというか野心的なところを見て取ることが出来るんですが、空回りに見受けられるのも事実なんですね。


終盤にかけても5分前後の楽曲が並んでいますので間延びした印象を拭えませんがM13「Strobo Acceleration」などは往時のStereolab節が全開で懐かしさすら溢れて来るんです。
かと言って幕引き間際のM13「The Emergency Kisses」も最後のM14「Come And Play In The Milky Night」もとても良く練られていまして魅力的に思えて来ますよ。ちょっと新しい風景が見えるんじゃないかと思わせてくれます。

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Roger Tillison / Roger Tillison's Album (1971)

rogertillison
今夜はRoger Tillisonの『Roger Tillison's Album』(1971)を聴いていました。この“名盤探検隊”からの1枚、実は今回、初めて聴いた訳です。世界初CD化だったんですね。


ソロ・アルバムの録音を持ちかけたというJesse Ed Davisによるスライド・ギターが一閃、ごつごつとした骨のある演奏が力強いM1「Down In The Flood」で幕開けです。
普段からこの手の音を聴き慣れている訳ではありませんが、素直に格好良いとしか言えませんね。渋い、いぶし銀ですね。


その後もニューオーリンズ風味だったりカントリーの要素がはみ出したりと土臭くとも芳醇なアメリカ南部の大地を連想させる懐の深いロック・ミュージックを楽しませてくれます。Roger Tillisonの決して上手くはない、味のある歌にもグッと来てしまいますしね。
そして、これが折り紙付きのセッション・ミュージシャンたちによってスタジオ・ライヴ形式で録られたというんですから溜め息ものですよ、もう。


Roger Tillisonの出自はBob Dylanから影響を受けたフォークとのことですが、1960年代後半にはサイケデリック・ロックの波に煽られて企画ものアルバム(?)を夫妻で作っていたりするんですね。その間にも作曲家として活動したりとそれなりにほろ苦い経験を積んで来たんでしょうか。
数年前に2枚目のアルバムを発売して来日公演を行ったという話を小耳に挟んだこともありますし、何かと波瀾万丈なんですね。


そんなことも本作を聴いてしまうまったく関係ないですね。それをサザン・ロックとは呼べないでしょうし、はたまたスワンプ・ロックなのかも良く判っていませんが、噛めば噛むほどに味わい深いこの素晴らしい音楽、男前ロックに認定です。


和田アキ子 / ダイナマイト ソウル ワダ アキコ (1996)

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思い立ったが吉日、和田アキ子の編集盤でありますところの『ダイナマイト ソウル ワダ アキコ』(1996)を聴いてみました。
意外とすぐに手の届くところに仕舞ってありまして、『Can Hear The Heart Beating As OneYo La Tengoと『The Royal SkaCarlos Malcolm And His Afro-Jamaican Rhythmsに挟まれておる訳です。


表題からも判りますように真っ黒な、真っ黒過ぎる和田アキ子の歌を存分に堪能することが出来る1枚です。臨場感が溢れまくるライヴ音源を紛れ込ませている辺りも憎らしい編集ですよ。


そんなライブ録音としてはM3「どしゃぶりの雨の中で」とM8「パパのニュー・バッグ」が『和田アキ子オンステージ』(1970)から、M6「スピニング・ホイール」とM7「黒い炎」とM9「夏の夜のサンバ」が『和田アキ子リサイタル ~日劇に於ける実況録音』(1973)から収録されていますよ。


スタジオ録音のM14「どしゃぶりの雨の中で」と比較して断然、熱くかっ飛んでいるライヴ版のM3「どしゃぶりの雨の中で」の迫力と言いましたら言葉になりませんね。生バンドとの見事な一体感もさることながら、完全にこの歌をものにした和田アキ子が冴えに冴えています。
この生バンドも素晴らしくてですね、M8「パパのニュー・バッグ」ではギターの代わりにピアノが大活躍ですよ。本当に当時のバンドマンたちの腕前には舌を巻くほかないですね。


収録曲はデビューしてからまだ数年の音源ばかりだと思われますし、力で強引にねじ伏せる印象もなきにしもあらずといったところではありますが。それでも、まだまだ円熟とはほど遠い瑞々しささえ感じさせるR&Bの連続です。
M10「古い日記」なんかも堪りませんよ、そのぴっちぴちの魅力が。


そして、これだけは言えるんですよね。R&Bの真髄がここにはありますよと。これは紛うことなき事実なんです。


BMX Bandits / On the Radio, 1986-1996 (2003)

bmxbbc
今月のBMX BanditsVinyl Japanから発売されました『On the Radio, 1986-1996』(2003)です。
都合4つのラジオ・セッションと詳細不明の客入りライヴ音源が収録されていますよ。


