Prince And The Revolution / Parade (1986)

その名はPrince。
今回は1986年の『Parade』です。
華々しくM1「Christopher Tracy's Parade」で幕開けとなる本作を聴き始めてみますと何だか勿体ぶった展開なのかなと思いました。一大絵巻とは言わないまでも何かが起こるんじゃないかという期待感をいたずらに抱かせてくれるような雰囲気、のような。
あれ?だから『Parade』なんて表題なんでしょうか。
ただ、これまで聴いて来た中でいちばんしっくり来るアルバムかも知れません。これが当時の最新のR&Bなのかも知れないでしょうが、逆に勝手な違和感だらけではありますけれども。
R&Bというかソウル・ミュージックであればトロトロのスウィート・ソウルを別とすれば古臭くてゴツゴツしたディープ・ソウルが断然好みですし、本作のように思い切りPrinceならではのポップさに振れてくれた方が相当な聞き易さがありますね。
ここで言うポップというのは単にメロディアスであることではなくて何でもありの広い振り幅を持つようなものとして。別の言い方をしますと変態的、でしょうか。何でもかんでも飲み込んでしまって、もうここまで来ると何を演ってもPrinceの音でしかないですよね。
音にも歌にもキレがあり過ぎて神々しいくらいです。色気もありますね。ポップ・ミュージックの新境地に達した感ありとも言えそうです。
若干、オリエンタル風なものやら勿論ファンクあり、ジャズ風味が漂うものもあれば優雅なインストゥルメンタルも。
個性的な楽曲が居並ぶ中でも大ヒットとなったシングル曲のM10「Kiss」の超絶的なファンキーさは際立っていますね。何だか感激しましたよ。
そして、最後を締めくくるM12「Sometimes It Snows In April」なんて言葉にならないほどの美しさですよね。