Tomorrow / Tomorrow (1968)

以前にエントリした『The British Invasion The History Of British Rock, Vol.8』(1996)というRhino Records編集のオムニバス盤にTomorrowのM1「My White Bicycle」が収録されていまして。
その内容は極彩色の眩さを誇るにもかかわらず、地味なジャケット・デザインが残念なTomorrow唯一のアルバム、『Tomorrow』(1968)を取り上げてみましょう。
手持ちの紙ジャケットCDには追加収録曲がたんまりと。
3枚目のシングル曲となるはずだった本来のM16「Now Your Time Has Come」やらThe Aquarian Age名義の音源まで振るっていますね。
何はともあれ話題にこと欠かないグループですよね。
件の追加収録曲以外、グループ解散の引き金となったソロ作品を未だに聴いたことのないのですけれど意外と優しい歌声の持ち主のKeith Westと名うてのギタリスト、Steve Howeが組んだThe In - CrowdというR&Bバンドが始まりだそうです。
のちのYesでのギター演奏の片鱗を垣間見せるSteve Howeの存在は突出したものではないようで。
これまた、のちにThe Pretty Thingsに加入したり、The Pink Fairiesを結成する怪人ドラマー、Twinkが参加後に改名した結果がこのTomorrowだそうです。
デビュー曲でもあるM1「My White Bicycle」がギターの音からドラムから何から何まで無茶苦茶に逆回転させては音の定位まで狂わせるという荒業が炸裂していますし。
2枚目のシングル曲のM5「Revolution」やらM11「Hallucinations」やらが幻覚を催させるように強烈な印象を残すほか、どれもこれも粒揃いの内容は相当に刺激的ですね。
本作からはとりわけThe Beatlesからの影響が色濃いことはすぐに気が付くものですね。
ドロドロではない、むしろキラキラと光り輝くサイケデリック・ロックであることも特徴ですけれど、もしも四六時中、この手の音を浴び続けていたとしたら見えないはずの景色が眼に入って来るのを通り越し、瞳孔が開きっ放しにでもなってしまいそうで怖いです。
このTomorrowにしてもM8「Strawberry Fields Forever」The Beatlesをカヴァーするなど当時は咲き乱れるサイケデリアの世、『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967)やら『The Piper At The Gates Of Dawn』Pink Floydなどが及ぼす影響の大きさには計り知れないものがあったのでしょうね。
彼らに限らずロック・ミュージック界隈では猫も杓子もサイケデリックな意匠を凝らしてはぶっ飛んだ音像を放っていたと。
そんなことも束の間、本格的なブルース・ロックの波の到来やら首尾良く行くはずのKeith Westのソロ活動やら何やらによってTomorrowもグループとしての生命線が途切れてしまったようで。
かと言って駄作を連発されても煩わしいだけですので、このたった1枚のアルバムを楽しむことが出来るだけでもつきがあるというものですので。
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