The King Of Luxembourg / Sir (1988)

ついでと言っては何なのですけれど、Simon Fisher TurnerがThe King Of Luxembourgに扮して臨んだ2枚目のアルバム、『Sir』(1988)を取り上げてみましょう。
前作の『Royal Bastard』(1987)がカヴァー曲主体であったのとは逆に半数程度を自作曲で固めて勝負に打って出た訳です。
様々な工夫が凝らされ仕掛けが施されていましていまして、聴き手を飽きさせない作りですね。
機知に富んだ編曲は楽器の使い方、音の選び方にまで微に入り細に渡り気が配られた結果であることが一聴しただけでも判ろうというものです。
大風呂敷を目一杯に広げておいても綺麗にまとめております。
また、このジャケット写真をご覧ください。その凛々しい出で立ちと来ましたら。
気高く、そして狂おしく歌うThe King Of Luxembourgの姿に世の女性たちは悶絶、なのではないでしょうか。
この徹底的な美意識、この揺るぎない世界観が判る人には判るというせせこましさの中に留められていることに歯痒さを感じるばかりです。
また、ブリティッシュ・ロックのルネサンスと謳われたもした“ブリットポップ”やら“クール・ブリタニア”やらよりもよっぽどイギリスらしさが著しいと感じられます。
煌めくようなポップ・ソングが本国のイギリスにおいてもほとんど顧みられていないという事実には肩を落とすほかないです。