Daniel Johnston / Speeding Motorcycle (1990)

久々のDaniel Johnston、新作の『Is And Always Was』(2009)が発売されるということと先日のYo La Tengo繋がりということで。
大好きなThe Flaming LipsやYo La Tengoと同じ時期にDaniel Johnstonも新作アルバムを出すなんて奇跡としか思えませんよ。のっぴきなりませんです。
とんでもなく金欠だというのにかかわらず新作の注文を済ませたものの、まだ届いていないので、これを機会に過去へ遡ってみます。しかも、旧ブログの『とばすぜ ハイウェイ』からの転載という手抜きのエントリなのです。
今回は久し振りにDaniel Johnstonについてご紹介いたします。何かと語られることの多い(気がします)『Speeding Motorcycle』(1990)です。
SOLというワン・ショット契約のレーベルから発売された7インチ・シングルです。
このM1「Speeding Motorcycle」は、Yo La Tengoの簡潔な演奏に合わせてDaniel Johnstonが電話越しに歌を吹き込んだという伝説とも奇跡とも言えるセッションの賜物です。
心なしか、いえ明らかに興奮しつつもYo La Tengoとの共演を楽しんでいる様子が伝わって来ますよ。
そのYo La TengoやThe Pastelsなどがカヴァーしているお陰で随分と有名になっていますので、彼の代表曲と呼んでも差し支えないでしょう。
もともとのM1「Speeding Motorcycle」自体は『Yip / Jump Music』(1989)に収録されています。
B面のM2「Do You Really Love Me」は観客の声援なども生々しく紛れ込んでいるライヴ音源でして、ギターの弾き語りです。
BMX Banditsが『Star Wars』(1992)の中でカヴァーし、現在でもライヴの場で演奏しているという名曲です。
肝心のDaniel Johnstonによる弾き語りについてはテンポがずれて行きピッチは合っておらず、歌声も酷い有り様です。
これを聞いて怒り出す方が居ても不思議ではありません。
ですけれど。
そんな彼の歌と演奏に観客たちは沸きに沸いています。
それがなぜかと言えば答えは随分と簡単なのです。
Daniel Johnston自身が作り上げた大切な歌を歌い出すその姿。
止むに止まれずに吐き出される心のひだが言葉として発せられています。
そして、感情の赴くままに紡ぎ出されるメロディー。
それが幸運なことに非常に親しみ易く、一切の無駄がない美しいメロディーなのです。
たったそれだけのことが観客を、聴き手を熱狂させるのです。
Daniel Johnstonほど音楽に対して真摯に向き合っているミュージシャンは居ないのではないでしょうか。
そんな訳で7インチ・シングルがクルクルと回っているのを眺めているだけでも甘酸っぱい気持ちになるのはさておいて。この先もDaniel Johnstonにはまだまだ音楽を創って行って欲しいのは勿論なのですが、後ろも振り返ってみようかと考えています。