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Stereolab / Emperor Tomato Ketchup (1996)

emperor
今月のStereolabは『Emperor Tomato Ketchup』(1996)ですよ。
このアルバム1枚で世界的な人気を一気に博した、はずです。
それでも、そんなこととは無関係にここでは文句なしに大傑作扱いなのです。


これまでと比較すると段違いに多彩な音が入り混じっていますし、表現の幅がとんでもなく広がっています。パーカッション類が目立つようになりましたしね。
Transient Random Noise Bursts With Announcements』(1993)が金属同士がぶつかり合うような感触だったのが、随分と色鮮やかで弾力性に富んだ肌触りなのではないでしょうか。『Mars Audiac Quintet』(1994)や『Music For The Amorphous Body Study Center』(1995)を確実に通過した後であることを如実に物語っていますね。


これはまさにTortoiseJohn McEntireが全面的に関わっているからこそなんでしょう。録音方法に凝っているのも見て取れますし、この蜜月関係は最強ですね。
全13曲、どれもが表情豊かで緻密で有機的。アナログ・シンセサイザーの音の壁は立ち消え徹底したハンマービートは息を潜めつつ、ポップなメロディーはそのままにモンドな要素やら陽性のサイケデリアがないまぜに。
どこか懐かしいのに何故だか近未来的な音像もとても魅力的、内容も最強です。


あとは、この時期になりますとMary Hansenの歌う比重も増して来まして、双頭ヴォーカルが当たり前の様相なんですよね。
どちらかと言いますとTim GaneLaetitia Sadierが居ればそれがStereolabであるようなところがあったりしまして、グループとしてのまとまりよりもふたりの志に相容れないと離脱せざる得ない側面があるのでは勘繰っています。
そうしたメンバーの入れ替わりが激しいところで、Mary Hansenの存在というのは本当に貴重でした。


それから、ミニマル路線というのも本作では大きな柱なのですけれども、その象徴的なM1「Metronomic Underground」のリミックスが12インチ盤として切られたり。
ジャケット・デザインが色違いの先行シングル、『Cybele's Reverie』(1996)の表題曲のM2「Cybele's Reverie」はそのロング・ヴァージョン(大名曲)、同じく『Cybele's Reverie』収録の「Les Yper-Yper Sound」の完全版とも言えるM4「Les Yper-Sound」。
遊び心溢れるM9「Emperor Tomato Ketchup」がこれまた寺山修司作品から引用された表題であったり、M11「Motoroller Scalatron」では冒頭から“ホイサッサー”と空耳が炸裂するなど聴きどころだらけ。


そんな中でもM7「The Noise Of Carpet」の極めて単純なかっ飛び具合に結局はひれ伏してしまうんです。


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北沢オーストラリア

Author:北沢オーストラリア
ハンドルネームをchitlinから北沢オーストラリアへと改めました。どうか、よろしくお願いいたします。
ポップ・ソングのことを中心に書こうとして自家中毒を起こしているブログです。
見当違いのことばかりですけれども、どうかご容赦のほどを。

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