International Hip Swing (1993)

未だ羨望の眼差しを送られる(はず)、憧れのK Records。
アメリカのインディー・レーベルの良心、そして老舗中の老舗として広く知られるようになってから久しいですよね(のはず)。
今回はそんなK Recordsのオムニバス盤をご紹介いたします。
ジャケットの手書きのイラストに何とも和まされる『International Hip Swing』(1993)です。
かねてより“International Pop Underground”と銘打った7インチ・シングルのシリーズを展開していまして、そこから選りすぐりのギターポップが目一杯詰め込まれている訳なのですよ。
ある意味、これ以上ない贅沢ですね。
また、必ずしもA面曲とは限らないようですよ。
例えば、みんな大好きHeavenlyの場合には大人気曲(のはず)の「She Says」を差し置いて、「Wish Me Gone」の改作であるM12「Escort Crash On Marsten Street」が収録されています。
これまた、アメリカ版Heavenlyと呼ぶことが出来そうなTiger Trapの場合も必殺の「Super Crush」ではなくて、花畑を突っ切るような、それでいて甘酸っぱいM8「Hiding」が選ばれていますし。
一方でThe MonkeesのMichael Nesmith版でも知られる、The Pastelsによる「Different Drum」が未収録というのが残念ではあるのですけれど、本盤で初めて知ったグループばかりということもありましたし、実際にほかにも聴きどころ満載なのですよ。
そのThe Pastelsに在籍のKatrina MitchellによるMelody Dogなどはやりたい放題にやって、その個性をいかんなく発揮していますし。
それから例えば、ありとあらゆる国のインディー・レーベルからリリースすることで世界制覇の実現を企むThee Headcoatsにしても何とも野卑で喧しい音の塊が生々しくて逆に新鮮でしたね。
イギリスのパンク・バンド、Snuffもその筋では有名のようですけれども、ここでもその日本語カヴァーを披露しておりますよ。
あの「かたつむり」をM9「Den Den」という表題できっちりかっちりと剛速球で決めています。
何度でも聴いていられますよ。
K Records主宰のCalvin Johnson率いるBeat Happenigは勿論のこと、Alex ChiltonのM15「Free Again」をカヴァーしたTeenage Fanclubやしっとりと聴かせるLoisにけたたましいThe MaCtellsやらとまるで現代版(1990年代初頭当時)『Nuggets』(1972)でも聴いているかのような、そんなワクワク感も今となっては大変懐かしいものです。
ヒット曲なんてひとつとしてないのですけれど、ちまちましたところなどがとても印象深い訳ですよ。
それでもって本盤における最高の1曲はと言えば。
並み居る小さな強豪たちを押しのけ、燦然と光り輝くM7「It's So Hard Not To Say Hello」Brief Weeds にほかなりません。
The Flaming LipsのWayne Coyneと同様に背骨でも引っこ抜かれたかのようにヘロヘロな歌声がサイケデリックな天然色も眩いゆったりとした珠玉のメロディーに乗って、これ以上にないポップソングへと昇華しているのですよ。
ずばり傑作です。
これはもう、泣けますね。
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