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Stereolab / Transient Random-Noise Bursts With Announcements (1993)

transientrandom
今月のStereolabです。
フル・アルバムとしては2枚目になる(かな?)『Transient Random-Noise Bursts With Announcements』(1993)の出番ですよ。


ジャケット・デザインは前回に取り上げた同時期のEP、『Jenny Ondioline』(1993)のほぼ色違い。
本国のイギリス以外ではめでたくElektla Recordsからの発売と相成った最初のアルバムです。邦題は『騒音的美学の終焉』、ですね。


その音像は全体的に籠り気味で音量レベルも低く、後年のまろやかな音作りの作品群と比較してみますと明らかに歯応えのある骨太な仕上がりですね。苦み走ってさえいます。
何かと頼りになるThe High LlamasSean O'haganの正式加入によって演りたいこともよりはっきりと具現化、実験的な素地にも厚みがあるなと感じますね。


正直言って、のちの『Mars Audiac Quintet』(1994)や『Emperor Tomato Ketchup』(1995)にぞっこんでしたので最初はまったく馴染むことが出来ませんでした。
ひと回りして、ようやくその良さに気付かされたというかこの時期のこの3作が最強だなと結局は。StereolabがいちばんStereolabらしかったという思いが強くなりましたよ。
聴けば聴くほど面白い、一筋縄では行かない内容の濃さを肌で感じます。


Neu!The Velvet Undergroundからの影響も包み隠さず、音響面に対する弛まぬ探究心と言葉本来の意味でのプログレッシヴな姿勢に口あんぐり。
おまけにオシャレと前衛が同居するダブル・スタンダードゆえに女性にもすんなりとウケる、はずです。


のっけから分厚いグルーヴで迫るM1「Tone Burst」、狂おしいヴォーカルが響き渡るM2「Our Trinitone Blast」に意外にもハイカラなM3「Pack Yr Romantic Mind」と足腰を直撃してくる序盤の3連発が秀逸であることばかりでなく。
件の『Jenny Ondioline』収録版と比較して5割増しの迫力が炸裂するM5「Golden Ball」や18分以上にも渡り鬼気迫る怒濤の展開を繰り広げるM7「Jenny Ondioline」といった見せ場もしっかりとあるにせよ。


M9「Crest」によるひと刺しで撃沈です。
ズブズブと奥深く刻まれるギターのカッティング、とは反対に気分は尻上がりにグングンと上昇中。堂々巡りの歌詞とどこか妖艶な歌声にもビンビンに反応です。
正確無比のビートで楔を打ち込まれ、四面楚歌のようにアナログ・シンセサイザーのくすんだ音の壁に取り囲まれ。
その徹底したミニマルさ、その崇高なまでの佇まいには思わず交感神経が痺れまくりです。


つべこべ言わず大音量で聴くのが正解のこの1枚、ぶっとばしたい時にどうぞ。


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プロフィール

北沢オーストラリア

Author:北沢オーストラリア
ハンドルネームをchitlinから北沢オーストラリアへと改めました。どうか、よろしくお願いいたします。
ポップ・ソングのことを中心に書こうとして自家中毒を起こしているブログです。
見当違いのことばかりですけれども、どうかご容赦のほどを。

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