門外不出のBBC音源を外様の弱小レーベル、Vinyl Japanが扱うことが出来たというだけでも結構、凄いことではありますよね。それだけにきちんと管理されてこうしてまとめて聴くことが出来るんですから、とても嬉しいものがあります。


その内容としては選曲に若干、偏りがある印象でしょうか。勿論、こればかりはBBCからお呼びがかからない限りは仕方のないことな訳ですけれども。
10年間という割と長い期間に渡っていますのでグループの音の変遷を俯瞰することも出来そうですし、そもそも旬があるとかないとかとは無縁のですので珍しいカヴァー曲のM8「Take 5」やら初期の大定番にして大人気曲のM4「Strawberry Sunday」などを中心にほんわかと温かいBMX Banditsの音楽を素直に楽しむのが正解ってなもんですよね、きっと。


M7「Rosemary Ledingham」は53rd & 3rd Records時代の音源をまとめた『The 53rd & 3rd Records Years』にて初めて聴くこと出来たもの。
M8「Take 5」はThe Dave Brubeck Quartetで有名なあの「Take Five」なんですが歌詞が付けられたヴァージョンですね。これが見事によれよれの演奏でして、それでも演ってみようとうのはある意味BMX Banditsらしいですね。
M9「Flipper」は本盤で初めて聴くDuglas T. Stewart作の可愛らしい1曲です。貴重な音源も続きますね。


Star Wars』(1991)収録の「Green Grow」ことM11「Green Grow The Rashes」とM12「Hey Little Tomboy」、M13「Someone To Share My Life With」の3曲が謎のライヴ音源に当たるんですがThe Pearlfishers が関わっているとのことなので、最近のものなんでしょうね。
そして、M13「Someone To Share My Life With」こそがTelevision Personalitiesのカヴァー曲でございまして、かねてから聴いてみたかった1曲でしたので思わず溜飲が下がる思いをしたのは言うまでもありません。予想通りに哀しげで、とてもDaniel Treacyらしいなと思いましたね。


それからM12「Hey Little Tomboy」、これについてはDuglas T. Stewartのソロ作、『Frankenstein』(1996)のエントリで“BMX Banditsでは絶対に演らないことですから”なんて書いてしまっていますが、しっかりと演っておりますね。失礼いたしました。


ほかに気になるものと言えば、Francis MacDonald作のM10「Tiny Fingers, Tiny Toes」はどこまでしっとりと優しい曲調が素晴らしく、最後のM17「E102-2」がデビュー・シングル、『Sad?/E102』(1986)のB面曲の別ヴァージョンであったりとまったく飽きさせない充実の内容ですよ。
ものによってはTeenage Fanclub時代のBrendan O'Hareが参加しているとのことで、この編集盤1枚でいろいろな想いが巡りますね。


Dinosaur Jr. / Fossils (1991)

fossils
Dinosaur Jr.の『Fossils』(1991)を聴いてみました。
SST Records時代の3枚のシングルを単純にまとめた編集盤ですね。


Dinosaur Jr.のことを知ったきっかけはやはり1990年代初頭、ひとえにNirvanaのお陰ですね。Sonic YouthMudhoneyなども同様です。


でもって前後のアルバム、『Bug』(1988)と『Green Mind』(1991)を売り払ってしまったあとに残ったのが本盤という訳なんですよ。
どういう訳だか相性が良くはないようです。J Mascisの歌声が苦手なのははっきりしています。投げやりでヘロヘロな歌い方なのには免疫がある方なので、やはりあの声ですね。幾重にも重ねられた轟音ギターには未だに根こそぎ持って行かれるというのに、よほど苦手なんでしょうね。


M1「Little Fury Things」とM2「In A Jar」、Peter Framptonのカヴァー曲のM3「Show Me The Way」は2枚目のアルバム、『You're Living All Over Me』(1987)収録。
さすがにシングル曲だけありましてメロディーは意外とポップです。練習曲にしていたというM3「Show Me The Way」を含めて歌はハチャメチャなんですけれど(Peter Framptonに対して思い切り失礼だと思います)、憎めない質の高さがありますね。


お次が大本命のM4「Freak Scene」ですよ。信じられないほどの大名曲です。誰もが認めるところでしょう、これは。
吹きすさぶ分厚い轟音ギターに怒濤のドラムス、そして中域が強調されたLou Barlowが紡ぐベース・ライン。甘くポップなメロディーは時に弄ばれるようでいて背徳感さえ漂います。


実はB面曲のM5「Keep The Glove」も大好きなんです。牧歌的で緩く展開して行くその先、終盤ですべてを掻き消す大瀑布の如き轟音ギターが胸の内の一切合切を洗い流してくれます。漂白剤か何かですか、これは?
実際にはこの1988年発売の7インチ・シングルを持ってはいませんが、最強のカップリングとしか言いようがございません。


