
本作は
幻の名盤解放歌集*ポニーキャニオン編に当たる『
男が死んで行く時に』(1994)です。
安藤昇が大きく扱われています。
また、“10枚突破記念限定おまけ”としまして
幻の名盤解放同盟のロゴ・ステッカーが添付されていますよ。
“すべての音盤はすべからくターンテーブル上(CDプレーヤー内)で平等に再生表現される権利を有する”この宣言通り、この世の果てに打ち捨てられた特異な歌謡曲の亡骸を掬い取るべく活動に勤しむ
幻の名盤解放同盟。
穴の空いた財布などよりも業が深い歌謡曲の一大絵巻として彼らが丹精込めてまとめ上げた編集盤シリーズを採り上げて行きます。
安藤昇によるドスの効いた遺言代わりのM1「
男が死んで行く時に」や男気溢れるM6「
港祭り」、M13「
血と命」にM19「
黒犬」と散りばめられておりまして、いきなり啖呵を切ったりする辺り男の中の男っぷりを存分に発揮しておる次第です。
思いのほかにじっくりと歌い込まれるM17「
盛り場二十年」などは心に染みます。
この
安藤昇というお方。本物の任侠、ということでよろしいのですよね。
M2「
君が欲しい」とM3「
まぼろしのブルース」はどちらも
藤本卓也作品のリメイクとなります。
これらと比較してしまうと軽く感じてしまうのはどうしようもないことなのでしょうか。
M7「
銀座八丁光のまつり」とM8「
ぎんざのお地蔵さん音頭」では地力に勝る
敏いとうとハッピー&ブルーが格の違いを見せる場面でもありますよ。
ほかの収録曲と比較してみましても完成度が高いはずです。
そうは言いましても、腐っても鯛です。またもや
藤本卓也作品、M10「
人間砂漠」とM11「
愛の夜明け」の2曲がその曲調に反しまして心の隙間を埋めてくれるように挿し込まれております。
先の
敏いとうとハッピー&ブルーが織り成すムード歌謡とは表裏を成す奥深さを湛えるほどです。
M14「
いやだ公害」と朗々と歌い訴えるのは
榎谷おさむとニュー・フェニックスというGSまがいの名を持つグループなのですけれど、M12「
君にいかれて」の
ジューク・ボックスの方がよほどロックしていることもまた事実なのです。
井上宗孝とシャープ・ファイブはと言いますとM18「
田園」を聴けば相当に高度なことを演っていることが何となく判る
デパペペ要らずの鋭い1曲が収録されています。
締めにも再びM20「
男が死んで行く時に」
安藤昇が置かれていますので、最後までほかの
幻の名盤解放歌集にはない緊張感が張り詰めるという塩梅です。
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