The Best Of Duke-Peacock Blues (1992)

寒さが募る夜をブルースを聴いて凌ごうという魂胆です。
永遠のブルース初心者にうってつけの編集盤、『The Best Of Duke-Peacock Blues』(1992)ですよ。
のっけから非常にいなたいM1「My Time Is Expensive」、ジャケット写真にもあしらわれていますGatemouth Brownから始まります。全般的に言えることかも知れませんが、今となってはこの古めかしさが堪りませんね。趣きがあります、渋いです。
続くElmore NixonによるM3「Hepcat's Advice」、あのBig Mama ThorntonのM4「Let Your Tears Fall Baby」にしてもギラギラとした生命力に満ち溢れていますよね。
Johnny AceのM5「How Can You Be So Mean」となりますとさすがに華やかさが違いますね。艶のあるホーンに転がるピアノの音色、ハネる演奏を背にして品のある歌が際立ちます。
このJohnny Aceの格別の歌の上手さ。素晴らしいです。
続きましてはRoscoe GordonのM6「Keep On Doggin'」。こちらのヒット曲も大変に洒落ていまして、思わず溜め息ものです。
歌の上手さに軽妙な演奏と来まして、しっかり魅せつけてくれますよね。
以下、M7「Rock Savoy Rock」Andrew TibbsにM8「She Sets My Soul On Fire」Sonny Parkerと小粋ながらも気強いジャンプ・ブルースが繰り出されます。
M10「Little Richard's Boogie」は勿論、あのLittle Richardによる1曲ですよ。黒光りしながらも、まだまだ後のロックン・ローラーとしての片鱗は感じられないような気もしますね。
インストゥルメンタル曲のM11「Goin' Crazy」Peter "Guitar" Lewis、これがまた最高ですね。本盤のベスト・トラックに挙げてしまいます。鋭いハープの音色が胸を突き、迫力あるドラムスががむしゃらなグルーヴを生み出して聴き手を興奮の坩堝へとちぎっては投げ、ですよ。
次はM12「Driving Wheel」です。Junior Parkerの滑らかな歌声はとにかく絶品ですね。色気も濃厚な大人の味わいでしょうか。
Duke Records録音につきましては、すでにJunior Parkerコチラでも取り上げておりまして、その甘い歌い口にうっとりです。
打って変わってLarry Davisの喉の渋いこと。そのヒリヒリした感触。M13「Texas Flood」での名唱を聴き逃す手はないですよ。
名ギタリスト、Fenton Robinsonの血気盛んなM14「Mississippi Steamboat」に侘しさ募るM14「Blue Monday」に続くはこれもベスト・トラックとしか申し上げられないOtis RushのM16「Homework」。来ましたね、これは。
このノリですよ、このノリ。勝手に腰が動く、止まらない。
不躾けながらCobra Records時代のOtis Rushを未だに聴いたことがありませんので、ずっとこんな調子なんです。
最後に大御所、Bobby Blandの登場です。貫禄のブルース、これぞブルース。その最高の歌に、最良の演奏にブルースは宿っている訳ですよ。圧巻です。判りますよね、このM17「Stormy Monday」で。
泣け、むせび泣け。踊れ、踊り狂え。そういう風に胸ぐらを掴まれているとしか思えませんよ。
“ベスト”と謳われているだけありまして初心者にとりましては聴きどころだらけです。まずは取りこぼしがないですからね。同時発売の『Duke-Peacock's Greatest Hits』も同時に入手したはずなんですが、行方不明なのが何より残念です。