BMX Bandits / Gordon Keen And His BMX Bandits (1992)

今回は『Gordon Keen And His BMX Bandits』(1992)が堂々の登場です。
少々変則的なミニ・アルバムの割にはグラスゴー・オールスターとも呼べる豪華メンバーが勢揃いした大変に贅沢な1枚です。
ギタリストだけでもGordon KeenにNorman Blake、Eugenius Kellyを擁するこの時点でのBMX BanditsにGerald Loveまで参加しております。
なのに、ジャケットを飾るのは肥満体のJoe McAlinden。(←なぜ女装?)
それなのに、(アナログ盤の)裏ジャケットにはめかし込んだ幼少時のFrancis MacDonald。(←なぜ正装?)
装丁も冗談だらけならばその内容もなかなかに面白いものとなっております。
冒頭に置かれていますのは初期の代表曲でもあり彼らの初アルバム、『C86』(1990)収録の人気曲、M1「Your Class」です。
親しみ易さならば随一の名曲ですよ。
M2「Girl At The Bus-Stop」については、『Totally Groovy Live Experience』(1989)収録のライヴ版を先に聴いていましたのでその終盤に大サビが追加されていることに大いに驚いてしまったこともありましたね。
そのうえ、4曲目にはM4「Girl At The Bus-Stop (Home Demo)」という宅録デモ・テイクまで収録されていまして、ハーモニー・ヴォーカルがつけられているくらいですのでさながらアコースティック・ヴァージョンと呼べる佳曲といった仕上がりです。
Television PersonalitiesのDaniel Treacyの才能が窺えるカヴァー曲ですね。
「Hot Burrito No.1」Flying Burrito BrothersをもじったM3「Hot Bandito No.1」は本家とは無関係であることは勿論のこと、実にしっとりと聞かせる1曲なのです。
生録音と思しきM5「King Of The Fools」につきましては、本人たちの楽しんでいる雰囲気がとても良く出ているヴォードヴィル風の小曲です。
小学生のお楽しみ会のようなほのぼのとした雰囲気作りはお手の物といった塩梅の何とも朗らかな1曲でして、お遊びセッションにしては良く出来たものですよ。
CD版にはライヴ・テイクが2曲も追加収録されています。
M6「Kylie's Got A Crush On Us」は後のシングル曲でもあり『Life Goes On』(1993)にも収録されています。勿論、Kylie Minogueをネタにしています。
実はBMX Banditsにちょくちょく参加するTeenage FanclubのGerald Love作のテンポがより速い楽しいライヴ・テイクです。
同じステージからと思しきもう1曲はBadfingerをカヴァーした、必殺のM7「Come And Get It」です。
ある意味、Douglas T. Stewartの独善ぶりが発揮されるBMX Banditsではあるのですけれども、一方で本盤で認められるようなグループとしての緩やかな繋がりと言いましょうか柔軟性に富んだ関係性が良い方向へと転んだ典型として、聴いているこちらが思わず嬉しくなるその親しみ易さこそがまさにBMX Banditsたらんとしているのです。