M6「Just Like Heaven」はThe Cureのカヴァーですね。これも見事にハマっていますよね、ある意味で極悪な仕上がりではありますが。


1990年前後に局地的に“殺伐ロック”なんてもてはやされたことも今は昔。ほかにやることもなかった若い連中はと言えば、実際には1980年代後半からマグマのように煮えたぎって訳で。
そんな一時期的な繰り言には無関係に今も、そしてこれからも何が何だか判らない感情の発露として耳をつんざくように鳴り響くことは間違いないですよね。


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ファンタジー

『ピーター・パン』の作者、Sir James Matthew Barrieという童話作家の誕生日だそうで。


そこから『ピーターパン症候群』なんてものを連想してしまう自分にオトナになりきれていない自覚があるのが何ともです。


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The Carousel / I Forgot To Remember To Forget (1993)

carouselforgot
みんな大好きHeavenly!しつこいのは判っています。
今月も引き続きThe Carouselの出番です。『I Forgot To Remember To Forget』(1993)というアルバムです。
RazorcutsGregory WebsterTalulah Goshを抜けたElizabeth Priceとの夫婦(?)グループによる愛の結晶というのは言い過ぎでしょうか。


これまでの12インチ・シングルの『Strawberry Fayre』(1989)と『Sorrow Is The Way To Love』(1990)と7インチ・シングルの『Will You Wear Love?』(1991)もそっくり収録されています。
HeavenlySarah Recordsを選んだのは仕方のないことだとして、その代わりと言ったら何なんですが、既発音源ばかりであってもアルバムの形にして発売したVinyl Japanの気概を感じますね。


およそM1「Strawberry Fayre」の路線で統一感がありまして。チェロ、ヴァイオリン、ハープシコード、そしてオルガンなどといった装飾を最小限に抑えつつ、破綻もなく淡々と儚くも美しいThe Carouselの世界が完成しています。清楚で静謐で。
シングル曲のM7「Sorrow Is The Way To Love」なんてのはこれはもう名曲、大名曲ですね。冒頭から胸に刺さりまくる展開なんですが、終盤には目の前がパッと開ける瞬間が訪れるんです。後光でも差しているのが見える、ような気がしますよ。


一聴してプログレッシヴ・フォークとの近似を連想するとしても、実際にはそれぞれの違いは歴然としていますね。ジャケット・デザインからも想像がつく通り、The Carouselの場合には宗教色を多少なりとも感じさせるものがあります。


声量のなさと息継ぎの乱れさえ目立たなければ文句なしなんです。とか言つつ、これは割と致命的ですよね。
せっかくのHeavenlyAmelia FletcherPeter Momtchiloffの助太刀やGregory Websterによる流麗な弦捌き霞んでしまうことはないですが、非常に勿体ないことは確かです。
いずれにしても、密かに大切にしておきたくなるのがThe Carouselの音楽なんです。


チャイコ

本日、5月7日はPeter Ilyich Tchaikovskyの誕生日。そうです、あのチャイコフスキーですねってたいして知らないんですけれども。


とにもかくにも希代の作曲家です。いくらクラシック音痴でも「白鳥の湖」に「眠れる森の美女」、「くるみ割り人形」といった大定番は常識、ですよね。


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端午

5月の5日。こどもの日ですね。


まだまだ自分がこどものようでいかんのです。日々、反省なのです。


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The Kinks / Something Else By The Kinks (1967)

somethingelse
The Kinks、今回は『Something Else By The Kinks』(1967)です。
もうすぐ発売されるはずの紙ジャケット仕様拡大版が待ち遠しいですね。


まずはM1「David Watts」というビート・ナンバーをぶちかましてくれますね。The Jamがそのままカヴァーしたのも頷ける骨太さ。掛け値なしに格好良いですね。


そして、Dave Daviesのソロ・シングル曲でもあるM2「Death Of A Clown」から続くのは大概、フォーク・ロックと呼ぶことの出来る内容です。ブラスやらNicky Hopkins によるピアノやオルガンも効果てきめんなんですね。


表面的には穏やかにも思えるフォーク・ロック風情ですけれども、実際のところはどうなんでしょうね。階級社会の現実を知り得る立場ではないんですが、歌を通して垣間見ることが出来る辛辣さや滑稽さというものが伝わって来る気がします。


それにしても、その完成度の高さには舌を巻くほかないですね。大名曲の「Waterloo Sunset」まで連なる各曲の存在感がそれぞれはっきりしていますよね。
意味深なM5「Harry Rag」ですとかM7「Situation Vacant」やM10「Afternoon Tea」の軽妙さですとか、もう堪らないものがあるんですよ。その奥深さにやられています。
Ray Daviesの才能も存分に発揮されているところも嬉しいですね。


