Yo La Tengo / Fakebook (1990)

Yo La Tengoのアルバム、『Fakebook』(1990)です。収録曲の大半がカヴァーという異色作でもありますね。
もっとも、後に『Yo La Tengo Is Murdering The Classics』(2006)という丸ごとカヴァー曲集を限定発売するくらいですので不自然なことではないかも知れませんね。
演奏自体はどれも簡素の極み。至って素朴なものですのですので、より一層の親近感が湧いて来ますよ。選曲にも依るのでしょうか、のどかなカントリー風味が強めですね。
当ブログとしていちばんに注目したいところと言いますと先ずはM6「You Tore Me Down」でしょう。The Flamin' Grooviesをカヴァーしたものですけれども、同曲をHeavenlyも『Space Manatee』(1996)というシングルのB面で演っているんです。どちらも似たような優しい感触ですので、未だに聴いたことのない原曲もきっと健やかな感じなのでしょう。
実は本作を手に入れて聴いてみたのがつい最近のことですので、この符丁には割と驚いています。
そして、Daniel Johnstonの人気曲でもあるM8「Speeding Motorcycle」のカヴァーです。The Pastelsも彼ららしい緩い演奏を披露していますよね。
今回の収録曲とは別にDaniel Johnstonと電話越しでの共演という奇跡を起こしてもいます。同じ時期に発売された7インチ・シングル、コチラで取り上げていますね。
淡々とした演奏の中にもどこか気骨が感じられます。
デビュー・アルバムの『Ride The Tiger』(1986)では「Big Sky」というThe Kinksのカヴァーを演っていますが、今回は『Muswell Hillbillies』(1971)収録のM11「Oklahoma, U.S.A.」という渋い1曲を選んでいますよ。
あと面白いのはM7「Emulsified」という1曲ですね。
出自が判らないのですけれど、1950年代風のいかにもなティーン・ポップか陽性のドゥワップかといった具合でして。女性コーラスまで配したとても楽しい仕上がりなんですよ。
と思いましたら、どうやらR&Bのヴォーカル・グループのカヴァーらしいですね。まあ、よく引っ張り出して来ましたね、こういう楽しいヤツを。
収録曲はどれもこれもゆったりまったりとしたもので思わず癒されてしまいますね。
サラッとし過ぎているかも知れないです。少し意外でした。Yo La Tengoには勝手に音楽に対する内に秘めたる熱い想いを感じ取っていましたので。
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