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Stereolab / Ping Pong (1994)

pingpong
今月のStereolabです。
当時の来る新作アルバムでもあった『Mars Audiac Quintet』(1994)からの先行シングル、『Ping Pong』(1994)です。
これがまたStereolabにしては異色のポップさを放っていますよ。ある意味、ここを起点としてポップでお洒落な要素が認知されるに至って広範な支持を獲得し得たと言えるのではないでしょうか。


まさに新機軸、Neu!The Velvet Undergroundから受けた影響の色濃いこれまでの鋭く直線的な音の呪縛を吹っ切ったかのような華やかさと軽やかさ。
ベタなヒット曲よろしく、雑然としたお茶間の間にでさえ溶け込んでしまいそうな違和感のなさ。これは強力ですよ、ポップ・ソングとして。
前作アルバム、『Transient Random-Noise Bursts With Announcements』(1993)の神経を逆撫でするようなざっくりとした感触とは真逆で柔軟剤まみれのすべすべとした滑らかさが特色です。


いたずらに浮遊感たっぷりサウンド・デザインに醒めたフレンチ・ヴォーカルが飛び交いつつ、妖しいラウンジ・ミュージックの要素もふんだんです。
既視感のあるようなないような組み合わせの絶妙さは随一ですし。
その一方で広く一般的な受けを狙える勝負曲だったのでしょう、きっと。
雨後の筍のように現れては泡となって消えて行った後発バンドたちが躍起になって目指した音、なのかも知れません。


M2「Moogie Wonderland」は本番前の小手調べというか練習曲の延長で試しに録ってみましたという印象ですね。
歌詞はなく軽やかなスキャットを交えただけで、閃きというよりいかにも単純な思いつきだけで押し切った感がある訳ですよ。
その割にはこれぞこの時期のStereolabの典型としっかり思わせるものなのですから憎めない連中ですよ、本当に。


M3「Pain Et Spectacles」はと言いますと。
『Mars Audiac Quintet』本編から辛うじて漏れてしまったアウト・テイクなのではないかと思えるものですね。まったく違和感がありませんよ。
見切り発車とは言わないまでも、少し押しが弱くて手早くでっち上げたようなこの手のアルバム未収録曲がたんまりと存在しますし。いずれにしても手の内を窺い知ることが出来る楽しみとも言えるものですね。


M4「Transona Five(Live)」は表題通り、ライヴ・テイクとのことですけれど詳細は不明なのです。
観客を目前にした熱気も感じられないですしより重厚な本テイクよりほんの少し軽めの印象なので、これもやはりリハーサル・テイクだと邪推可能な代物ですね。
それでも、いつもの酩酊感を引き起こす魔力は相変わらずですよ。


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プロフィール

北沢オーストラリア

Author:北沢オーストラリア
ハンドルネームをchitlinから北沢オーストラリアへと改めました。どうか、よろしくお願いいたします。
ポップ・ソングのことを中心に書こうとして自家中毒を起こしているブログです。
見当違いのことばかりですけれども、どうかご容赦のほどを。

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