The Flaming Lips / Finally The Punk Rockers Are Taking Acid (1987)

『Finally The Punk Rockers Are Taking Acid』(2002)、The Flaming Lipsの最初期の3枚のアルバム(実際にはデビューEPも含まれていますよ)をそっくり収めて、それぞれに追加収録曲も盛り込んだ3枚組の編集盤CDなんです。
最初のアルバム、『Hear It Is』(1986)については先月にエントリした通りですよ。
2枚目のアルバムの『Oh My Gawd!!!』(1987)と続く『Telepathic Surgery』(1989)が入手困難ですし、特に『Oh My Gawd!!!』がですね、ジャケット・デザインが悪趣味としか言いようがないこともありまして本盤をとても重宝している訳です。
結論めいたことを言ってしまいますと、『Finally The Punk Rockers Are Taking Acid』という表題通りの内容なんですよね。
特に(またしても)『Oh My Gawd!!!』の方がですね。重たいです、暗いです。変態度の高いM5「Ode To C.C. (Part 1)」などもあるにせよです。『Hear It Is』に溢れていたポップさも激減していますね、勿体ない。
幕開けでのM1「Everything's Explodin'」のぶっ飛び具合やM6「The Ceiling Is Bendin」にM7「Prescription: Love」、M8「Thanks To You」での格好良さはいかにもなThe Flaming Lipsらしさがあるんですが、せっかく作ったアルバムなのに着地点が見え辛いような気がします。
ただし、それもまたThe Flaming Lipsらしさなのかも知れませんよね。聴き進めて行きますとこれはこれで首肯、でしょう。
それに比べまして3枚目のアルバム、『Telepathic Surgery』の方は随分と好みの音だと言えます。
M8「Hell's Angel's Cracker Factory」なんかは想像通りのベタな作りですしM9「U.F.O. Story」にしても物語性があるようで若干、安直な印象もなくはないんですけれど、骨格のしっかりとした楽曲に以前にも増していろいろな効果音を絡ませるなどメジャー・デビュー直後の音像をすでに垣間見ることが出来ますね。
全般的に決してポップな明るさはないものの、引き締まった演奏と倒錯した遊び心が相乗効果を生み出しているのは間違いはずです。The Flaming Lipsの音としてどっしりと確立されているのではないでしょうか。
それが後になってから呼ばれるようになったアメリカのオルタナティヴなんたらなんですよ、なんてことを口が裂けても言いませんけれどね。
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