
という訳で真打ちの登場です。『
Nuggets』です。
今でこそガレージ/サイケデリックの金字塔として陽の当たる道を闊歩してはいるものの、もともとは
Patti Smithのところのギタリストになる
Lenny Kayeが選曲した2枚組だった訳ですけれど売れず終いという話で。
のちに
Rhino Recordsが独自にCD化を進めていたりしたのを摘んで聴いたことはあります。
それが世紀末も間近、唐突に4枚組の
肥大拡大版の『
Nuggets: Original Artyfacts From The First Psychedelic Era, 1965-1968』(1998)として完全復活を遂げたり、その派生版でイギリス編の『
Nuggets ?: Original Artyfacts From The British Empire & Beyond, 1964-1969』(2001)、挙げ句はそれらの血を引くであろう設定の『
Children Of Nuggets: Original Artyfacts From The Second Psychedelic Era, 1976-1995』(2005)という強引な編集盤まで湧いて出る始末。
まだまだ『
Hallucinations: Psychedelic Pop Nuggets From The WEA Vaults』(2004)やら『
Come To The Sunshine: Soft Pop Nuggets From The WEA Vaults』(2004)といった便乗商品もある中でもうひとつ、『
Love Is The Song We Sing: San Francisco Nuggets 1965-1970』(2007)というこれまた4枚組もありまして、どうにかして入手したい逸品ですね。
ここではイギリスの
Rhino Records製の紙ジャケットCD、『
Nuggets: Original Artyfacts From The First Psychedelic Era, 1965-1968』を取り上げてみます。
つまりはいちばん最初の内容のものになりますよ。
ご存知のように意外にもヒット・チャートを擦っては散って行ったシングル曲ばかりですので、前回の『
Pebbles, Volume 1』(1992)と比較しても割合とポップな感触が強い方ですね。
それから、やはり確実に言えることはイギリスのビート・バンドからの影響が色濃いことですよね。
ブリティッシュ・インヴェイジョン経由でのR&B解釈というのも肝ですし。
また、ひとくちにガレージ/サイケと言いましてもハードコアなM1「
I Had Too Much To Dream (Last Night)」
The Electric Prunes、M14「
You're Gonna Miss Me」
The 13th Floor ElevatorsからめくるめくM24「
My World Fell Down」
Sagittarius にM22「
Sit Down I Think I Love You」
The Mojo Men、定番カヴァーのM16「
Hey Joe」
The LeavesやらパンクなM8「
Oh Yeah」
The Shadows Of Knightまで選り取り見取りの色とりどりで百花繚乱の雨あられ。
ひと粒でこんな贅沢な思いをすることが出来るなんて。
と言っているそばから、4枚組の方を体験してしまいますと物足りなさを感じるのは当然のことですし、例えば『
Back From The Grave』のようなまさしく荒くれパンク魂を宿した編集盤シリーズとは違いまして結果的に甘さが目立つやも知れません。
それでも、ありとあらゆるガレージ/サイケデリックの編集盤に先駆け、多大なる影響を及ぼし基準となった本盤の価値は揺るぎないものですよね。
まさにこの『
Nuggets: Original Artyfacts From The First Psychedelic Era, 1965-1968』はどこぞの若者たちが吐き出した思いの丈の燃えカスそのものです。
それをこれからも我々が浴びて浸かって騒いで踊って食い散らかしてやりましょう。
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