Donovan / What's Bin Did And What's Bin Hid (1965)

スコットランドはグラスゴー出身という割にはThe PastelsやTeenage Fanclubといった連中の口からその名が聞かれないDonovan。
そんな彼のデビュー・アルバム、『What's Bin Did And What's Bin Hid』(1965)を聴いてみました。
手持ちの紙ジャケットCDは3,000円弱という値付けが大いに疑問のStrange Days Records発、“心の深淵を振るわす英国フォーク/ロックの金字塔たち”というシリーズのうちの1枚です。
ほとんが素朴な弾き語りの連続でして地味であるほかないのですけれど、徐々に深まって行く秋の夜にはぴったりでしょう、きっと。
Bob Dylanの模倣に過ぎないと言えるこの初期、プロテスト・ソングやブルース色とは縁遠く、何の衒いもない真っ直ぐで素直な歌が最大の特色でしょうか。
何を隠そう、男性シンガーの中でいちばん好きなのがDonovanなのです。
端正でクセがなく、そっと優しい歌い口がこの荒み切った気持ちを鎮めてくれます。
あの物悲しいM11「Dona Dona」ですら心暖まる仕上がりですよ。
時代と寝て、あるいはサイケデリアに染まってなおヒット曲を連発し続けていた時期よりも、この『What's Bin Did And What's Bin Hid』と次作の『Fairytale』(1965)のPye Records期では歌そのものが際立ちますね。
追加収録曲はデビュー・シングル「Catch The Wind」(1965)の両面、続く2枚目のシングルの「Colours (Original Single Version With Harmonica Bridge)」など4曲で、聴き応え充分ですよ。
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