Dinosaur Jr.の『
Fossils』(1991)を聴いてみました。
SST Records時代の3枚のシングルを単純にまとめた編集盤ですね。
Dinosaur Jr.のことを知ったきっかけはやはり1990年代初頭、ひとえに
Nirvanaのお陰ですね。
Sonic Youthや
Mudhoneyなども同様です。
でもって前後のアルバム、『
Bug』(1988)と『
Green Mind』(1991)を売り払ってしまったあとに残ったのが本盤という訳なんですよ。
どういう訳だか相性が良くはないようです。
J Mascisの歌声が苦手なのははっきりしています。投げやりでヘロヘロな歌い方なのには免疫がある方なので、やはりあの声ですね。幾重にも重ねられた轟音ギターには未だに根こそぎ持って行かれるというのに、よほど苦手なんでしょうね。
M1「
Little Fury Things」とM2「
In A Jar」、
Peter Framptonのカヴァー曲のM3「
Show Me The Way」は2枚目のアルバム、『
You're Living All Over Me』(1987)収録。
さすがにシングル曲だけありましてメロディーは意外とポップです。練習曲にしていたというM3「
Show Me The Way」を含めて歌はハチャメチャなんですけれど(
Peter Framptonに対して思い切り失礼だと思います)、憎めない質の高さがありますね。
お次が大本命のM4「
Freak Scene」ですよ。信じられないほどの大名曲です。誰もが認めるところでしょう、これは。
吹きすさぶ分厚い轟音ギターに怒濤のドラムス、そして中域が強調された
Lou Barlowが紡ぐベース・ライン。甘くポップなメロディーは時に弄ばれるようでいて背徳感さえ漂います。
実はB面曲のM5「
Keep The Glove」も大好きなんです。牧歌的で緩く展開して行くその先、終盤ですべてを掻き消す大瀑布の如き轟音ギターが胸の内の一切合切を洗い流してくれます。漂白剤か何かですか、これは?
実際にはこの1988年発売の7インチ・シングルを持ってはいませんが、最強のカップリングとしか言いようがございません。
M6「
Just Like Heaven」は
The Cureのカヴァーですね。これも見事にハマっていますよね、ある意味で極悪な仕上がりではありますが。
1990年前後に局地的に“殺伐ロック”なんてもてはやされたことも今は昔。ほかにやることもなかった若い連中はと言えば、実際には1980年代後半からマグマのように煮えたぎって訳で。
そんな一時期的な繰り言には無関係に今も、そしてこれからも何が何だか判らない感情の発露として耳をつんざくように鳴り響くことは間違いないですよね。
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