
今月の
Stereolabは『
Dots And Loops』(1997)です。
先行シングルの『
Miss Modular』(1997)を含むアルバムですね。
どちらかと言いますと今までの割りと直線的な作りから全体的により込み入った、より複雑で明るい作品として仕上げられていますよ。
具体的にはやはり、リズム面での変化が著しいですね。極めて複雑で有機的に絡み合う様々なパーカッションの乱れ打ちがひと際目立ちますし、メロディー志向では決してないようです。M2「
Miss Modular」のポップさがむしろ浮いているほどです。
前作の『
Emperor Tomato Ketchup』(1996)におきましてもひと皮剥けた感がありましたが、これまでのギターバンド然とした音の括りにはもはや収まり切らない冒険的な試みが満載のはずです。
奇抜なラウンジ感覚もより一層、盛り込まれていまして酩酊感も2割増しでしょう。
ただし、思ったよりもメリハリに欠けるんですね。冒頭のM1「
Brakhage」から密度の高い演奏が心地良いのですが、聴き進めて行くうちに彷徨ってしまうんですよね、幸か不幸か。それが
Stereolabの意図するところではなくても自然と聴き入ってしまっているということなのか何なのか。イタリア映画のサウンドトラックを貪るように聴いていたらしいので、多分に影響されているということあるんでしょうか。
実際には相当、面白いことを演っているんだろうなとは思いつつも、うっかりとしていますと曲間も判らずに聞き流してしまうくらいなんです。
それにしてもこの様変わり、大変身を遂げたかのように見えますけどれども。実際にこの時期の来日公演を観に行ったのですが、今までの持ち歌との違和感はまったくありませんでしたね。初めての
Stereolab観戦にもかかわらず、いつもの彼らじゃないかなんて勘違いもしたくらいです。
Tim Ganeと当時のシンセサイザー担当とで二人羽織のような連弾を披露したりしたこともありましたね、本作収録曲だったはずですがさっぱり憶えておりませんです。
それはさておきまして、あの時は自分たちの世界、磁場を築いていたんでしょうね。堂々としていたもんですし。
そんな訳で
Stereolabに対する興味も本作でひと区切りというのが本当のところだったりします。1年に1枚の割合で何かしら発売されていましたので律儀に購入してはいましたが、手のひらを返すように醒めて行ったのでした。
続きを読む