現行盤CDでも8曲も追加収録されているので、今度の紙ジャケット仕様豪華拡大版が楽しみですね。期待がどんどん膨らみますよ。
今のところ、モノラル版を無難に楽しんでいる訳ですけれども当然、ステレオ・ミックスも収録されるはずですよね。


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Peppermint Stick Parade (1995)

peppermintstickparade
新緑の季節に合わせてこんなものを聴いてみました。『Peppermint Stick Parade』(1995)、Bus Stop Recordsからのオムニバス盤です。
拙いギターポップが満載の1枚なんですが、ジャケット・デザインも『Peppermint Stick Parade』という表題も素敵ですね。


内容としては半数くらいがVelvet Crush関連の音源で占められていまして。シングル盤を取り逃がして向きには嬉しいものがありますよ。素人臭さも同居する中にあってさすがに魅力的で目立ちますね。


The Stupid Cupids名義の音源なども初めて本盤で聴くことが出来ました。Choo Choo Trainのとはやはりテイク違いのM1「Big Blue Buzz」がそれです。貴重な音源でしょうし、何よりも若々しいですね。
それからHoneybunchも人肌を感じさせる良質なギターポップで荒んだ心を癒してくれますね。

ほかにVelvet Crush関連と言いますとPaul Chastainのソロ作、M15「Raining All Day」ですね。その名の通りにしっとりと聴かせる佳作です。
Velvet Crushとして演っても何ら不自然ではないところでもあるんです。別バンドのM2「Almost Home」と「Whatever Happened To My Life?」が選ばれているBag-O-Shellsも同様に基礎体力がしっかりとしていますので遜色ないんですよ。


あとはもうThe SneetchesによるBuffalo Springfieldカヴァー、「Flying On The Ground」も聴きものですね、本当に。
Sarah Recordsで覚えのあるSt. ChristopherはいつでもどこでもSt. Christopherでしかないですね。
その一直線な歌と演奏はほかではあり得ません。


締めくくりはVelvet Crushによるアルバム未収録曲、M16「Circling The Sun」。この小気味よさが最高です。
素人臭いと言いましても、どれも素直でひた向きで好感度高しの連中ばかりですよ。


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Darrell Banks / Darrell Banks Is Here! (1967)

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新緑の季節に似つかわしくないのかも知れないんですけれども唐突に聴いてみました、Darrell Banksの『Darrell Banks Is Here!』(1967)というアルバム。デトロイト・ソウルの名盤であることは周知の通りですよね。そして、そのDarrell Banksが不世出の名シンガーであることも。


Revilot Recordsから発売されたデビュー・シングルのM6「Open The Door To Your Heart」がつとに有名でして、この1曲のために本盤を購入してみたようなものでしたが、それ以上にお釣りが返って来たという感じでしょうか。
勿論、このM6「Open The Door To Your Heart」の出来こそ抜きん出たものがある訳ですけれども。歯切れが良いのにずっしりと手応えのある演奏に乗る伸びやかなDarrell Banksの歌声が見事に映えていますね。


続くシングル曲のM8「Somebody (Somewhere Needs You)」にも胸躍らされるノーザン・ソウル印がくっきりと刻まれていますよ。ギラギラと黒光りしつつ、目も眩むほどの瑞々しさなんです。


この『Darrell Banks Is Here!』にはAtco Recordsへ移籍してからのシングル群もたっぷりと収録されていまして。
M1「Here Come The Tears」で魅せる意外にもしっとりした感触とは対照的なM2「I've Got That Feelin'」や「Angel Baby (Don't You Ever Leave Me)」などの弾けっぷりは聴きものですね。このノーザン・ソウルの溌剌さとディープ・ソウル張りの歌い込みとの邂逅。これこそDarrell Banksならではなんですよね。


こんな具合にアルバム1枚がほとんどシングル曲の寄せ集めなのはソウル・ミュージックでは結構、当たり前ですので気にしても仕方ないとしまして。
ほかにもやはり弾力性溢れるM5「Our Love (Is In The Pocket)」に締めくくりはじっくりと聴かせる「You Better Go」の妙味。素晴らしいとしか言いようがないです。


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プロフィール

北沢オーストラリア

Author:北沢オーストラリア
ハンドルネームをchitlinから北沢オーストラリアへと改めました。どうか、よろしくお願いいたします。
ポップ・ソングのことを中心に書こうとして自家中毒を起こしているブログです。
見当違いのことばかりですけれども、どうかご容赦のほどを。

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