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Alexander Spence / Oar (1969)

oar
ついでと言っては何ですけれど、Moby GrapeのギタリストだったAlexander "Skip" Spenceのことも取り上げておきましょう。
もともとはQuicksilver Messenger Serviceの最初期メンバーだそうで、Jefferson Airplaneでのドラム担当は不本意なものだったのかも知れませんね。


Moby Grapeの『Wow』(1968)後に、トンパチな状態からやむを得ずグループを脱退。
それでもナッシュビルに飛んで本作、『Oar』(1969)を完成させたという経緯があります。


ひと言で申しましてとても陰鬱な内容です。ひたすら不気味ですし。
やはり、どこか病的ですよね。ぶっ壊れていますし。
異様な世界をひとりでに作り出してしまっています。
底なし沼でも覗き込んでいるかのような感覚で、そのつもりが自分の前頭葉の中で溺れているような。


ひょっとしたら、同格とも呼べそうなSyd Barrettの見た風景とそんなに変わりがないのかも知れないのですけれど、やはり違いがある訳ですよ。
Syd Barrettの紡ぎ出す奇天烈なメロディーには辛うじて骨格があるようなないような、ほとんど捻じ切れてしまったようなポップさが垣間見えますけれど。それが独特の幽玄の美を醸し出している訳ですよね。


それがAlexander Spenceの場合には妖しさも希薄ですし、ただただ骨抜きにされ視線も虚ろな状態で捨て置かれてしまっているような佇まいなのですよ。背筋も凍りつきますよ。
この戦慄、その危うさ。どちらかと言いますとNick Drakeのことも連想させますね。


商業的な意味など絶対に見出すことなど出来ず期待することも出来ないこの作品が、今では追加収録もてんこ盛りでSundazed Musicから復刻されて根強い支持を得ているというのですから、これまた愉快なものですね。


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プロフィール

北沢オーストラリア

Author:北沢オーストラリア
ハンドルネームをchitlinから北沢オーストラリアへと改めました。どうか、よろしくお願いいたします。
ポップ・ソングのことを中心に書こうとして自家中毒を起こしているブログです。
見当違いのことばかりですけれども、どうかご容赦のほどを。

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